⑴ 新しい入居者
ある日の定時連絡で、本日よりこの施設で新たに2人、入居する連絡を受けた。
ここへは15時頃、到着との事。
そしてその時間となり、正面ゲートが開いたのを私と詩織は窓から見ていた。
私たちを連れて来た黒塗りの車と、トレーラーが入って来た。
私と詩織は建物から出て、正面ゲートに向かった。
黒塗りの車の助手席から、127と名乗った女性が降りて来た。
そして後部座席から、男性と女性が降りて来た。
年齢は2人とも20代後半から30代のように見える。
理知的でスマートな感じの男性。
そしてエレガントで上品な感じの女性だ。
127さんは、私と詩織を2人に紹介した。
「ここでは個人情報は明かさない事となっておりますので、仮称として、こちらで付けさせて頂きました。彼はAMさん。そして彼女はAFさん。尚、Aの後に付いているMはメイル(男)、Fはフィーメイル(女)の意味として付けさせて頂きました」
なるほど。本名を伝えれば、ここから解放された後、ネットで検索されるとヒットしてしまうかもしれない。
私と詩織は、2人に挨拶した。
「はじめまして」
そして次に、連れて来た2人を私たちに紹介した。
「彼はBMさん。そして彼女はBFさん。尚、お好きな名前を付けて頂いてかまいません。その場合、私にご報告下さい」
BMさんが言った。
「名前なんて、ここでは単なる記号ですから、私はBMでいいです」
しかしBFさんは、
「えーせっかくですから……メイルとフィーメイルって、オスとメスみたいですよね……では、私はB子にして下さい」
「了解しました」
そして127さんは、私と詩織に伝えた。
「今後、BMさんとB子さんも、この施設でしばらく生活して頂く事となりましたので、よろしくお願いします」
「はい」
「尚、定時連絡は別々に行ってください」
「了解しました」
そんな話をしている間、作業員らしき人が、トレーラーから色々な物を降ろしている。
BMさん達の食材や生活必需品のようだ。
その作業が終わると、127さんとトレーラーは帰っていった。
私と詩織がここへ連れて来られた時、私たちはセンタールームに案内され、色々な説明を受けた。
しかしBMさん達に対しては、それが無かった。
既に色々な説明を受けた上で、ここへ連れてこられたのだろう。
私たちに対して、BMさんは警戒している。
それに対してB子さんは、積極的に話し掛けてくる。
私は、例の研究内容と個人情報を伏せた内容で、自分たちの事を話した。
そして、私たちの知る範囲で、BMさん達にこの施設を案内した。
最初に定時連絡の為に、センタールームに設置されたホットラインを確認してもらった。
定時連絡は時間をずらして行う事にした。
次に、リビングルームを案内した。
リビングに設置してある大型の冷蔵庫6台。
その1台にのみ食材が入っていたが、2台めの冷蔵庫にも食材が入っていた。
この先、入居者が増えていくのだろうか。
そして、12部屋あるプライベートルームの内、私とAF(詩織)が2部屋使っている事を伝え、BMさん達も2部屋専有する事となった。
BMさん達と、ここでの生活を話し合った。
お互い干渉しないで、適度な距離を置いてお付き合いしましょう。
という事で合意した。
初めてという事で、その日の夜はBMさん達と夕食をご一緒する事となった。
私と詩織は、別々の部屋で寝る事にしているが、BMさんとB子さんは、同じ部屋で寝るようだ。
どうやら、そういった関係らしい。
それから数日後、BMさんとB子さんは、この施設の建物の測量を始めた。
この施設の図面を描いている。
彼らは、建設関係の仕事をされているのだろうか?
しかし、ここへ連れて来られたという事は、国際的な問題に絡んでいるのだろう。
……どーも結びつかない。
BMさん達は、いったい何をやらかしたのでしょう。
次回:連れて来られた人達




