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⑷ 水の妖精

 ここでの生活を始めて1週間が過ぎた。

 いつものように、朝食の準備を行い、一緒に朝食を頂く。

 それからは、リビングで話をしたり、注文した科学情報誌に目を通したり、建物の外に出て運動したり。


 私と詩織は庭でキャッチボールをする為、グローブとボールを注文した。

 詩織は父親と室内で、タオルを丸く結んでキャッチボールしていたとの事。

 グローブを付けて、軟式ボールを投げるのは初めてとの事だ。


 詩織の投げ方はオーバースロー。

 私はしゃがんでグローブを構える。


 『ズバン!』

 いい音が響く。

 コントロールも良い。

 詩織の投げるフォーム、さまになってる。


 投げる時、わずかに足を上げる。

 その時、しゃがんでいる私の視線は、ついスカートの奥に向いてしまう。

 見えそーで、めーない。


 しかし、これ以上姿勢を低くすると、ボールをキャッチ出来ない。

 そして、何よりも構える姿勢が不自然である。

 これはいけないと、体を起こした。


 『ズバン!』

 胸に飛び込むストレート。

 私の邪念が浄化されていく。

 心を正してボールを返した。


 いかん! 手元が狂った! ボールの軌道、少し高い!

 それを詩織はジャンプして捕った。


 着地時、スカートの裾がふわっと広がる。

 慌ててスカートを押さえる詩織。

「ごめん、ごめん」

 私は謝罪した。


 今日のご褒美は、白でした。


 ・・・・・・


 次の日の朝、私は夜の蒸し暑さで目を覚ました。

 朝食まで時間がある。

 私はこの建物の外に出て、広大な庭園を散策した。


 朝日が昇り始めた。

 気持ちいい。


 暫く歩いていくと、水の音がする。

 高さ3mぐらいの白糸の滝。


 近くまで歩いていくと……誰かいる。

 詩織だ。


 水際に腰掛けて、落ちてくる糸のような水に手を伸ばしている。

 私同様、早く目が覚めて、この庭園を散策していたようだ。


 綺麗な水だ。

 熱帯夜が続いている。

 気持ち良さそうだ。


 その時、詩織が立ち上がった。

 純白のロングキャミソール。

 その胸部に水が掛かり、薄い胸の膨らみに貼り付いている。


 私は、見てはいけないものを見てしまった。

 やはり詩織は、人間ではなかった。

 そこにいたのは、水の妖精だった。


 私は気付かれないよう、そっとそこから立ち去った。


・・・・・・


 朝食まで時間があるが、私はリビングに向かい準備を始めた。

 先ほどの詩織が、脳裏に焼き付いて離れない。


 透き通るような肌。

 すらりと伸びた足。

 そして、キャミを浮かせる2つの先端。


 やはり詩織は、歩く最終兵器だ。


 しばらくすると、詩織も朝食の準備をしに来た。

「おはようございます」

「あぁ、おはよう」


「朝食の準備、今日はいつもより早いですね」

「ああ、ちょっと今日は、早く目が覚めてしまって……」


 詩織の髪からシャンプーの香りが漂う。

 あの後、浴室でシャワーを浴びてきたようだ。


 朝食の準備が整い、二人でテーブルに着いた。

「それでは……」

「「いただきます」」

 お互いに、食事前の挨拶をして食べ始めた。


 詩織は私に話し掛けてきた。

「実は私も明け方、目が覚めてしまって、この庭園を散策していました」

「……夜、暑かったからねぇ」


「そしたら、すっごく綺麗な白糸の滝があって、手を伸ばして浴びていたら服に掛かっちゃいました」

「……そーなんだぁ」


「ヒンヤリと冷たくて、気持ち良かったです」

「それは良かった」


 今、詩織を見ると、脳内では服が透けて、その中が映し出される。

 これは……もう……病気だ。


詩織さんに壊されていくレイさんでした。


次回:新しい入居者


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