緊急指令! 部品を確保せよ。
大変遅くなりました。
ネタ切れしてました。
「……ついに、これを買ってしまったか」
俺の目の前には50cm四方、厚さはは10cmくらいの手提げを出来るようになっている灰色の箱が置かれている。
動画共有サイトで使っている人を見て、ずっと欲しいと思っていたが値段が高い。手が出ない。
だけど、実家の手伝いで臨時収入が手に入った。
だから、買ってしまった。
その名前は――ハンダ吸い取り機。
「なになに? コンセントを刺して、電源ボタンを押せば数十秒で使えるのか……」
基板上に取り付けられている部品を取り外したいということがDIYをしていると、時々出てくる。
そういった部品は「表面実装」と呼ばれるモノと、「スルーホール実装」と言うモノの二種類で基板に取りつけられている。
表面実装は読んで字のごとく、基板表面上に部品をハンダで取り付けている。
基本的には機械で行ってしまうので、大量生産に向いている。
おそらく、現在販売されている電化製品はほとんどこの方法であろう。
スルーホール実装は「挿入実装」と言う呼び方もある。
その日本語訳が示すとおり、基板上に穴を開け部品を差し込みハンダで裏面から固定する。
基板上のスペースを大きく取ってしまうが、外れてしまうと困る部品はこちらで固定した方が強度が出るというメリットがある。
「とりあえず、練習で壊れたゲーミングキーボードの軸外すか……」
ゲーミングキーボードの「軸」。
要するにスイッチはスルーホール実装で固定されている。
今回はテンキーレスキーボードなので、その数は90~100個。
それがプラスの電極、マイナスの電極につながっている2カ所づつ。
つまり180~200カ所のハンダを外さないといけない。
しかも、LEDが仕込まれている場合はもっと増える。
単色発光ならば2個づつ増えて約400カ所で済む。
だが、RGBーLEDの場合は4箇所づつ増えてしまう。
600箇所ものハンダをハンダ吸い取り線という銅で編まれた細い布で除去するのは、事実上不可能だ。
もちろん、手動の「スッポン」と言われるハンダ除去具も存在する。
確かにこれでも十分除去できる。
だが、単色LED付きゲーミングキーボードの分解を行おうとしている今。
400カ所もそれでやるのでは、日付が変わってしまう。
そう、だから。
俺は「電動」を買った。
「すげぇ、はえぇ。楽、キレイ」
真空ポンプが動き、モーターが唸る。
先端温度は350度。
うっかりでも触れてしまえば一瞬で火傷をする。
だがハンダゴテとスッポンで行うより、遙かに安全で早い。
「嘘だろ。LEDがこんなに簡単にとれるなんて」
約2時間。
すべての「軸」を外し終える。
これをスッポンでやっていれば、5時間はかかるだろう。下手なだけかもしれないが。
「……茶軸を黒軸に変えたときは1日かかったのに、これでハンダ付けが頑張れば1時間位だから。え、午前中で終わるのか」
作業というものは上手に早く行うには、本人の技量というものは必須である。
だが、その技量を埋めてくれるのは道具である。
道具に頼りすぎるのは良くないが、手早く終わらせるためには「良い道具」は必須である。
「LEDも壊れたのは無いな」
LEDの耐電圧が3Vなので、ボタン電池を使って一つ一つ確認する。
今回は外すだけなのでどうでも良いが、LEDは熱で破壊しされることもある。
修理のつもりで壊すというのは愚かだ。よくやるけど。
当然補修用の部品を買わなければならないので、出費がかさんでしまう。
その結果、新品を買うよりも高くなってしまっては何のために修理をするのかが分からなくなる。
「うまく出来たな。 ……問題は、青軸使わないんだけどな」
カチャカチャとした打鍵音が心地よい青軸。
ただ、個人的には静かな方が良いので黒軸か赤軸の静音タイプが良いんだよなぁ……。
「まぁ、ジャンク品修理して転売出来るかもしれないから保存で」
ホームセンターで購入したチャック付き袋に外した部品を保存する。
これを使う日は来るのだろうか?
恐れ入りますが、作品の評価をお願いいたします。




