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最弱職の召喚士ですが、初召喚で太古の神獣と契約したら現実に戻れなくなりました  作者: あげまんじゅう


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第38話「解き放たれる力」

この核は、まだ、完全に失われたわけではない。恐らく、正しい手順を踏めば、封印そのものを、解くことができるはずだ」

 アシュルの言葉に、一同の間に、緊張と、確かな期待が広がっていった。

「解いたら、どうなるの?」

「恐らく、この核が司っていた、召喚術本来の力の一端が、この世界に、再び解き放たれるはずだ。私自身の力、そして――お前と、カインの力にも、影響があるだろう」

 アシュルの説明に、カインが、興味深そうに頷いた。

「私たちの力が、さらに引き出される可能性がある、ということですね」

「そうだ。だが、封印を解くには、相応の対価が必要になる。この核は、単純な力ではなく、ここに込められた『想い』に応える形で、封印を解く。生半可な覚悟では、扉すら開かないだろう」

 その説明に、ルートは、真剣な表情で頷いた。

「どうすればいいか、教えて。僕、やってみたい」

「良い覚悟だ。だが、これは、お前一人の力では、成し遂げられない。恐らく、この場にいる、全員の想いが、必要になる」

 アシュルの言葉に、ゼクス、シィナ、カインが、それぞれ、真剣な表情で頷いた。

「俺も、協力する」

「私も、力を貸します」

「もちろん、私も」

 一同の決意を確認すると、アシュルは、静かに、儀式の手順を説明し始めた。

「この柱を囲むように立ち、それぞれが、心の中で、最も大切なものへの想いを、強く思い描け。その想いの強さが、封印を解く鍵となるはずだ」

 その言葉に従い、一同は、氷の柱を囲むように、円になって立った。

「では、始めよう」

 アシュルの合図と共に、それぞれが、目を閉じ、心の中の想いに、意識を集中させていった。

 ルートは、これまでの旅路を思い返した。誰にも必要とされないと思っていた自分が、アシュルと出会い、ゼクスやシィナ、カイン、そしてリュゼリアという、大切な仲間たちと出会えたこと。この世界で、初めて感じた、確かな居場所。

(この人たちを、絶対に守りたい。この世界を、守りたい)

 その想いが、胸の奥から、確かな熱として、湧き上がってくるのを感じた。

 ゼクスは、リュゼリアとの再会、そして、これから守っていきたい、大切な人々の顔を思い浮かべていた。

(もう、二度と、大切な人を失いたくない)

 シィナは、姉との絆、そして、この旅で出会った、かけがえのない仲間たちへの想いを、強く抱きしめた。

 カインは、契約したその瞬間から、ただ一心に、ルートへの想いを、燃え上がらせていた。

(ルート様のために、この身の全てを捧げよう)

 それぞれの想いが、氷の柱に向かって、静かに、しかし確かに、注がれていく。

 やがて、氷の柱が、再び、淡い光を放ち始めた。光は、次第に強さを増し、やがて、眩いほどの輝きへと変わっていく。

「これは……!」

 シィナが、驚きの声を上げた。柱の内部で、光が渦を巻き始め、その中心から、温かい波動のようなものが、周囲に広がっていった。

「封印が、解けていく……!」

 アシュルの声にも、これまでにない興奮が滲んでいた。

 光の波動が、ルートたちの体を、優しく包み込んでいく。その瞬間、ルートは、体の奥底から、これまでとは比較にならないほどの、力の奔流を感じた。

「うわっ……!」

 思わず声を上げるルートの体に、さらに強い光が纏わりついていく。同時に、アシュルとカインの体からも、それぞれ、これまで以上に強い力の輝きが、溢れ出し始めた。

「これが……本来の、召喚術の力……!」

 アシュルが、感慨深そうに、自らの手を見つめた。その手には、これまでとは明らかに違う、力強い輝きが宿っていた。

「ルート様、私も、これまで以上の力を、感じております」

 カインもまた、その黒い翼を、大きく広げながら、確かな力の高まりを実感していた。

 光が収まると、氷の柱は、静かに、その役目を終えたかのように、透明な氷へと戻っていった。だが、その場に満ちていた、温かい力の余韻は、まだ、確かに残っていた。

「みんな、大丈夫?」

 ルートの問いに、ゼクスとシィナは、それぞれ、頷きながらも、少し不思議そうな表情を浮かべた。

「ああ、大丈夫だ。……でも、正直、俺自身に、何か変化があった感じはしないな」

「私も、同じです。皆さんのように、力が高まった実感は、特には……」

 その言葉に、アシュルが、静かに頷いた。

「それも、当然だろう。この核の力は、召喚術そのものに宿るものだ。召喚士であるルート、そして、召喚獣である私やカインには影響するが、召喚術と関わりのない者には、直接的な恩恵はないはずだ」

「なるほど、そういうことか」

 ゼクスは、納得したように頷いた。だが、その声には、わずかな寂しさも滲んでいた。

「まあ、俺は俺で、自分の力を、これまで通り、鍛えていくしかないな」

「ゼクスさんの炎の力も、着実に育っていますよ。焦る必要はないと思います」

 シィナの励ましに、ゼクスは、少し照れくさそうに笑った。

 その様子に、アシュルは、満足げに頷いた。

「これで、一つ、核を解放することができた。この力の高まりが、召喚術全体に、どのような影響を与えるか、まだ、正確には分からない。だが――」

 アシュルは、真剣な眼差しで、ルートたちを見渡した。

「これは、大きな一歩だ。この世界の各地に眠る、他の核も、同じように、解放していく必要があるだろう」

「うん。これから、少しずつ、やっていこう」

 ルートの決意に満ちた言葉に、一同は、力強く頷いた。

 遺跡を後にする道すがら、ルートは、自らの内に宿る、新たな力の感覚を、静かに噛み締めていた。

(この力を、正しく使って、みんなを守れるようになりたい)

 その想いを胸に、一行は、白銀の凍土を後にし、街への帰路についたのだった。

 だが、彼らの背後、氷の遺跡の奥深くでは、何かが、静かに、目を覚まし始めていた。

ちょっと手直しです

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