第04話 報 告
佐籐上等兵が藪の枝をかき分けながら「隊」に戻って来る。
兵士達はその音を聞いて、静かに木陰に隠れる。
早坂が小声で合言葉を掛ける。
「ヤ・マ」
「カワッ!」
佐藤上等兵が藪の中から顔を出す。
早坂それを見て、
「何んだ、佐籐か。 怪我は無いか」
木陰から出て来る早坂。
兵士達も藪陰から顔を出す。
佐籐上等兵は早坂に挙手の敬礼をして、
「佐籐上等兵、只今戻りました!」
「よし、ご苦労。どうだった」
「はい! 地図を手に入れました」
「何、チズ? 何処から」
「米兵の死体からです」
早坂は怪訝な表情で、
「死体から? 見せろ」
月明かりの下、佐籐上等兵の周りに集まって来る兵士達。
佐籐上等兵は肩に掛けた米軍の「図嚢カバン」を外し、中から地図を取り出す。
「・・・これです」
佐籐上等兵の手から地図を取り上げ、倒木の上に広げる早坂。
野村伍長が近寄って来て、広げた地図を覗く。
「佐籐、説明しろ」
「は!」
佐藤上等兵は枝を拾い現在地と飛行場、米軍の位置を説明する。
「ここが現在地です。で、これがルンガ飛行場。ここが上陸地点の西海岸。と云う事は、我々は飛行場から離れて進んでいます」
早坂は驚いて、
「何? 南と北を間違って進んでいると言うのか?」
「はい・・・」
早坂は佐籐上等兵を見て、
「ヨシ、良くやった。休め! 夜が開けたら戻る」
兵士達は納得出来ない顔で早坂を見る。
「戻るんですか?・・・分かりました」
夜明け近く、菅井上等兵が戻って来る。
歩哨の河野上等兵が小声で、
「ヤマ」
「カワ」
菅井上等兵が小枝を掻きわけ、顔を出す。
河野上等兵は菅井上等兵を見て、
「おおッ! 菅井。生きてたか」
菅井上等兵はニンマリと笑い、
「実はな、児玉中隊と一緒だ」
河野上等兵は驚き、
「何! コッ、児玉と? 中隊長も一緒か」
「児玉中尉殿はやられたそうだ。残兵が九名」
「九名? よし、分った。今、中隊長を起こす」
続く




