第39話 手を振るAI兵
最後のカッターが回収艦『アキクモ』に横付けする。
網梯子を残兵達が必死に登り始める。
負傷兵に手を貸す戦友達。
「すまんのう。指を飛ばされてしまって・・・」
「何を言ってる。一緒に帰るんだ。ほら、右足! 右足を上げろ・・・そう、そうだ」
「すまん。すまん・・・」
艦上の菊池中佐、「木原少尉」、「関元曹長」、「福原軍曹」、「河野上等兵」、「木村上等兵」、「大宮一等兵」、「森二等兵」が手すりに掴まり、今まで居た岬を見ている。
菊池中佐が、岬で手を振る数十基の『鉄帽のAI兵』を見付ける。
「あ! まだ兵が居る。 戻れッ! 彼等を乗せなければ」
甲板に居る水兵が、
「だめです! 陽が昇っています。午前中に撤収を終了せよとの艦長の命令です」
菊池中佐は水兵を睨み付け、
「キサマ、仲間だぞ。戻れッ! 艦長を呼べッ!」
「ダメですッ!」
菊池中佐は懇願する。
「水兵。頼む。もう一度戻ってくれ」
水兵の返事は冷たい。
「だめです! 戻ったら、全員やられます。三日後にもう一度、救援隊が来ます。そちらに任せましょう」
関元曹長と木原少尉以下六人も懇願する。
「 頼む。何とか戻ってくれないか・・・」
「お願いです。仲間なんです。戻って下さい。あの兵隊達は・・・命の恩人なのです」
菊池中佐が、
「・・・諦めよう。彼等には申し訳け無いが・・・」
菊池中佐はジッと岬の砂浜を見詰めて唇を噛みめる。
関元曹長達は砂浜に立つAI兵達に「挙手の敬礼」をして、深く『合掌』する。
四隻の駆逐艦のスクリュー音が不規則に唸りだす。
木原少尉達を乗せた駆逐艦が船主を返し、徐々に速度を上げて行く。
すると『一隻の警戒駆逐艦』が急に船主を返し、島の岸に近づいて行く。
それを見ていた菊池中佐が水兵に、
「? ・・・あの艦は何をしているんだ」
「?? 分りません」
「・・・やられるぞ」
続く




