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第38話 野村AI兵が消えて行く

 太陽が熱く照らし始める。

菊池部隊の最後尾の兵士がカッターに乗り込もうとする。

その兵士は振り向いて、


 「伍長殿。先に乗って下さい」


野村AI兵が、


 「俺は良い。構うわずに早く乗れ!」

 「? 乗らないのですか?」

 「良いんだ。まだやり残した事が有る。行け!」


兵士は怪訝な顔をしてカッターに乗り込む。

兵士が振り向くと野村AI兵は消えている。


 「? 伍長殿? あれ?・・・伍長殿?・・・何処に行ったんだろう」


 菊池中佐が周囲を確認して最後のカッターに乗り込む。

四人の水兵が菊池中佐に挙手の敬礼をして、


 「ご苦労様でした。菊池部隊は以上でありますか?」

 「うん?・・・」


菊池中佐が傍に居る木原少尉を見て、


 「おい、少尉」

 「はい」


菊池中佐がもう一度、木原少尉に確認する。


 「さっきまで隊を先導してくれた、あの准尉と軍曹は乗ったのか」

 「え? あッ、はい。乗っている筈です」

 「そうか・・・」


菊池中佐は水兵を見て、


 「以上だ」

 「はい! では・・・出発します」


最後のカッターが岸を離れる。

カッター内で菊池中佐が木原少尉を見て、


 「キサマ達は第2師団だったな」

 「はい。早坂中隊です」

 「キサマの部隊はいったい何人残ったのだ」

 「七人・・・でしょうか」

 「七人? さっき佐々木とか云う准尉に確認したら三二と言ったぞ」


木原少尉は黙ってしまう。

菊池中佐が、


 「まあ良い。何処かに乗ったのだろう」


菊池中佐達を乗せたカッターが海原を進む。


痩せた菊池中佐が迎えに来た回収艦を見ながら、


 「・・・此処の戦いは悲惨だったなぁ・・・」

                          続く

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