第34話 二基の鉄帽のAI兵
深夜。
『エスペランサ(希望)岬』に向かう菊池大隊。
菊池大隊長が藤田中尉に、
「・・・おい、この方角で間違いないだろうな」
藤田中尉は菊池大隊長の傍に来て図嚢カバンから地図を出す。
懐中電灯の灯りを絞り、地図上に方位計を置く。
「・・・間違いないと思います」
「川の流れる音が聞こえる。地図には川なぞないぞ」
藤田中尉は耳を澄ます。
「そうですねえ・・・。迷いましたか?」
「バカ者! 六百の兵が付いているんだぞ。しっかりせい! あと三日しか無いんだ」
「はいッ!」
沢田大尉が後方から走って菊池大隊長の傍に来る。
「報告します! 兵がどんどん増えています」
菊池大隊長は驚き、
「何?」
「ジャングルの中から合流して来る様でありす」
振り向く菊池大隊長と藤田中尉。
遥かに続く兵士(撤退兵)の長い列。
菊池大隊長が、ふと月夜のジャングルの奥を見る。
人影の様な者が立って居る。
菊池大隊長が、
「おい。あそこに誰か居るぞ」
眼を凝らし、銃を構えて近付く沢田大尉。
沢田大尉の声を殺した合言葉。
「ヤマ!」
影の声が、
「カワ」
沢田大尉、
「カワ?」
沢田大尉が菊池大隊長の傍に戻って、
「味方の様ですねえ・・・」
菊池大隊長の傍に近寄って来る『二つの鉄帽兵(AI兵)』。
二つの鉄帽兵(AI兵)は立ち止って、菊池大隊長に挙手の敬礼をする。
AI兵が、
「第二師団・岸本部隊・早坂中隊・佐々木 誠 准尉であります!」
「同じく野村晋介 伍長です!」
佐々木AI兵が、
「ここからは先は私達がご案内します」
菊池大隊長は呆気に取られ『二基のAI兵』を見て、
「・・・岸本部隊? 俺達より後発だな。早坂中隊は何人残った」
佐々木生AI兵が、
「三二です。一部はエスペランサ岬に向かってます」
「三二?・・・無傷か」
「いえ」
「イエ? ・・・負傷兵も先行してると云うのか?」
怪訝な顔の菊池大隊長。
佐々木AI兵と野村AI兵は無も喋らない。
「・・・」
佐々木AI兵が菊池大隊長に、
「急ぎましょう。時間が無い」
佐々木AI兵はサッサと先行して行く。
菊池大隊長が立ち止まって佐々木AI兵の後ろ姿(全身)を見ている。
二基のA I兵の鉄帽が、不気味な光りを放っている。
続く




