第31話 正 夢(マサユメ)
翌朝。
木原少尉が、
「おい、起きろ。関元!」
関元曹長が頭を回しながら、
「あ~あ、良く寝た。・・・昨夜、変な夢を見ました・・・」
木原少尉、
「バカッ! あれは夢じゃない。皆が知らせに来てくれたんだ。起きて早く一木(一木支隊)の生き残りに知らせるんだ!」
「え~ッ! あれは正夢ですか?」
「冗談言ってる場合じゃない。五日後だ! 早く行け」
「行けって言っても、何処に」
「飛行場だ」
「そんな・・・」
「みんなを起こして手分けして探すんだ。俺は先に行くぞ」
「ま、待って下さい。おい! みんな、起きろ!」
五人の兵隊が眠い目を擦りながら起きる。
福原軍曹が、
「いゃ~あ、昨夜、変な夢を見た」
河野上等兵、
「え? 自分もです」
残りの三人の兵隊も、
「俺もだ」
関元曹長、
「あれは夢じゃない。本物だ。早く起きろ! 行くぞ」
福原軍曹、
「行く? 何処へ?」
関元曹長、
「良いから俺に続け。後で話す」
六人の兵士が武器をぶら提げ、関元曹長の後を追う。
椰子の木陰に七人が集まっている。
関元曹長が、
「アイツ等、何処に隠れているんでしょう」
木原少尉、
「飛行場近くの穴グラと言ってたな。よし、手分けして探そう。昼に成ったら此処に集まれ」
六人の兵士が、
「はい」
木原少尉、
「散開!」
走って捜しに行く木原少尉達七人の兵士達。
太陽が真上に上がっている。
福原軍曹が椰子の根元に座っている。
木村一等兵が戻って来る。
福原軍曹が、
「どうだった?」
「分りません。分かる様な所には居ない筈です」
「そりゃ、そうだな」
木原少尉が戻って来る。
福原軍曹が、
「あ、少尉殿! どうでしたか?」
「居ない。関元と大宮は?」
「まだ戻って来ません」
暫くして関元曹長と大宮上等兵が戻って来る。
関元曹長が、
「いや~、分りませんなあ。穴グラなんてあちこちに有るし、友軍の砲撃で、ほとんどの椰子がすっ飛んじまって。随分、遠くまで見えるんですが・・・」
大宮上等兵が、
「夜まで待ちますか」
木原少尉、
「バカ者! キサマは生きて帰りたくないのか!」
「はい! 帰りたいです」
「後は、河野と森が頼みか・・・」
河野上等兵が戻って来る。
木原少尉が
「居たか」
「居ません」
木原少尉は腕時計を見ながら、
「最後の頼みの綱は森 か」
なかなか戻って来ない森 二等兵。
関元曹長、
「来ないなあ。アイツ、やられたか?」
暫くして、息を荒げながら森 二等兵が走って来る。
河野上等兵が、
「来たッ! 森が戻って来ました」
森 二等兵は息を整え、木原少尉の前に立。
敬礼をして、
「すいません。遅れました」
「おお。心配したぞ。どうだった」
「居ました!」
六人が驚き、
「 居た?」
どよめく六人。
木原少尉が、
「伝えたか」
「ハイ! 多分、今日中には島に残る全兵に伝わる筈です」
「そうか。よしッ! 俺達は先に岬に向かおう」
六人の兵士が、
「はい!」
続く




