第26話 住民に狙われる
上陸四ヶ月目の朝。
雨である。
丸山道の伐採木のあちらこちらに、雨に濡れてボロボロの軍衣を纏った「白骨兵」が座っている。
鳥の鳴き声が雨のジャングルに響き渡る。
寝ている木村一等兵の顔に蠅が三匹とまっている。
木原少尉が起き上がって周囲を見回し、
「大宮は何処に行った?」
関元曹長は寝ぼけて、
「・・・糞でもタレに行ったんでしょう」
突然、ジャングルに『叫び声』が響く。
関元曹長、福原軍曹、木村一等兵、森 二等兵が飛び起きる
木原少尉が、
「何だ!」
福原軍曹、
「ヒトの声ですね・・・」
関元曹長が、
「あッ! 大宮だ」
森 二等兵が焦って、
「やられたか」
木原少尉、
「おい、行こう!」
木原少尉達が銃を持ってホラ穴兵舎から飛び出て行く。
歩哨(見張り)の河野上等兵が木陰に隠れカービン銃を構えて居る。
木原少尉が河野上等兵を見て、
「どうした!」
河野上等兵、
「大宮の声です」
木原少尉が、
「関元、左に行け! 福原、右! 木村、道! 河野は此処に居ろ。俺と森は下の川を見て来る。急げ」
暫くして五人が戻って来る。
木原少尉が、
「居たか」
「居ません」
木原少尉、
「何処に行ったんだろう」
関元曹長、
「捕まったか?」
木原少尉が焦って、
「おい、直ぐに此処を引き払おう」
木原少尉以下六人の残兵達が急いでホラ穴兵舎に入る。
荷物を纏め、移動の準備をしている六人。
そこに大宮上等兵が顔面血だらけで戻って来る。
六人が驚いて大宮上等兵を見る。
木原少尉が、
「どうした! その顔は」
大宮上等兵、
「住民にやられました」
木原少尉、
「ジュウミンに? どこを」
「頭です・・・」
大宮上等兵の頭から血が吹き出している。
関元曹長、
「まだこの辺に居るかもしれません」
福原軍曹が、
「アメ功にタレ込まれたら大ゴトですよ」
木原少尉が、
「とにかく傷の手当てをして、直ぐ此処を出よう。森、救急箱を持って来い」
「はい」
森二等兵が大宮上等兵の頭に包帯を巻いている。
全員が荷物をまとめ終わる。
木原少尉は全員の軍装を見て、
「襟の階級章は焚火で焼いてしまえ。狙撃されるぞ。もし、俘虜に成っても一兵卒で通せ」
全員が、
「ハイ」
続く




