第27話 エスペランサ(希 望)
ジャングルの丸山道を北に向かって急ぐ木原少尉達。
雨は益々、酷く成る。
関元曹長と大宮上等兵、河野上等兵は米軍の大きな鉄帽を被っている。
関元曹長が、
「このまま行くと飛行場ですな」
木原少尉、
「うん。キサマ等、弾は何発残ってる」
関元曹長、
「五発です」
福原軍曹、
「四発です」
河野上等兵、
「はい、・・・五発です」
木村一等兵、
「自分は七発です」
森 二等兵、
「五発!」
大宮上等兵、
「自分のはアメ功の自動小銃ですから、結構弾は入ってるみたいです」
森 二等兵
「自分もアメリカ製です」
木原少尉が、
「俺は拳銃に五発か・・・。おい、迂回しょう。野村伍長が言ってた『エスペランサと云う岬』に向かうぞ」
関元曹長が、
「その岬って云うのはどこに在るんですか? 地図もねえのにこのジャングルの中を行ったら死にに行く様なもんですよ」
河野上等兵、
「あのー・・・」
関元曹長、
「何だ」
河野上等兵、
「さっき日本兵のホトケさんの傍にこんなものが」
河野上等兵は油紙に包まれた図面らしき物を関元曹長に渡す。
関元曹長が雨に濡れない様に、樹の陰で油紙を開く。
「・・・地図の様だな」
木原少尉が、
「地図? おい、貸してみろ」
木原少尉は関元曹長から図面を取り上げる。
「・・・飛行場の見取り図か?」
福原軍曹が図面を覗き、
「こんなモノ、俺達の方がよっぽど詳しいじゃないですか」
木原少尉が、
「おい、待て。北の矢印の先に『エスぺル(希望)』と書いてあるぞ」
関元曹長、
「木原さん! もしかしたら、これがあの岬かも」
木原少尉の雨にシブいた顔が柔らかく歪がむ。
「よ~し! 海岸を行こう。海岸なら迷う事はないだろう」
関元曹長、
「行きましょう。どうせ死んで元々だ。その内、早坂中隊のホトケ様達が迎えに来てくれるでしょう」
五人の声に気合が入る。
「行きましょうッ!」
続く




