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第十七話「審判」

前回、ボルドーを中心としたペシミール国軍の活躍により、脅威となっていた盗賊団の一味は全員捕えることができた。

作戦から戻ってきた部隊は、きちんと賊を投獄した後、一度報告を実施する。

今回会議室には、作戦に参加したボルドーやニックとヒッチも壁際に立っている。


「それでは、今回の盗賊団捕獲作戦について順番に報告を」


「はっ!昨日、襲撃用に部隊を編成し、予定通り作戦を決行。2重に包囲網を敷いたことにより、盗賊団の一味は全て身柄を確保することに成功しました!盗賊団の構成は、男9人、女2人、うち12歳以下の子供2人。本日帰城後、滞りなく全員牢へ投獄し、現在24時間の監視体制下にあります!」


ボルドーは胸を張って報告する。


「うむ、賊の頭領についてはどうだったか?」


「はいっ。頭領に関してですが、作戦時にはベルナルド殿が単独で対峙し、我々が到着した時にはその身柄を確保していました。あの中では一番厄介な者だと思われますが、現状は他の者と同じように大人しくしております」


ここは、ニックが報告する。


「ふむ、現状問題はなしか。しかし、ベルナルド殿が作戦に参加してくれて本当に良かった。頭領だけ逃げられていた可能性もあったと見える」


ボルドーは悔しげに少し俯く。


「審判の時までは問題なさそうだな。ベルナルド殿、今回も作戦に参加しただけでなく我が兵士たちの尻拭いまでしていただいたようで、我が国一同誠に感謝いたします。(ベルナルドに対して、全員からの深々とした礼が向けられる)そして、皆の者ご苦労であった。作戦に参加した者たちは休息をとると良い」


ガルド国王からの労いの言葉により、作戦の報告会議は締められた。


♢♢♢


この後、賊の処遇について審判が下されることになるが、その前に会議が開催される。


参加者は国王、大臣を中心に文官など、そして、ベルナルドも参加を認められている。


「それでは、盗賊たちの審判前の会議を開催する」


「この後の段取りについては、速やかに審議の用意をし、奴らの話を聞いた後、審判を下す。こちらについて異論がある者は?」


誰も手を挙げるものはいない。


「奴らの処遇に関してだが、このペシミール王国の希少な資源への略奪行為は極めて許しがい行為である。極刑は免れないものであるとする。こちらについても異論がある者は?」


スッ。


ベルナルドは手を挙げる。


「懲役刑の可能性は?彼らが略奪したもの以上をこの国に還元するということを以っての釈放とするのはどうだろう?」


「懲役刑というのは、彼らの行為に対しては寛大な措置ですな。しかし、我が国は食料も人材も十分ではありません。そこまで面倒を見てやる義理はありません」


「因みに私のケースと比較するとどうだろう?食い扶持は増えたはずだが……」


「それは、比べるまでもありません。ベルナルド殿はお一人ですし、勇者様であります。前提条件が全く異なります」


「ふむ……」


(罪、刑罰、11人の盗賊たち、リソース問題、立場の違い……)


ベルナルドはグルコースを消費します。


「それでは、こういうのはどうだろう……」


ゴニョゴニョゴニョ……


その後ベルナルドの提案を元に、話し合いが続けられました。


♢♢♢


今回の作戦成功とこの後の審判について、城内は噂話に花が咲いています。


「どうやら、盗賊団の連中は全員捕まったらしいぞ」

「ほんと良かった。下流国家だからって舐めてるからこうなるんだよ」

「今回はボルドー殿が指揮を取ったらしいな」

「ああ、でも頭領を捕えたのはベルナルド様という話だ」

「何はともあれ、これで一安心だ」


「しかし、盗賊団の処遇はどうなるんだろう」

「さあな。でも、この国での略奪行為は厳しい処罰が下されることになっている」

「だよな……でも、女子供もいるって話だ」

「慣例だから、仕方ないだろう……」


以前とは違い、安心感により饒舌になっていますが、やはり盗賊団がどうなるか気になっているようです。


♢♢♢


いよいよ、審判の時。


場所は、城の広場。

盗賊たちは全員中央に座らされており、周囲は兵士たちが取り囲む。

審判を下す立場の者たちは、数段高い位置に鎮座している。

審判を取り仕切るのはガルド国王である。


「これより、盗賊団たちの審判を開始する」


「この者たちは頭領のゲハールを中心とした11名の盗賊団である。つい先日、我が国の荷馬車を襲い貴重な国民を傷つけ、希少な資源を略奪した。その行為の全てが、大変身勝手なものである。このような行為に対して、我が国は慈悲を持たぬ。しかし人として、審判を下す前に、奴らにも話をする機会くらいは与えよう。……何か申し開きはあるか?これが最後の機会かもしれぬぞ」


頭領のゲハールが口を開く。


「俺のやったことに間違いはねえ!間違っているのは、この世界さ。だが、こうなったらどうしようもねえ、死刑にしたいのなら好きにすればいい。だが、この中には女子供もいる。こいつらは、俺たちについてきているだけで略奪行為に参加してねえ!だから、こいつらだけは見逃してやってくれ!」


女性たちと子供は、この場にいる恐怖で涙を流していたが、ゲハールの優しさが混濁し嗚咽を漏らす。


「俺たちからも頼む!略奪に参加したのは、俺たちだけだ!こいつらは居場所を守っていただけだ!」


……


広場には、盗賊たちの声しか反響しない。


「他に言い残すことはないか……?」


「これ以上言うことはねえ!」


ゲハールの言葉を最後に審判が下されることとなる……。

国王はベルナルドの顔を見る。


「それでは、審判を下そう」


「この後だが、まずゲハールを中心に数名が農業、畜産業へ従事しOJTを受けることになる。その他の者たちは暫くは牢獄生活。当面の費用はベルナルド殿が出してくれることとなるが、しかし、牢獄の中の者たちも含め全て自分たちで面倒を見ること。これは、少なくとも略奪した資源の2倍の収益をもたらすまでは続くこととなる。もし途中で、誰かが1人でもこの国から逃げたら全員極刑となるため心に刻んでおくように……。そして最後に、この判断は我が国というより、ベルナルド殿のご提案によるものである。偉大な勇者であるベルナルド殿のご厚情に感謝するのだな」


「「「へっ!?」」」」


盗賊の一味は、事態が飲み込めずポカーンとしたまま、審判は滞りなく終了しました。


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