59/78
068⚫️彗星?いや隕石なんですけど
「陛下。ラベンダー公国より、親書が届いております。」
「ラベンダー??どこだ、それは?」
玉座に深く腰掛けたエルドラン王が笑う。
「現在、ラグナ殿下が攻略中の北の大陸にある、弱小公国にございます。」
「ふん。そんな輩が何用だ。命乞いか?」
「いえ・・・。誠に不遜ながら、’近く貴国の領土に天から星の欠片が降り注ぐ。津波の恐れあり。領民を高所へ避難させよ’、と。」
「星の欠片だと? 戯言を。追い詰められたネズミの、小賢しい脅しだな。」
王は鼻で笑ったが、側近は言葉を継いだ。
「ただ、王立天文台からも、遥か彼方に’赤く光る星’を観測した、との報告が上がっております。」
「赤く光る星? 彗星か何かか?」
「天文台も、まだ断定はできぬと。」
「ほう。面白いではないか。その’赤い彗星’とやらが、我が国に厄災をもたらすというのか。面白い!」
王は豪快に笑い飛ばした。
「では、その星を’赤い彗星 シャー・サバイバル’と名付けよ。真に降ってくるというなら、受け止めて投げ返してやるわ!ハッ、ハッ、ハア!」
その笑い声の裏で、空の赤みは刻一刻と、その濃度を増していた。




