042●起動した、あの弾
「よくここまでたどり着いたものだな。」
ジェーンは静かに言った。
「はじめまして、ジェーン・スミスさん。わたしは、国家安全保障局のジンと言います。あなたを逮捕に来ました。」
「ふっ、セキュリティ・コアか。この国の海域に潜めば、あるいは来るかもしれんと考えたが、まんまとハマったようだな。」
「どういうことだ?!」
アキラが尋ねる。
「わたしのかわいい子どもたちを、手にかけた張本人たちに会いたかったのだ。貴様らに逃げ場のない、この絶好のポジションでな。」
「わたしたち、人を殺めたりなんかしてないよ。なんのことよ?」
エイミーが問う。
「犯罪に手を染めたものが、それを自ら認めることなど、ない!これまでの‘サード・アイ’がそうだったように、歴代の‘ジョン・スミス’がそうだったようにね。」
ジェーンは遠い目をした。
「あの、ジェーンさん、本当にわたしたち、お子様には何にもしていません。・・・でも、信じてはいただけないのですね。」
ココアの声には悲しみが滲んでいる。
‘808’から下船し、4人は警備を蹴散らしリーダーを探した。
天井から降りた隔壁は、ココアがアクセスして道を開く。
アキラの怪力が、バリケードを突破する。
エイミーがドアを蹴破る。
ジンの気功弾が炸裂した。
「オレたち、ここに着いて、あんたに会うまでの間も、誰の命も奪ってないぞ!」
「もう、遅い。シヴァの教えに従い、古きものを葬り去る。新世界が来るのを、共に地獄の底から見ようではないか。」
ジェーンは不気味な笑みを浮かべる。
「ジェーンさん、以前、ジョン・スミス代表とお話ししましたが、だれにでも武器や兵器、その他を与え続けることは、よくないとわたしは考えています。」
「ふん。ジンと言ったか。議論の余地はない。‘刀狩り’が平和に寄与するのか、あるいは‘武装’こそがそうなのか、永遠の課題、答えはでないのだから。」
「それでも、国々は戦略兵器削減交渉に入ることができます。強力な兵器を持ち続けることは、はやり危険があると認識しているからです。」
ジンが説得を始める。
「それは、単に予算が尽きて来たからにすぎない。いずれ人類は滅ぶ。近い将来か、今か、というだけだ。」
「違う!自分だけ楽をしようとか、利益を得ようとか、そう考える心とこそ闘って分かち合い、助け合い、みんなで生き延びるんだ!人類も動物も植物も!山も河も海も!」
アキラが胸の奥底から叫ぶ。
「いっただろう。もう遅い・・・。すでに我らの超破壊兵器、‘アルマゲ弾’は起動している。あと30秒で爆発、ドーン・・・だ。我々の跡を継ぐのは、人類以外の何者なのか、楽しみだ!」
ジェーンの乾いた声が、部屋に響いた。




