026⚫️大一番
その世界線では、あらゆる’武力行使’が禁じられていた。国同士がそれに代わる決着方法をとして選ばれたのは・・・双方の代表による’一騎打ち’である。
受けて立つ側には、種目を選ぶ権利がある。格闘技、じゃんけん、あるいは、くじ引き・・・。何でも可能である。
もし、同時に宣戦布告する場合は、第三者の中立国が選ばれ、戦う種目を選定する。そこに作為がないように、世界中から注目も集まるのだ。
「なに! 我が国に宣戦布告だと?!」
「くっ。急いで種目を決めねばならん!何が有利だ?」
「そりゃあ’国技’って言ってるくらいですから、相撲でしょう!」
「だが、代表者は外国出身の選手ではダメだろう?」
「はい。国籍をコロコロ変えている場合は’代表者なりすましバイト’と見なされます。」
「ということは、外国にルーツがあっても、我が国籍取得済みなら問題ないのだな?」
「ええ。また、今は外国籍でも、長く我が国に住み、周囲と継続的かつ良好な人間関係を築いていれば、国際審査のうえで代表になれます。」
「よし!横綱を呼べ!」
土俵に立つ相手は、2メートルを超える筋肉の質量、ゴーリキー。
対するは青い瞳の名横綱、天つ風。
時間いっぱい。軍配が返る。
当たった!
凄まじい肉体の衝突音!
ゴーリキーの猛烈な張り手が天つ風の顔面を捉える!
天つ風、堪えて前へ。回しを掴む。がっぷり四つ!
力と力が、土俵の上で火花を散らす!
わずかにゴーリキーが押す!
天つ風の足が徳俵にかかったあ!
万事休すか? その瞬間!!
天つ風の体が沈み、下手投げを打つ!
ゴーリキーの 巨体が弧を描いて宙を舞う!
両者、土俵下へ落ちる!
審判が手を挙げ、ビデオ判定が走る。
「ただいまの一番、行司軍配通り、天つ風の勝ちといたします。」
世界中がこの熱狂を共有した。視聴率は90パーセントを超えた。
「凄かった!なぁ、もし、うちの国が同じ状況になったら、お前は何を選ぶ?」
「そりゃあ、決まってるだろ。俺の出番!’なぞなぞ’だよ!」




