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025⚫️万能薬
「ねえ、おかあさん。あの百貨店、新しくなったって言うけど、前とあんまり変わらないよね?たしかに背は高くなったけど、ガラスのところが上にくっついてるだけじゃない?」
「ふふ、そう見えるわよね。でもね、中に入ると全然違うの。まっさらで、今できることをいっぱい詰めこんであるのよ。」
少年は思わず息をのんだ。
中は外よりずっと涼しくて、空気がやわらかい。
照明も優しくて、エレベーターは音もなく滑るように動く。
「これって、中身だけ入れ替えたってこと?」
「そうとも言えるわね。外側のレンガを中から薄く削って、昔の人が造ってくれた見える部分はちゃんと残したの。どう?」
「うん、すてきだと思う。なんか・・・むかしの人たちの気持ちが聞こえてくるみたい。」
「まあ、詩人ね。古いからダメとか、新しいからいいとか、そういう単純な話じゃないのよ。古くても’いいな’って思えるものは、壊さずに残していきたいの。」
温故知新。
ふるきをたずねて新しきを知る。
最新の治療薬もすごいけれど、
母の「ちちんぷいぷい、痛いの痛いの飛んでいけ〜」は、
子どもにとって今も昔も、最高の万能薬なのだから。




