↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死にたくないので婚約ご遠慮します  作者: 夏笆


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

79/100

十三、フレミング侯爵領 7、



「ああ。小鳥の鳴き声が、早朝って感じで素敵ね」

 澄んだ空気を思い切り吸い込み、アイリーンは、心地よさそうに微笑んだ。

「早朝に、ふたりきり。馬で散歩をするというのも、いいね。アイリーン」

「いや待て。ふたりきりじゃねえし、そもそも散歩じゃねえからな?」

 護衛も含め、結構な人数で馬を連ねているにも関わらず、なブラッドフォードの言葉に、アシュトンがすかさず突っ込む。

「はは。でも確かに、空気が気持ちいいね」

「私、大森林って、もっと鬱蒼としていると、勝手に思っていたのだけれど、違うのね」

 朝日が昇り、木漏れ日を感じるようになって、神秘的でもあると、アイリーンはうっとりと呟いた。

「アイリーン。やっぱり、一緒に乗った方がよくない?」

 朝日を浴びながら馬に乗るアイリーンから、ブラッドフォードは目が離せない。

 ゆらゆらと楽しみながら馬に揺られるアイリーンは、危なっかしくもないのに、ブラッドフォードはやはりふたりで騎乗したかった思いを捨てらずにいた。

「そんなに心配ですか?ブラッドフォード様と、馬を並べて歩きたくて、一生懸命練習したんですけど」

「まさか。アイリーンの乗馬技術に、不安はないよ」

 しかし、ブラッドフォードの願い空しく、アイリーンはそんな風に言って、しょぼんとしてしまい、ブラッドフォードは慌ててそれを否定する。

「ブラッドフォード。未だ諦めていなかったんだね」

「お前。ほんっと、アイリーン関係になると馬鹿になるよな。残念っていうか」

「大森林の村を出る時にも、その遣り取りはさんざんしただろうに」

 アイリーンと馬に二人乗りがしたい。

 それだけなのに、アイリーンに誤解させてしまい、ブラッドフォードは慌てた。

「じゃ、じゃあ、アイリーン。少し速く走らせて、ふたりで少し歩くというのは・・いや、冗談だよ」

 流石にそれは単独行動が過ぎると自覚したブラッドフォードは、大きなため息を吐きながらも、自らその案を引き下げる。

「ブラッドフォード様。私、いつかブラッドフォード様とふたりで馬を並べて、領内を見て回るのが夢なんです」

「っ!それは、いいね。絶対に、そうしよう」

 秘密を告白するよう、恥ずかしそうに言ったアイリーンに、ブラッドフォードは、すぐさま活力を取り戻して即答した。

 そんなブラッドフォードを見て、クリス達が、またも苦笑する。

「『アーサーズ公爵子息を動かしたくば、ドレイク伯爵令嬢を落とせ』とは、よく言ったものだね」

「でも実は、逆も然(しか)りってこと、俺達は知っているんだよね」

「まあ、何にせよ。よく眠れたようでよかった」

 大森林の村では、モーリス達が視察に来る時に使う宿舎に泊まったのだが、その建物にアイリーンが大きく興奮して『こんなロッジの宿泊施設があったらいいと思わない?』と、いつもの如くに目を輝かせ、色々な案を出し始めるという事態が発生。

 そして、こちらもいつもの如く、ブラッドフォードはじめ四人もその話を興味深く聞いて、このままでは眠る時間がなくなると気づくまで白熱した。

「しかし、アイリーンは面白い。話し始めるのもアイリーンなら、いきなり寝なければと言い出すのも、アイリーン」

「確かに。いきなりなんだよな、いつも」

 モーリスの言葉にアシュトンも頷き、クリスは、仲良く話しているブラッドフォードとアイリーンを見る。

「あの状態。既に、ふたりで歩いているみたいなもの、じゃないかなと思うのだけれど」

「言えてる。お得意の、ふたりの世界だな」

「いつものことだ」


 アイリーンが、何かを指さし、ブラッドフォードが、それに答える。

 ブラッドフォードが、何事かを囁き、アイリーンと笑い合う。


「まあ、飛び地に着くまでの自由時間のようなものかな」

「言えてる。事件解決の糸口探しだけじゃなくて、アイリーンは、飛び地でも何か面白いこと考えつきそうだもんな」

「ロッジの案だけでも、充分だ」

 そんなふたりを見ながら、クリス達も、ゆったりと馬を歩かせた。





ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。