表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死にたくないので婚約ご遠慮します  作者: 夏笆


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/5

一、桃色注意報 3、



「それで?アイリーン嬢。君が見た夢に出て来るという、節操無し女・・男爵令嬢の名前は?」

 唐突に話題を変換されたアイリーンは、何を考えるより前に、ゲームでの愛らしい彼女を思い出しつつ、その名前を答える。

「ベティ・コーツ男爵令嬢です。桃色の髪と瞳が可愛い・・・」

「僕達が、その女に会うのは、いつ?」

「十五歳です。貴族院で、運命の出会いを」

「手玉に取る相手は、複数だと言ったよね?誰だか分かる?」

「あ、はい。まず、当然の如くブラッドフォード・アーサーズ公爵子息、あなた様ですね。それからクリス第二王子殿下、モーリス・フレミング侯爵子息、アシュトン・キーズ辺境伯子息のお三方。アーサーズ公爵子息を入れて、四名の方々です」

「ふううん。みんな、既に俺の知り合いなんだけど」

 面白くなさそうに言ったブラッドフォードの言葉に、またもアイリーンは瞳を輝かせた。

「やっぱりですか!?皆様、ご幼少のみぎりよりのお仲間で、しかも全員優秀で見目麗しく素敵な方ばかりですよねえ」

「随分、うっとりするんだね?まるで、見て来たようだ」

「だって、素敵なスチルがたくさんあったんですよ!頭脳派のフレミング侯爵子息モーリス様のチェス対決の時のスチルとか、剣の腕ならだれにも負けないキーズ辺境伯子息アシュトン様の剣裁きとか!ああ、でも一番素敵だったのは、やっぱりブラッドフォード様が馬上で弓を射る場面。アップになっても耐えうる麗しくも凛々しいご尊顔と、馬上にも関わらず正確に弓を射る体幹の素晴らしさ・・・思い出しただけで、ごはん三杯はいけます」

「へえ。悪くないね。他の奴もいるのが気に食わないけど。で?その俺は、今からすると未来の俺ってこと?」

「そうですね。貴族院に入学してから・・・っ!」

 そこで漸くはっと気づいて口を押えるも、時すでに遅し。

 アイリーンは、蛇に睨まれた蛙の心境で、悪戯が成功したかのような笑みを浮かべるブラッドフォードを見た。

「ねえ、アイリーン。今の話から察するに、アイリーンは僕を嫌いじゃないよね?」

「・・・・・はい」

「良かった。僕も、君とならやっていけると確信した。ということで、婚約しても問題ないね。これから、よろしく」

「は?・・え」

 前世、ブラッドフォードはアイリーンの推しだった。

 なので、当然嫌いではないどころか、ずっと見つめていたい対象である。

 だがしかし、だからといって婚約者になりたいかと言われると、それは恐れ多いとしか答えられない。

 たとえ生身同士で向き合う状況になったとはいえ、優秀さや、容姿、人望。

どれを取ってもとても同じ土俵に立てるとは思えない、というのがアイリーンの正直な感想だった。

「君にとってもいい話だと思うんだけどな。考えてもごらんよ。今の僕は、残念ながら馬上で弓を射るなんてことはできない。でも、未来の僕はできる。ということは、アイリーン。君は、僕がそれを可能にしていく姿を、誰よりも近くで見ることができるんだ。いわば、特等席だよ?」

 しかし、恐れ多いという言葉を口にするより早く、ブラッドフォードはアイリーンにとって、とてつもなく魅力的な誘いをかけて来た。

 それに、アイリーンの心は、ぐらぐら揺れる。

「特等席・・確かに」

「だろう?じゃあ、決まりだね。あ、当然、僕も君を誰より近くで見守る特等席、独占させてもらうからね」

「え」

「何か、不満?僕じゃあ、やっぱり嫌なの?」

「違います!私を見守る特等席の価値と、アーサーズ公爵子息を見守る特等席の価値が同等の扱いというのは、どうなのかと思いまして」

 ゲームのなかでのブラッドフォード、ということを抜きにしても、公爵子息で文武両道を地で行くブラッドフォードと自分では、それこそ月とすっぽん。

 同等であるなど有り得ないと、アイリーンは苦い顔になった。

「なんだ。それは、僕のなかでは等価値だから、何も問題ないよ。そんなことより」

「そんなことより?」

 そんなことではないだろう、と思うアイリーンに、ブラッドフォードは意味深な笑みを浮かべてみせる。

「うん。君が夢だと言っているもの。本当は、何なの?予知夢にしては、スチルとかいう、聞きなれない言葉があったんだけど。それも『げ』から始まる言葉に通じるものがあるのかな?」

「・・・・・・」

「言いたくない?もしくは、言えない?何か、国家機密に関するような秘密なのかな?」

「こっ!?」

 何やら重大事件の匂いがと呟くブラッドフォードに、アイリーンは懸命に首を横に振った。

「あはは。今の叫び方、その仕草も可愛いね。目を見開くのも、可愛い」

「冗談はおやめください」

「冗談じゃないよ」

「揶揄うというのも」

「本当のことしか、言っていないよ?で?教えてくれる?もちろん秘密は守るし、僕は、いい共犯者になれると思うんだ」

 にっこり。

 そんな音がしそうな笑顔で迫るブラッドフォードに、アイリーンは全力で白旗を振った。


~・~・~・~・~・

ありがとうございます。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ