第八十〇話 アークデーモン
「ライジンギルドのみなさん。四体のデーモンナイトを発見しました」
星斗達がいる討伐部隊は、高機動車での移動を止めて飛行ドローンで周囲を探索していて、自衛隊員がBランクモンスター、デーモンナイトを発見した。デーモンナイトは青色の肌の悪魔の姿で、まがまがしい姿の黒色の剣や黒色の胸当てを装備している。
「これからその場所の近くまで移動しますので、戦闘準備をお願いします」
三台の高機動車が、デーモンナイトがいる場所に向かって進んでいく。そしてデーモンナイトから少し離れた場所で高機動車が止まり、星斗、アンリ、明日香、島、鈴木、成田の六人が車から降りる。
「島さん。ゴールドナイト達を呼びますか?」
「Bランク四体なら呼ばなくても問題ないけど、一度召喚すれば、ずっと一緒に戦えるんでしょ」
「はい。今日一日なら大丈夫です」
「なら車の席も空いてるし、今、召喚してくれる?」
「わかりました」
星斗はゴールドナイト、ハイダークエルフ、仙狐を召喚した。
「じゃあ、私と明日香と本条君とアンリちゃんで、一体づつ相手をしましょう。鈴木君とゴールドナイトは、いざという時のために後衛達を守って」
「わかりました」
「おう。まかせろ」
「後衛達は待機ね」
「了解」
作戦が決まり、星斗達がデーモンナイトがいる場所に向かって歩いていく。すると建物のがれきの先に四体のデーモンナイトがいて、彼らも星斗達のことに気づく。
「人間か!」
「人間の覚醒者だな。俺達と戦いに来たのか」
「ふん。人間ごときが!」
「我ら魔族の力! 思い知らせてやる!」
四体のデーモンナイトが、腰の剣を抜いて星斗達へ向かって走りだす。それを星斗達が待ち構える。すると、
デーモンナイト
エクストラスキル
剣術(A) 闇魔法(B)
どれを誰にコピーしますか?
と星斗の目の前にウィンドウが表示された。
(Bランクモンスターなのに、Aランクの剣術を持ってるのは珍しいな。でもどっちもいらない)
「くらえ!」
星斗に向かってきたデーモンナイトが、持っていた剣に黒いオーラをまとわせて振り上げる。
「黒魔……」
「氷結斬!」
デーモンナイトが闇属性の魔法剣、黒魔斬で星斗を攻撃しようとするが、彼はそれよりも速く氷属性の魔法剣を放つ。
「ぐあああああああああ!」
冷気の斬撃が、デーモンナイトの胸当てでおおわれてない腹部に命中し、その傷が致命傷となってデーモンナイトはその場に倒れて消滅した。そして魔石(大)が出現する。
(敵の動きがはっきりわかる。これも空間把握のおかげだな)
さらに星斗は、彼の周囲で残り三体のアークデーモンが明日香達によって倒されたことも、目で見ることなく知ることができた。一方、明日香も星斗の戦いを感知していた。彼女は星斗よりランクの高い空間把握(S)を持っていた。
(会うたびに強くなってる。信じられない成長スピードだわ。もう私と互角かもしれない……)
明日香は星斗の強さを感じ取り、その成長に驚いている。
「やっぱ、Bランクなら問題ないわね。本条君。魔石をお願いね」
「了解です」
島の指示で、星斗がデーモンナイトがドロップした二つの魔石(大)を回収する。大規模作戦では、モンスターを倒した者がその戦利品を手に入れることができるルールだったが、ライジンギルドでは大規模作戦で入手した戦利品は、作戦終了後にいつものように明日香が配分することになっていた。
その後、星斗達は高機動車で北側のモンスター支配地域のモンスターを駆除しながら進んでいく。それからしばらくすると、自衛隊の偵察ドローンが悪魔系モンスターの群れを発見した。
「デーモンナイトが十一体。それとあれは……ア、アークデーモンか!」
アークデーモンは、黒い肌で頭に二本の不気味な角を持ち、背中に悪魔の翼を持つAランク上位の悪魔系モンスターだった。
「アークデーモンって、Aランク上位の奴よね」
「問題ないわ。私達はAランク最上位のブラックドラゴンを倒してるし」
少し不安そうな成田に島がそう答える。
「心配ない。悪魔系相手なら、この漆黒の盾と鎧が役に立つはずだ」
鈴木は、ここは悪魔系のモンスターが多いので、ブラックドラゴンと戦った時の闇属性に耐性を持つ防具を装備していた。
「そうね。でも今回は十一体のデーモンナイトも一緒だから、作戦を考えましょう」
島が即座にアークデーモンとデーモンナイトとの作戦を考えて皆に伝える。
「まず、アークデーモンは、本条君、ゴールドナイト、鈴木君の三人で足止めをお願い。その間にほかのメンバーが、十一体のデーモンナイトを全力で倒しましょう。そしてデーモンナイトが全滅したら、全員でアークデーモンを攻撃ね」
「了解」
作戦が決まり、星斗達は高機動車で移動して、目的の場所から少し離れた場所で車から降り、アークデーモン達に近づいていく。
「まだ奴らはこっちに気づいていない。さっき言った作戦の前に、魔法で先制攻撃できそうね」
「まかせて」
「私も準備します」
「俺も」
「魔法なら私におまかせください」
成田、アンリ、星斗、ハイダークエルフが魔法発動の準備を始め、その四人を守るように、鈴木とゴールドナイトが前に立って盾を構える。するとアークデーモンが星斗達の存在に気づいた。
「人間か!」
「こんなところまで人間が!」
「奴らを生きて返すな!」
「かかれ!」
星斗達に向かって十一体のデーモンナイトが一斉に突撃してくる。一方、アークデーモンはその場で動かず、様子を見ていた。
「私はまだ無理」
「私も」
「俺はいけます」
「私も準備完了です」
成田とアンリはまだ魔法発動準備中だったが、星斗とハイダークエルフは魔法発動の準備が完了する。
「じゃあ、お願い! 鈴木君とゴールドナイトは下がって」
「コールドストーム!」
「サンダーストーム!」
星斗とハイダークエルフの二人の上級魔法が広範囲に同時に放たれ、迫ってくる十一体のデーモンナイト達が冷気と雷の嵐に飲み込まれる。
「ぐあああああっ!」
「ぐぐっ!」
「ぎぁああああああああ!」
二人の同時魔法によって、十一体のデーモンナイトのうち五体が倒れて消滅し、残り六体も大ダメージを受けてすぐに動けずにいた。
「おのれ! 人間どもめ!」
この状況にアークデーモンが怒り、空を飛んで星斗達に迫ってくる。
「先制魔法で、想定してたより楽になった。ここからは作戦通りにいきましょう」
「はい!」
星斗、ゴールドナイト、鈴木が、高速で飛んでくるアークデーモンの正面に立って待ち構える。すると星斗の目の前に、
アークデーモン
エクストラスキル
剣術(A) 闇魔法(A) 暗黒闘気(A)
どれを誰にコピーしますか?
とウィンドウに表示された。
次回 慢心 に続く




