第七十九話 新たな大規模作戦
(おお、これが英雄の腕輪か。絶対、強い装飾品だ。後で装備して効果を調べよう)
今回の全国覚醒者ランキング戦の優勝賞品が英雄の腕輪ということは公表されていたが、その効果までは公開されていなかった。それで星斗は英雄の腕輪の効果を色々想像しながら嬉しそうにしている。その授賞式の様子を、観客席から明日香、島、アンリが見ている。
「本条君、有名になっちゃったね」
「圧倒的な強さで優勝したからね。まあ、これでライジンギルドの名声も上がったでしょ」
明日香と島が嬉しそうにそう話す。
「それで本条君の優勝パーティ、する?」
「どうだろ。彼、パーティとか喜ぶかな」
「ああ、そういうの苦手な人もいるか」
「じゃあ、私が明日、本人に聞いてみます」
「ならこの件はアンリちゃんにまかせた」
その後、閉会式が終わり、星斗やアンリ達は、食事をしたりお土産を買ったりしてから自宅へ帰っていった。そしてその日の夜、星斗は帰宅して自室で英雄の腕輪を装備してみる。
英雄の腕輪 攻+15% 魔法耐性20% サイズ自動調整機能付き
「おお! 強い! それにサイズ自動調整機能があれば、ゴールドナイトに装備できる!」
ゴールドナイト
黄金の剣 攻+80
黄金の鎧 防+50
黄金の盾 防+40
大地の腕輪 防+15%
黒竜の腕輪 攻+15% 魔力+15%
英雄の腕輪 攻+15% 魔法耐性20%
「これでまたゴールドナイトが強くなって俺達の戦力が上がった。でもまだまだだ。ライトウィングギルドのエースパーティくらいまで強くならないと」
星斗は二日間に渡る試合と長距離移動に疲れたので、その日はお風呂に入ってすぐに就寝した。
それから数日後、ライジンギルドの本部ビルで、星斗の優勝パーティが開かれた。小規模なパーティならという本人の希望で、ライジンギルドのエースパーティと数人の事務員だけのパーティになり、星斗達は豪華な食事などで楽しんだ。
それから時が過ぎて十月の平日の朝になる。星斗はいつものように教室の自分の席で授業が始まるのを待っていると、登校してきたアンリが彼の席までやって来る。
「本条君。おはよ!」
「おはよう」
「お姉ちゃんから聞いたんだけど、二週間後、久我ダンジョンのモンスター支配地域で、大規模作戦だって」
「おお、やっときたか」
「私もAランク覚醒者になったし、今回の報酬、楽しみね」
アンリも先月に星斗と同じAランク覚醒者になっていた。
「うん。そのためにAランク覚醒者になったからね」
「そうよね。ああ、詳しい日程が決まったらまた連絡するよ」
用件が済んだアンリは、自分の席へ歩いていく。
(帰ったら、久我ダンジョンのことを詳しく調べてみよう)
星斗はその日の夜、自室のノートパソコンで久我ダンジョンのことを調べる。
「バフォメットは、三体のモンスターを召喚できるのか」
今回の大規模作戦の最終討伐目標は、悪魔系のSランクモンスター、バフォメットで、久我ダンジョンは悪魔系のモンスターが多いという特徴があった。
「三体ならAランクの召喚だから俺と同じだ。それに闇系最上級魔法を使うから、Sランクの闇魔法を持ってるな。これをハイダークエルフに上書きコピーすることを目標にしよう。今回もうまく近づければいいんだけど」
星斗はほかにも久我ダンジョンのモンスター支配地域に出現するモンスターの情報を集める。
それから時が過ぎて二週間後、星斗はライジンギルドのメンバー達と共に〇〇県〇〇市にある久我ダンジョンの立ち入り禁止区域の入り口にある集合場所にやってきた。星斗達は昨日のうちに新幹線で近くのビジネスホテルまで来て一泊し、今日はタクシーでこの場所にやってきた。
「今回もライトウィングギルドが参戦するんですよね」
星斗が周囲を見渡しながら島にそう質問する。ここには、すでに自衛隊や、ほかの大勢の覚醒者達が到着していた。
「そう。バフォメットは強力なモンスターを三体召喚するから、国内三位までのギルドで、四つの部隊を作って対応する予定よ」
四つの部隊とは、ライトウィングギルドのエースパーティの三人、ライトウィングギルドの浅井達のパーティ、ドラゴンファングギルドのエースパーティ、そしてライジンギルドのエースパーティの四部隊だった。
「まあ、バフォメット討伐はまだ先の話よ。まず周囲のモンスターを駆除してからだから」
この久我ダンジョンのモンスター支配地域は、前の海堂ダンジョンよりかなり広く、今回の大規模作戦では、ここのモンスターの駆除に数日かける予定だった。ちなみに星斗とアンリは、学校にダンジョン攻略届を提出してここに来ている。
「みんな、そろそろ時間よ。自衛隊の車に乗りましょう」
島の指示で、三十人くらいのライジンギルドのギルドメンバー達が、自衛隊が用意した四台の高機動車に乗り込んでいく。彼らはこのモンスター支配地域の北側のモンスターの駆除を担当することになっていた。
そして覚醒者を乗せた四台の高機動車と、自衛隊員を乗せた四台の高機動車が北側の入り口へ向かって進んでいく。その後、彼らはさらに部隊を二つに分けて、モンスター支配地域の北側に侵入してゆっくりと道路を進んでいく。星斗がいる部隊は、エースパーティを乗せた高機動車一台と、自衛隊員を乗せた高機動車二台の戦力だった。
「前方にリトルデーモンを五体発見、自衛隊員、攻撃準備」
アサルトライフルを装備した自衛隊員達が、高機動車から降りて隊列を組んで銃を構える。出現したリトルデーモンは、身長が一メートルくらいの人型のモンスターで、背中にコウモリの翼を持ち、肌が紫色で短い槍を持っているCランクモンスターだった。
「ギャギャ! 人間だ!」
「人間がきたぞ!」
「ギャギャギャ!」
五体のリトルデーモンが討伐部隊に気づき、飛行しながら自衛隊員へ向かっていく。
「……撃て!」
隊長の指揮で自衛隊員達が一斉にアサルトライフルを連射し、それが飛行して向かってくる五体のリトルデーモンに命中する。
「ギギャアアアアアア!」
「ガアアアアアア!」
その射撃によって、すべてのリトルデーモンが地面に落下して消滅した。その後、その場に魔石が二個出現する。それを自衛隊員が回収し全員が高機動車に戻って、討伐部隊はさらにモンスター支配地域を進んでいく。
その後、豪華な剣と鎧を装備した骸骨のモンスター、スケルトンナイトや、炎をまとった悪魔の姿をしたファイアデーモンなどのCランクモンスターが出現したが、自衛隊員達がそれらを順調に倒していく。
次回 アークデーモン に続く




