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覚醒者学校の唯一無二の生徒  作者: 霧野夜星


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第七十八話 決勝戦

 空間把握を習得した星斗は、目を閉じて周囲の様子を探る。


(おお、俺の周囲二十メートル以内の様子が手に取るようにわかる。これが空間把握か)


 星斗は実際に使ってみて、このスキルの凄さを実感する。


「それでは準決勝、第一試合、始め!」


 審判が試合開始を宣言する。だが戦闘舞台の上の星斗と池田は、その場から動かなかった。


(し、信じられない……この人、とんでもなく強い……)


 池田は、空間把握によって星斗が隠してる圧倒的な強さを感じ取り、動けずにいた。


(ん? 様子を見てるのか。なら!)

「ゴールドナイト! ハイダークエルフ! 仙狐! 召喚!」


 星斗は右手をかざして床に三つの魔法陣を作り出す。するとそこから三体のモンスターが出現した。


「なっ、モ、モンスター! モンスターが三体も現れました!」

「あれは本条君が召喚のスキルで呼び出したモンスターですね」

「召喚ですか?」

「はい。召喚されたモンスターは、呼び出した召喚主と同じレベルになります。これで池田選手は圧倒的に不利な状況になりました」

「す、凄い! 本条選手は本人も強いのに、さらにモンスターを三体も召喚できるなんて!」

(かっこつけてゴールドナイト達を呼び出したけど、四対一で戦うと炎上するんじゃないか……)


 星斗はゴールドナイト達に何も指示せず、自分も動かずにどうするか考えている。一方、池田はゴールドナイト達の強さも感じ取り、恐怖で顔面蒼白になってその場に崩れ落ちた。


「こ、降参します……」


 池田は右手を上げて審判にそう意志を示す。


「勝者! 本条選手!」

「おおっと! 池田選手! 戦意消失してしまいました!」

「四対一では、どうしようもないですね。池田選手の判断は間違ってません」

「あんなに強いのに、モンスターも召喚できるのかよ!」

「あんなのチートだろ!」

「黄金の騎士か。あの装備、売ったらどれくらいするんだ?」

「び、美人だ……」

「可愛い! 絶対モフモフだわ!」

 

 星斗、ゴールドナイト、ハイダークエルフ、仙狐の姿を見た観客達が盛り上がっている。


(ああ、そうか。空間把握で俺達の強さを感じ取ったのか。彼女の持ってるスキルは、今まで戦った誰よりも強そうだったけど)


 星斗はそんなことを考えながら戦闘舞台から降りて控室に戻る。そして時間が進み、三位決定戦が終わって、決勝戦が始まる時間が近づいてきた。


「ついに決勝戦が始まろうとしています。決勝に進出するのは、ライジンギルドに所属している第七覚醒者学校の本条選手と、ドラゴンファングギルドに所属している第三覚醒者学校の松前選手です」

「本条選手は剣と氷魔法、そしてモンスター召喚が得意な覚醒者で、松前選手は槍と風魔法が得意な覚醒者です。さらに彼は初めて四つのエクストラスキルを持っていることを公表しています」

「それでどちらの選手が優勢でしょうか」

「それは戦ってみないとわかりませんね。二人とも優秀な選手なのは間違いないですが」

(ドラゴンファングギルドのギルドマスターという立場上、本条君が勝つとはいえない)


 今回、酒井は松前には何も作戦を与えていなかった。柴田の時は、彼にギルドで用意した最高の防御力の防具を渡し、さらに彼は防御激化も持っていたが、星斗は一撃でそれを吹き飛ばしたので、今回はもうあきらめていた。


「おお! 決勝戦で戦う二人が現れました!」


 星斗と松前が、戦闘舞台に上がって対峙する。松前は立派な槍と豪華な鎧を装備している。


(松前君のエクストラスキルはもう知ってるんだよな。まあ一応、確認するか。ランクまでは知らないし)


 松前ヒロ 

 エクストラスキル

 槍術(S) 力激化(A) 風魔法(A) 経験値増加(B)


 どれを誰にコピーしますか?


(槍術がSランクか。なら俺の二刀流剣術に槍術を上書きしとくか。槍は使わないと思うけど)


 星斗はエクストラスキルコピーの熟練度のために松前の槍術をコピーする。


(経験値増加を持ってるなら、今までの相手よりレベルが高いはず。でも防御系のエクストラスキルは持ってないから、柴田君と戦った時くらいの力で戦ってみるか)


 星斗がそう考えている一方、松前も作戦を考えていた。


(魔法もモンスター召喚も使う時間は与えない! 最初から俺の最強の一撃を使う!)

「それでは決勝戦! 試合開始!」

「うおおおおおおお!」


 試合開始直後、松前は槍を構えたまま、星斗へ向かって走りだす。それと同時に持っていた槍に膨大な魔力をまとわせる。


「破空粉砕撃!」


 松前の槍と全身が赤いオーラにつつまれ、さらに移動スピードが速くなって星斗に接近して攻撃を繰り出す。それに対し星斗は、精霊の盾を前ながら松前を超える速さで左方向へステップしてかわす。すると松前は猛スピードで突撃していたのですぐには止まれず、そのまま数メートル進んでから星斗の方を向く。


(おお! 今のは槍系の必殺技か。なら俺も!)

「氷神飛翔斬!」


 一方、星斗は電撃の剣に極寒の冷気をまとわせ、距離が離れた松前を狙って電撃の剣を振るう。すると巨大な冷気の斬撃が超高速で飛んでいき、振り向いたばかりの松前に直撃した。


「ぐあああああああああ!」


 その冷気の斬撃によって松前は後方に吹き飛んで倒れ、同時に彼の身代わりバッジが砕け散った。


「勝者! 本条選手!」

「ま、また試合開始直後に一撃で倒してしまいました! 第一回、全国覚醒者学校ランキング戦、優勝は本条選手です!」

「飛ぶ冷気の斬撃……今のスキルはいったい……」

「はい。私も初めて見ました」


 テレビの放送では、いまの攻防がリプレイされていて、それを出雲と酒井が見ている。


「今のはおそらく未登録スキルでしょう。本条選手があんな技を隠し持っていたとは。いえ、見どころはそれだけでなく、その前の攻防もです。松前選手の破空粉砕撃は威力が高いだけでなく、速さも上がる槍術の必殺技です。それを本条選手は、さらに高速の動きで回避してました」

「本条選手は強力なスキルを持っているだけでなく、能力値も高いということですか?」

「はい。彼はかなりレベルが高いはずです」


 出雲と酒井の話は続いている。


(うーん。未登録スキルの氷神飛翔斬を人前で使ったのは早まったかもしれない。いや、相手が必殺技でくるなら、こっちも使いたくなるのが人情というものだ)

「くっ、こ、この俺が一撃で負けるなんて……」


 倒れていた松前が、ふらふらになりながら立ち上がる。彼は身代わりバッジのおかげで怪我はしてなかったが、星斗の攻撃によって全身に大きな衝撃を受けていた。

 その後、表彰式が始まり、戦闘舞台の上に三位までの選手が集まった。


「本条君、優勝おめでとう!」


 大会委員長の中年の男性が、星斗に優勝トロフィーと優勝賞品の宝石がついた豪華な腕輪を授与する。



 次回 新たな大規模作戦 に続く


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