第七十七話 カウンター作戦
「それでは三回戦、第二試合、開始!」
その審判の合図と共に、二本の日本刀を持った山本が、星斗へ向かって走りだす。彼は星斗の魔法を警戒して、いきなり仕掛けた。
「十字斬り!」
山本は両手の日本刀に魔力をまとわせ、十の文字を描くように斬撃を繰り出す。その斬撃を星斗は超高速の動きで右方向へステップしてかわし、山本の側面に移動しつつ、膨大な魔力をまとわせた電撃の剣を水平に振る。
「ハイオーラブレード!」
「ぐあっ!」
魔力の斬撃が山本の背中に直撃して、彼は前のめりに倒れ、同時に身代わりバッジも砕け散った。
「勝者! 本条選手!」
「おお! また一撃です! 本条選手、試合開始早々、一撃で山本選手を倒しました!」
「強い!」
「今の動き、速すぎだろ!」
「さすがライジンギルドだな!」
星斗の圧倒的な強さを見た実況の出雲と観客達が盛り上がっているが、アンリと島は冷静に話している。
「本条君。全然、本気で戦ってないですよね」
「うん。全力の半分も出してない。今日は使うスキルを縛ってないみたいだし、ゴールドナイト達も召喚するかも」
その二人の会話に明日香が加わる。
「モンスター召喚は、少し時間がかかるから、相手の最初の動きしだいでしょ」
「彼がゴールドナイト達を召喚したら、また騒がれるわね」
その後、三回戦が終わり、今日、予定されていたすべての試合が終わる。そして次の日になり、二日目は、四回戦、準決勝戦、決勝戦が行われる予定だった。
「決勝戦まで三試合か。今日、戦えるのはあと三人……」
(いいユニークスキルきてくれーー!)
星斗は控室で心の中でそう願いながら、係員に名前を呼ばれるのを待っている。そして四回戦、第一試合が始まる時間が近づき、星斗が戦闘舞台に上がる。
「今日、最初の試合は、ライジンギルドに所属している本条選手と、ドラゴンファングギルドに所属している柴田選手との試合です」
「はい。学生でありながら、すでにギルドに所属している者同士の戦いです」
「柴田選手はドラゴンファングギルドですが、解説は公平にお願いしますね」
「ははは、心得てますよ」
(柴田君には昨日のうちに、本条君に勝つための作戦を教えてある。ふふふ、この試合、彼がどう戦うのか楽しみだ……)
ドラゴンファングギルドのギルドマスターでもある酒井が心の中でそう考えていると、豪華な剣と盾と鎧を装備した男性が現れ、星斗とその男性が戦闘舞台の上で対峙する。すると、
柴田勝也
ユニークスキル
剣術(S) 防御激化(A) 魔法耐性(A)
どれを誰にコピーしますか?
と星斗の目の前にウィンドウが表示され、
(Sランクの剣術きた! ゴールドナイトにコピーだ!)
ゴールドナイト
ユニークスキル(3/3)
剣術(S) 全能力激化(A) 盾術(A)
(よし、ゴールドナイトの剣術がAからSに上がった!)
剣術(S)
剣のスキルを習得する。
剣で攻撃した時、ダメージが四倍になる。
瞬速乱舞斬
無数の高速斬撃を放つ剣の必殺技
消費MP70
クールタイム 三時間
(やった! 明日香さんが使ってた必殺技を、ゴールドナイトも使えるようになった! あとは試合だけど、相手は防御激化と魔法耐性を持ってるから、ちょっと強めにいってみようかな)
「では四回戦、第一試合、開始!」
「うおおおおお!」
試合開始直後、柴田は盾を構えながら星斗へ接近していく。そして一歩踏み出せば星斗に剣が届く距離まで接近すると、彼は移動を止めて、盾を構えたままその場で待機する。
(ん? 何だ? 攻撃してこない。何か作戦があるのか?)
星斗は柴田にこのまま攻撃すべきかどうか迷っている。
「二人とも盾を構えたまま、にらみ合ってます!」
「お互い、相手の攻撃を警戒しているのでしょう。本条選手は、あの距離では魔法を使おうとすれば攻撃されてしまうので、この戦いは物理攻撃勝負になるはずです」
「もしかして、最初に動いた方が負け、というやつですか?」
「そこまでは私もわかりません。でもこれからの展開がどうなるか楽しみです」
(あの距離ではモンスターも召喚できないし、どうする? 本条君)
酒井は、星斗がどう対応するのか、わくわくしながら見ている。
(このまま動かないのもなんか気まずいし、こっちから攻撃してみるか)
星斗は柴田の前で精霊の盾を構えたまま、雷撃の剣に膨大な魔力ををまとわせる。それを見た柴田は、心の中で喜ぶ。
(よし! こちらの作戦どおりだ! 彼の攻撃を防御した後、瞬速乱舞斬でカウンターを決める!)
これまでの星斗の試合は、剣で攻撃する時は自分からしかけずに、すべてカウンター攻撃で勝利していた。それで柴田は今までと逆で、星斗に攻撃をしかけさせて、自分がカウンター攻撃する作戦だった。
「ハイオーラブレード!」
「なっ、ぐああああああああっ!」
星斗の強烈な魔力の斬撃を、柴田は盾で受け止められずに後方へ吹き飛び、それと同時に彼の身代わりバッジも砕け散った。
「勝者! 本条選手!」
「おおおおお! また一撃です! 本条選手! 強烈な一撃で柴田選手を吹き飛ばしました!」
「防御の上から殴りにいって、あの威力か!」
「なんてパワーだ!」
星斗の強さを見た出雲や観客達が盛り上がっている。
(な、なんて事だ。圧倒的な実力差の前では、俺の作戦など意味がなかったか)
柴田が負けて、酒井は心の中で悔しがる。一方、星斗は、倒れている柴田を見ている。
(今のはちょっと力を込めすぎたかも。大丈夫か?)
「ぐっ、まだ……手がしびれている……」
倒れていた柴田が立ち上がり、落ち込んだ様子で戦闘舞台から降りていく。
(怪我してないみたいだ。よかった)
相手の無事を確認した星斗も、戦闘舞台から降りて控室に戻る。その後、試合が進んで、準決勝、第一試合が始まる時間になり、星斗が戦闘舞台の上に立つ。すると両手に鋼鉄製のガントレットを装備した武闘家風の女性も戦闘舞台に上がり、星斗と対峙する。すると、
池田心美
ユニークスキル
武術(S) 力激化(S) 空間把握(A)
どれを誰にコピーしますか?
と星斗の目の前のウィンドウに表示された。
(おお! Sランクが二つ! いや、空間把握だと!)
星斗は池田の空間把握のスキルを見て驚く。
(空間把握は、気配察知の完全上位互換だ! 絶対、欲しい! 俺のBランクの気配察知に、空間把握を上書きコピーだ!)
ユニークスキル(10/10)
ユニークスキルコピー(A) 竜麟(A) 空間把握(A)
全能力激化(S) 召喚(A) アイテムボックス(A)
フレスベルグ流魔法剣術(S) 女神ノルンの加護(A)
再生の極意(A) 二刀流剣術(A)
空間把握(A)
スキル所持者の周囲二十メートル以内に
存在しているすべてのものを感知可能になる。
さらにその強さや危険度なども
知ることができる。
(気配察知は、人とモンスターの位置しかわからなかったけど、空間把握は矢とか投げナイフとかの動きも感知できるし、その危険度までわかるようになる。これがあるとないとでは強さの次元が違ってくる。これで俺はまた強くなれた)
次回 決勝戦 に続く




