第七十三話 冥月ダンジョン
星斗達が冥月ダンジョンの五階から進んでいくと、根を動かして歩く巨大な花のBランクモンスター、デビルフラワーや、豪華な剣と鎧を装備している骸骨のAランクモンスター、スケルトンジェネラルなどが現れたが、彼らはそれらを倒ながら十階にある転移の石碑の部屋に到達し、ダンジョンを脱出して旅館へ帰った。
そして次の日、星斗達は十階の転移の石碑の部屋に戻ってくる。
「よし、ここからギリメカラが出現する。貫通のスキルブックを必ず手に入れるぞ」
星斗達が出現するモンスターを倒しながら進んでいくと、十階にある広い部屋の中央に、黒い象の姿をしたモンスターを発見した。
「あれがギリメカラだ!」
ギリメカラは、普通の大人の象と同じくらいの体の大きさで、肌が黒く、目がひとつで鋭い象の牙を持っているAランクモンスターだった。
「パオーーーーン!」
星斗達に気づいたギリメカラは、彼らに向かって移動を始める。だがその巨体ゆえに動きは遅かった。そしてギリメカラが星斗に近づくと、
ギリメカラ
ユニークスキル
呪術(A)
誰にコピーしますか?
と星斗の目の前にウィンドウが表示され、
「呪い系のスキルは使いづらい。今回はコピーしない」
と星斗が意志を示すと、ユニークスキルコピーウィンドウが消える。呪い系のスキルは、相手を即死させたり、さまざまな状態異常を与えたりする強力なスキルだが、失敗した場合、自分に跳ね返ってくるというリスクがあった。
「よし、みんな、作戦どおりに!」
「はっ!」
ゴールドナイトは黄金の盾を構えながら星斗のそばで待機していて、ハイダークエルフはすでに魔法発動の準備を始めていた。そして星斗も魔法発動の準備を始める。
「アイスバレット!」
星斗は魔力で氷の塊を三つ作り出して放ち、それがギリメカラの体に命中する。
「グガアアアッ!」
氷系下級魔法によって大ダメージを受けたギリメカラの動きが止まる。今の星斗の氷魔法は、全能力激化(S)のおかげで下級魔法とは思えないほどの威力だった。さらにギリメカラは闇以外の攻撃魔法が弱点だった。
「アイスバレット!」
さらに星斗は氷の塊を三つ作り出して放つ。下級魔法は発動が早く、発動後の隙も少ないので、MPさえあれば数秒後に再び発動することができた。
「グガアアアアアア!」
「アイスバレット!」
星斗はさらに魔法で攻撃を続け、ギリメカラはその場から動けずにいる。するとハイダークエルフも魔法発動の準備が整う。
「召喚者殿、いけます」
「よし、頼む」
「サンダーストーム!」
ハイダークエルフが闇の杖を掲げて、ギリメカラを狙って嵐のような電撃を放つ。その電撃は彼女の魔力激化(S)によって大幅に威力が強化されていた。
「ガガガガガガガガガ!」
全身に高威力の電撃を浴びて感電したギリメカラは、それが致命傷となってその場に倒れて消滅した。そして魔石(特大)が出現する。
「よし。作戦通りにギリメカラを倒せた。これも危険なモンスターの情報を教えてくれた学校の授業のおかげだ」
ギリメカラは初見殺しの危険なモンスターとして有名だった。ギリメカラは、呪術のほかに幻惑のスキルも持っていて、敵を幻惑状態にして攻撃対象を惑わせることができた。だがその効果範囲は狭く、離れた場所から弓矢や魔法で戦えば問題なく倒すことができた。
「俺が下級魔法三回、ハイダークエルフが上級魔法一回で倒せた。安全に倒すのにはMPが必要だけど、このくらいならいいか。俺はMP再生があるし、ハイダークエルフは最大MPが高いしな」
星斗はMPを回復するマナポーションをいくつか持っているが、かなり高価なのでなるべく使いたくなかった。
「後は何体倒せば、貫通のスキルブックが出るかだな」
そう言いながら星斗は魔石(特大)を回収する。その後も彼らは十階をギリメカラを探しながら進んでいき、その途中でほかのモンスターを倒したり、宝箱を見つけたりした。そして十階の探索が終わり、ここまでに彼らはギリメカラを十一体倒したが、まだ貫通のスキルブックはドロップしなかった。
「さて、どうするか。十一階に上がるか、このまま十階で探しまわるか」
すでに十階にある宝箱はすべて入手したので、上の階に行けばほかの宝箱が手に入るのだが、階層が上がるとAランクモンスターが同時に複数出現する確率が上がり、戦闘難易度も上がるので、星斗は安全策を取るか、高報酬を取るか迷う。
「しばらくは十階で戦うか。ギリメカラやほかのモンスターとの戦いになれてきたら上の階に行けばいい」
星斗はそう決めて十階を歩き回ってギリメカラ狩りを続ける。そしてお昼ごろに星斗達のMPがなくなって、ダンジョンを出てお昼ご飯を食べて休憩する。その後、彼らのMPが回復してからダンジョンに戻り、ギリメカラ狩りを再開する。それを三日間、繰り返して、やっとギリメカラが貫通のスキルブックをドロップした。
「やった! やっと貫通を手に入れた!」
「おめでとうございます! 召喚者殿!」
「これまでの苦労が報われましたね」
「クオーーーン! クオーーーン!」
「よし、さっそく使ってみよう」
星斗は貫通のスキルブックを手に取って開く。すると彼の全身が光り出し、数秒後、その光が消えて、彼は貫通のスキルを習得した。ちなみに彼はこの狩りの途中、レベルが50になっていた。
本条星斗
レベル 50
HP 925 MP 445
力 126 防御 111
魔力 118 速さ 120
ユニークスキル(10/10)
ユニークスキルコピー(A) 竜麟(A) 気配察知(B)
全能力激化(S) 召喚(A) アイテムボックス(B)
フレスベルグ流魔法剣術(S) 女神ノルンの加護(A)
MP再生(B) HP再生(A)
スキル
オーラブレード 魔法障壁 アイスバレット
クリエイトウォーター モンスター召喚
クリーン 気温調節 ハイオーラブレード
竜麟斬り 氷結斬 簡易鑑定
フロストスピア コールドストーム
望遠眼 アブソリュート・ゼロ 氷神飛翔斬
貫通
電撃の剣 攻+75 雷属性武器
精霊の盾 防+35 魔法耐性30%
精霊の鎧 防+65 魔法耐性20%
破壊王の指輪 攻+15%
風の精霊の指輪 速+15%
女神の指輪 毒、麻痺、睡眠、混乱状態を無効化
貫通
敵の属性耐性や、攻撃ダメージ軽減系のスキルの効果を
無視して攻撃できるようになる。
「よし、今日はこれで狩りは終わりにしよう。明日は休んで、明後日から十一階に進んで狩りを続けるぞ」
星斗達はまだMPに余裕があったが、冥月ダンジョンを脱出してその日の冒険者活動を終える。そして二日後、彼らは再び冥月ダンジョンの十階の転移の石碑の部屋までやってきた。
「まずは最短距離で十五階の転移の石碑の部屋を目指そう」
星斗は十階のマップを見ながら最上階を目指して進んでいく。その途中、体が銀を含んだ体で作られた巨大な人型のモンスター、シルバーゴーレムや、ライオンとヤギとヘビが合成したような姿の獣型のモンスター、キマイラなどのAランクモンスターが出現したが、それらは星斗がコピーしたいユニークスキルを持ってないので普通に倒して進んでいく。そして彼らは一日かけて十五階にある転移の石碑の部屋まで到着した。
次回 全国覚醒者学校ランキング戦 に続く




