第七十二話 四つのユニークスキル
星斗は少し考えてから担任の先生に答える。
「全国の強い生徒達が出場するんですよね」
「そうだ。各覚醒者学校のランキング一位が出てくるからな」
(それなら相手が強いユニークスキルを持ってる可能性が高い)
「なら出場します」
「おお、そうか。ならランキング戦まで一か月くらいあるから、準備をしておいてくれ」
「はい」
星斗は自分の席に戻り、自分のステータスボードを見ながら色々考える。
ユニークスキル(10/10)
ユニークスキルコピー(A) 竜麟(A) 気配察知(B)
全能力激化(S) 召喚(A) アイテムボックス(B)
フレスベルグ流魔法剣術(S) 女神ノルンの加護(A)
MP再生(B) HP再生(A)
(このなかで上書きして消せるのはHP再生か。いざとなったら海堂ダンジョンのギガントトロールからコピーできるし。あとはみんな手放せない。ああ、全国ランキング戦で、アイテムボックスとか俺のランクより高いのを持ってる奴がいればいいな。それとゴールドナイト達のスキルも……)
星斗は今のうちからユニークスキルコピーの方針を考えいてる。
それから数日後の夜、星斗は自室でテレビをつけたまま、机の上のノートパソコンで覚醒者協会のホームページを見ている。
「貫通のスキルブックの情報は……」
星斗はブラックドラゴンがドロップした貫通のスキルブックが、ほかの方法で入手できないか探している。
「敵の耐性を無視して攻撃できるって絶対必要なスキルだ。もし俺が貫通のスキルを持ってたら、氷に耐性を持つモンスターにも氷神飛翔斬が使えるようになる。何ならハイダークエルフの分も欲しい」
星斗は貫通のスキルを検索してその情報を見ている。
「おお、Aランクのギリメカラがドロップするのか。ならギリメカラがいるのはどこのダンジョンだ? ……〇〇県の冥月ダンジョンか。遠いな。じゃあ、ダンジョン探索届を提出するか」
覚醒者学校では、県外にあるダンジョンを攻略したい時は、正式な手続きをすれば、一定期間、休学することができた。
「多分、簡単にはドロップしないだろうから、時間がかかるだろうな……ん?」
星斗はテレビで覚醒者関連のニュースが始まったことに気づく。
「ついにユニークスキル四つ持ちが現れました。第三覚醒者学校の一年生の松前ヒロ君です。これまで四つ持ちがいても公表してないだけだろうと言われてきましたが、ついに公表した覚醒者が現れました」
「へー、ユニークスキル四つか。俺は十あるけど、四つでテレビのニュースになるくらいだから、公表なんてできないな」
星斗は目立つのが嫌いだったが、Sランクの覚醒者達と一緒にフェンリルと戦ったり、フォルネウスと戦ったりしているので、一部では有名な存在だった。
「松前君は、槍術、力激化、風魔法、取得経験値増加の四つを持っていることを公表しています。そして彼はドラゴンファングギルドに所属しており、覚醒者ランクはBです。さらに来月の全国覚醒者学校ランキング戦にも出場する予定とのことです」
「おお、彼も出場するのか。もしかして戦うかもしれないな」
覚醒者関連のニュースが終わり、星斗はテレビからノートパソコンに視線を移し、再び覚醒者協会のホームページを見ている。
そして次の日、星斗は第七覚醒者学校の担任の先生にダンジョン探索届を提出し、午後からは遠征の準備をして、次の日、新幹線に乗って〇〇県の冥月ダンジョンの近くにある温泉旅館までやってきた。
「ふーっ。いい部屋を取って正解だったな」
星斗は予約した旅館の部屋に入って荷物を置いてくつろいでいる。彼は着替えなどの荷物はアイテムボックスに収納してあるので、持ち物はショルダーバッグだけだった。
「ビジネスホテルより高いけど、旅館の宿泊費くらいならダンジョンで稼げる。それにここならダンジョン探索で疲れた体を温泉で癒せるし、料理も楽しみだ」
星斗は旅館で長距離移動の疲れを癒し、次の日、冥月ダンジョンにやってきた。冥月ダンジョンは、AランクとBランクのモンスターが出現し、最上階が十五階の塔型ダンジョンだった。そして周囲には覚醒者ショップや自衛隊の施設などが建てられている。
「目標は十階より上に出現するギリメカラだ。ボスはAランク上位のデュラハンだけど、無理して倒す必要はない。貫通を手に入れてから余裕があれば考えるか」
星斗は冥月ダンジョンの入り口でAランク覚醒者カードを見せて中に入り、ゴールドナイト達を召喚する。ゴールドナイトはブラックドラゴン戦で手に入れた黒竜の腕輪を装備している。
ゴールドナイト
黄金の剣 攻+80
黄金の鎧 防+50
黄金の盾 防+40
大地の腕輪 防+15%
黒竜の腕輪 攻+15% 魔力+15%
「まずは五階にある転移の石碑の部屋まで最短距離で進もう」
星斗達は冥月ダンジョンの一階をマップを見ながら進んでいく。この冥月ダンジョンはすでに踏破されていて、出現するモンスターや最上階までのマップの情報は公開されていた。
「むっ、モンスターの気配……あの角の先だ」
星斗達は一階の通路のT字路の前で立ち止まって、武器や盾を構えて警戒する。するとT字路の右方向から巨大な鋼鉄製の体のBランクモンスター、アイアンゴーレムが一体出現した。
「ここはお任せください」
「よし、まかせた」
「はっ! 召喚者殿に勝利を!」
ゴールドナイトは高速の動きでアイアンゴーレムに接近し、黄金の剣で斬撃を放つ。
「うりゃあ!」
「ゴガガガガガ……」
ゴールドナイトのその一撃で、アイアンゴーレムは体を斬られて倒れ消滅した。
「ゴールドナイトも強くなったな」
「はっ、この黒竜の腕輪のおかげです」
「ゴールドナイトの装飾品枠は、まだ一つ空いてるから、また何か探そう」
「ありがとうございます。召喚者殿」
その後も星斗達は冥月ダンジョンを進んでいき、リザードマンの上位種で鋼鉄製の装備で身を固めているアーマーリザードマンや、闇の魔法を使う悪霊、レイスなどのBランクモンスターが出現したが、星斗はそれらが欲しいユニークスキルを持ってないのでそのまま倒していく。そして彼らは、宝箱から装備品や回復アイテムなどを入手しながら、一日かけて五階の転移の石碑がある部屋まで到達した。
「今日はここまでにしよう。五階から上はAランクのモンスターが出現するから、本番は明日からだな」
その後、星斗達は冥月ダンジョンを出て今日の戦利品を売り、星斗は旅館に帰って疲れを癒してその日が終わる。そして次の日、星斗達は再び冥月ダンジョンの五階の部屋から最短距離で十階を目指して進んでいく。
次回 冥月ダンジョン に続く




