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覚醒者学校の唯一無二の生徒  作者: 霧野夜星


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第六十三話 決意

「ライトウィングギルドが来たぞ」

「あいつら、普通の小型バスで来るのか。稼いでるだろうに」


 自衛隊の前線基地に白い小型バスが到着し、中からギルドマスターの浅井や、ほかのギルドメンバー達が降りてくる。それを周囲にいる覚醒者達が遠巻きで見ている。


「やっぱ注目されてるな」

「そりゃあ、俺達は国内第一位ギルドだからな」


 浅井とパーティメンバーの前田がそう話しながら、アイテムボックスから装備品を取り出して戦いの準備を始める。その様子を星斗とアンリも見ている。


「ギルマスの浅井さんは、前の時、ギガントトロールを瞬殺してた。俺はまだあの人の足元にも及ばない……」

「ギルドメンバーが十一人しかいないのに、圧倒的な差をつけて一位なんだから、あの人達、凄すぎだよ」


 二人がそんな話をしていると、後方から星斗を呼ぶ女性の声が聞こえてきた。


「本条君ーーー!」


 その声を聞いて星斗達が振り返ると、ドラゴンファングギルドのAランク覚醒者で火の魔法使いの安藤が、走って近づいてくる。


「やっぱり本条君も来てた……むっ」


 安藤は、星斗のとなりにいるアンリを見て、心の中で驚く。


(くっ、私がいくらアプローチしてもなびかないのは、こんな可愛い娘が近くにいたからか)


 安藤は、アンリの若さと美貌を見て敗北感を感じている。


「本条君、この人は?」

「ああ。この前、巡回任務の時に一緒に戦ったドラゴンファングギルドの安藤さんだよ」

「ドラゴンファングギルドか」


 アンリは、安藤の魔法使い用のローブの胸部分についているギルドバッジを見る。


「本条君、そちらは?」

「ああ、同じギルドでバーティメンバーの朝比奈さんです」

「朝比奈さん……って、もしかしてギルドマスターの妹の?」

「はい」

(あのSランクの天才持ち……ふぅ、ここは切り換えましょう。将来のために、二人とも友好関係を持っておいたほうがいいわ)

「本条君も隅に置けないわねー。こんなかわいい子が恋人なんて!」

「なっ、朝比奈さんは恋人じゃなくて……」

「そ、そうですよ」

「またまたー。こんなにお似合いなカップルは、なかなかいないわ。ああ、それじゃあ、またね」


 安藤は心の中で泣きながら二人から離れていく。一方、お似合いなカップルと言われた二人は、顔を赤くして何も話さないでいる。


「フォルネウスと直接、戦闘する予定の覚醒者は集合してください!」


 自衛隊の隊員のその言葉を聞いて、ライトウィングギルドとドラゴンファングギルドとライジンギルドのSランク覚醒者達が集まっていく。


「本条君、呼んでるよ」

「う、うん。行ってくる」


 星斗は、明日香と島と共に、ほかのSランク覚醒者が集まっている場所へ移動する。そこにはライトウィングギルドの浅井(魔法戦士タイプ)、黒田(魔法使いタイプ)、前田(戦士タイプ)、立花(僧侶タイプ)と、ドラゴンファングギルドの酒井(魔法使いタイプ)、榊原(侍タイプ)が集まっていた。だがライトウィングギルドのエースパーティの三人の姿がなく、島が浅井に尋ねる。


「浅井さん。そちらのエースパーティは?」

「あの三人は、フォルネウス戦には参加しません」

「えっ? どうしてですか?」

「彼らには、海堂ダンジョンの入り口で待機してもらいます。ダンジョンの中にフェンリルがいた場合、いつ出てくるかわからないので。あっ、一応、自衛隊には許可をもらっています」

「確かに中からフェンリルが出てきたら危険ですが、私達だけでフォルネウスと戦うのは……」


 ドラゴンファングギルドとライジンギルドのSランク覚醒者達は、ライトウィングギルドのエースパーティの三人がメインで戦うと思っていたので驚いている。


「確かにあの三人を頼れば、Sランクのフォルネウスでも倒せるでしょう。でもそれではダメなんです。俺達も強敵と戦って、もっと強くならないと」

「そうだ! 俺達もあの三人と肩を並べるくらいに強くなる必要がある!」


 浅井と前田が熱く思いを語っている。その言葉を聞いて酒井と島が、少し考えてから話す。


「なるほど、確かにSランクモンスターが日本各地で同時に複数暴れている場合、彼らだけでは対応できません。日本にはもっと強者が必要ということですね」

「それはこちらも望むところです。私達もこの戦いに勝利して必ず強くなります」


 その二人の言葉を聞いて、この場にいるほかの覚醒者達も心が燃えている。一方、唯一、Sランク覚醒者でない星斗は、フォルネウスのことを考えていた。


(フォルネウス……巨大なエイの姿のモンスターだから、水魔法……いや。水魔法は存在しないから、氷魔法を持ってるかもしれない。もしフォルネウスがSランクの氷魔法を持ってたらどうするか……)


 星斗は「フレスベルグ流魔法剣術(A)」を持っていて、このスキルの合成前は、剣術(A)と氷魔法(A)だった。それで氷魔法(S)をどうするか悩んでいた。


(俺がSランクの氷魔法を習得すると、フレスベルグ流魔法剣術に上書きされるのか、別のスキルに上書きすれば、両方同時に存在できるのか……)


 ユニークスキルコピーは前例がないスキルで、やってみないと分からないことばかりなので、星斗は色々な可能性を考えている。


(ハイダークエルフにコピーするのは……。うーん。今まで闇魔法と雷魔法を使っていたのに急に変わったらまずい。なら仙狐に……いや。仙狐のユニークスキルに、いらないのがない)


 ハイダークエルフ

 ユニークスキル(3/3)

 闇魔法(A) 雷魔法(A) 魔力激化(S)


 仙狐

 ユニークスキル(3/3)

 回復魔法(A) 魔力激化(A) MP再生(B)


(魔力の低いゴールドナイトに習得させるわけにはいかないし、人目を気にせずハイダークエルフに習得させるしかないか。いや、フォルネウスが、ほかにも強いユニークスキルを持っている可能性も……)

「そろそろ出発しますので、覚醒者の皆さんは高機動車に乗ってください」


 自衛隊員の言葉を聞いて、この場にいる覚醒者達が自衛隊の高機動車に乗っていく。今回の作戦は、Sランク覚醒者を中心としたフォルネウス討伐部隊と、フォルネウスの周囲にいるほかのモンスターと戦う覚醒者と自衛隊の部隊の二つに分かれていた。

 星斗は、明日香と島と共にフォルネウスと戦う部隊に入り、彼女達と共に高機動車に乗り込んで、海堂ダンジョンの入り口へ向かって進んでいく。



 次回 フォルネウス戦 に続く

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