第六十二話 第二次フォルネウス討伐作戦
「むっ、どういう状況だ?」
高機動車から降りた榊原は、星斗や彼の召喚したモンスター達が、ギガントトロールと戦っているのを見ている。彼は軽量な胸当てを装備していて、腰には日本刀を携えていた。
「榊原さん!」
安藤が、榊原のそばに駆け寄り、声をかける。
「安藤さんも戦ってたのか」
「はい。とはいっても、私は魔法を一度、使っただけですが」
安藤と榊原は、星斗達とギガントトロールの戦いを見ながら話す。
「あの少年は……ライジンギルドの新人か。モンスターも召喚できたのか。ならば!」
榊原は腰の日本刀を抜いて、ギガントトロールに向かって走りだす。
「むっ、あの人は……」
一方、星斗は気配察知で高速で接近してくる榊原に気づき、彼の攻撃の邪魔にならない場所に移動する。
(いい判断だ)
「雷鳴一閃!」
ギガントトロールに接近した榊原は、日本刀に雷をまとわせ、超高速の斬撃を放つ。それがギガントトロールを感電させつつ、その腹部に深い切り傷を与えた。
「ガアアアアアアアアアアアアア!」
「氷結斬!」
「ハイオーラブレード!」
さらに星斗とゴールドナイトが追撃し、ついにギガントトロールの動きが鈍る。そこへ榊原が体勢を低く構えた後、高速の突きを繰り出す。
「これで終わりだ。紫電!」
榊原の雷を帯びた日本刀が、ギガントトロールの胸部に深く突き刺さり、それが致命傷となって、ギガントトロールは前のめりに倒れて消滅した。その後、その場に巨大な魔石が出現し、星斗のレベルが44に上がった。
「やった!」
「ギガントトロールを倒した!」
「さすが榊さんだ!」
星斗達とギガントトロールとの戦いを見ていた覚醒者達が喜んでいる。その後、数で圧倒していた覚醒者達が、残っていたトロールを全滅させて戦いが終了した。
「榊原さんは、本条君のことを知ってたんですか?」
「ああ、前の大規模作戦の時にな」
榊原は、星斗が氷魔法をフェンリルに命中させた時のことを思い出していた。そこへゴールドナイト達を帰還させ、ひとりになった星斗がやってくる。
「ありがとうございました。おかげで助かりました」
「うむ。いや、君は凄いな。俺は前にギガントトロールと戦ったことがあるが、パーティ全員が何度も攻撃して、やっと倒せたんだ。だが今回は、俺は二撃しか使ってない。奴のHPのほとんどは、君が削ったんだ」
「そう言ってもらえると嬉しいですが、榊原さんが来てくれなかったら、俺のMPが尽きてました。だからほんとに助かりました」
「ふむ。なら一緒に倒したということだな。お疲れ」
そう言って榊原は右の拳を突き出し、星斗もそれに合わせて拳を突き出して答える。
「一応、私も戦いましたからね」
「そうだったな。すまん。すまん」
「みなさん。お疲れさまでした。今日の巡回はこれで終了します。覚醒者のみなさんは高機動車に乗ってください」
自衛隊員の指示で、星斗は乗ってきた高機動車に戻っていく。その様子を安藤と榊原が見ている。
「榊原さん。彼をドラゴンファングギルドに引き抜くべきですよ。将来、絶対にもっと強くなります!」
「確かに将来有望だろうな。でも止めておこう。彼はすでにライジンギルドに所属している。そこから引き抜くとなると、最悪の場合、ライジンギルドと敵対することになるかもしれん」
「ああ、確かにそうですね。なら個人的に友好関係を築くのはいいですよね」
「それなら止めないが」
「じゃあ、行ってきます。本条君! ちょっと待ってー!」
安藤は、走って高機動車に乗ろうとしてる星斗を追っていく。
「この後、御飯でもいかない? 打ち上げってことで」
「えっ? ええと……今日は疲れたので、もう帰ろうと……」
「なら連絡先を交換しましょう」
「……」
星斗は、積極的な安藤に戸惑いながら、高機動車に乗って自衛隊の前線基地に戻っていった。
それから時が過ぎて七月になる。星斗は放課後、クラスの仲間達と共にダンジョンに潜ったり、適度にアニメや漫画やゲームなどの趣味の時間を楽しんだりして過ごしていた。さらにライジンギルドの天満ダンジョン探索に何度か参加して「破壊王の指輪」などを手に入れ、レベルが46になっていた。
本条星斗
レベル46
HP 844 MP 417
力 118 防御 105
魔力 112 速さ 110
ユニークスキル(10/10)
ユニークスキルコピー(A) 竜麟(A) 気配察知(B)
全能力激化(S) 召喚(A) アイテムボックス(B)
フレスベルグ流魔法剣術(A) 女神ノルンの加護(A)
MP再生(B) HP再生(A)
スキル
オーラブレード 魔法障壁 アイスバレット
クリエイトウォーター モンスター召喚
クリーン 気温調節 ハイオーラブレード
竜麟斬り 氷結斬 簡易鑑定
フロストスピア コールドストーム
望遠眼
電撃の剣 攻+75 雷属性武器
精霊の盾 防+35 魔法耐性30%
氷河の鎧 防+60 火属性攻撃半減
破壊王の指輪 攻+15%
風の精霊の指輪 速+15%
女神の指輪 毒、麻痺、睡眠、混乱状態を無効化
そして七月の最初の週の平日の朝、第七覚醒者学校の一年一組の教室で、星斗が席に座ってると、アンリが話しかけてきた。
「本条君、ちょっといい?」
「何?」
「次の大規模作戦が決まったって」
「また海堂ダンジョンのフォルネウス討伐?」
「そう。それで三日後に、ライジンギルドの本部ビルでその会議があるんだけど、私達は学校があるから免除だって」
前回の大規模作戦の時も、その前にライジンギルドの会議があったのだが、星斗とアンリは欠席していた。
「また平日の午前中に会議なのか。午後か土日なら参加できるのに」
「まあ、学生でうちのギルドに入ってるの、私達だけだからね」
「俺達だけのために、スケジュールを変えるわけにはいかないか」
「後でお姉ちゃんから作戦の詳しい内容を聞くから、後でそれを教えるね」
「わかった」
それから時が過ぎて、二回目のフォルネウス討伐作戦が実行される日になる。星斗とライジンギルドのエースパーティのメンバー達は、前回と同じように車で自衛隊の前線基地までやってきて、朝比奈明日香と島恭子が車から降りて武器や防具を装備しながら話す。
「今回はフォルネウスを討伐できるといいわね」
「今日はフェンリルはいないみたいだし、いけるでしょ」
前回は海堂ダンジョンのモンスター支配地域の外周部を攻略したので、今回、戦うのは内周部だけだった。そしてその内周部に大量の無人偵察ドローンを飛ばして、フェンリルがいないことと、海堂ダンジョンの入り口付近にSランクモンスター、フォルネウスがいることが確認されていた。
「今日もあの三人の戦いが見れるかな」
「ライトウィングギルドも参加するから、見れるでしょ」
車から降りた星斗とアンリも、戦いの準備をしながらそう話す。彼が言った三人とは、ライトウィングギルドのエースパーティの三人のことで、彼らはSランク上位のモンスター、フェンリルと互角の戦いができるほどの強さを持っていた。
次回 決意 に続く




