第六十一話 ギガントトロール戦
「援軍が来たぞ!」
「早く来てくれ!」
巡回部隊とギガントトロール達が戦闘中の場所に、ほかの場所を巡回していた部隊が到着して戦闘に加わる。だがその部隊は、星斗の部隊でも榊原がいる部隊でもなく、ほかのAランクとBランクの覚醒者の部隊だった。
「これでトロールのほうは何とかなりそうだが、ギガントトロールがやばい!」
「自衛隊では、やつは倒せない」
「榊原さんはまだか!」
自衛隊の部隊は、ギガントトロールをほかのトロールから離れるように攻撃しながら誘導していたが、ギガントトロールは突如それを無視し、トロールと覚醒者達が戦っている場所へ移動し始める。
「くっ、こっちだ! こっちに来やがれ!」
自衛隊員達は、距離を取りながらアサルトライフルで射撃しているが、ギガントトロールの体には傷もつけられなかった。
「奴がこっちに来るぞ!」
「何っ!」
「せっかくこっちが優勢になってきたのに」
「あっ、増援だ! 増援が来た!」
「今度こそ、榊さんか!」
次にこの場に到着したのは、星斗がいる巡回部隊だった。彼らは高機動車から降りて、トロールと戦っている覚醒者達に合流する。
「榊さんの部隊じゃないのか」
「人数は増えた。これでギガントトロールの足止めくらいならできるか」
「お、俺は戦わないぞ!」
「俺だって、あれと戦うのは嫌だ!」
「グオオオオオオオオ!」
ギガントトロールは背中に自衛隊の銃撃を受けても振り返らず、巨大な鋼鉄製の棍棒を振り回しながら覚醒者達に近づいてくる。一方、星斗は
トロール
ユニークスキル
HP再生(B)
誰にコピーしますか?
とウィンドウが彼の目の前に表示され、
(ゴールドナイトにHP再生をコピーだ!)
ゴールドナイト
ユニークスキル(3/3)
剣術(A) 全能力激化(A) HP再生(B)
HP再生(B)
失ったHPを徐々に回復する。
回復量はランクによって決まる。
(よし。とりあえずゴールドナイトの空き枠にHP再生をコピーできた。あとは本命のギガントトロールHP再生だ)
「ゴールドナイト! ハイダークエルフ! 仙狐召喚!」
星斗は三体の仲間モンスターを召喚する。
「むっ、モンスター召喚か!」
「君は召喚もできたのか」
安藤や一緒にこの場に来た覚醒者達が、星斗の召喚を見て驚いている。
「俺達がギガントトロールの相手をします。安藤さんも手伝ってもらえますか?」
「えっ? 私達であれの相手をするの?」
「榊原さんを待ちたいところですが」
「そ、そうね」
星斗と安藤は、近づいてくるギガントトロールを見て戦う覚悟を決める。
「よし、ゴールドナイト! いくぞ!」
「はっ! 召喚者殿に勝利を!」
星斗とゴールドナイトが、ギガントトロールに向かって走りだし、仙狐はその場で待機し、ハイダークエルフは魔法発動の準備を始める。それを見た安藤も魔法の準備を始める。そして星斗がギガントトロールに近づくと、
ギガントトロール
ユニークスキル
HP再生(A) 棍棒術(A) 力激化(A)
どれを誰にコピーしますか?
と星斗の目の前にウィンドウが表示され、
(俺の影術にHP再生を上書きする!)
ユニークスキル(10/10)
ユニークスキルコピー(A) 竜麟(A) 気配察知(B)
全能力激化(S) 召喚(A) アイテムボックス(B)
フレスベルグ流魔法剣術(A) 女神ノルンの加護(A)
MP再生(B) HP再生(A)
HP再生(A)
失ったHPを徐々に回復する。
回復量はランクによって決まる。
(よし、後はギガントトロール戦に集中しよう)
星斗がギガントトロールにさらに接近する。するとギガントトロールは持っていた巨大な鋼鉄製の棍棒に魔力をまとわせ、豪快に彼を狙って振り下ろす。それを彼は精霊の盾で受け止める。
「ぐっ……」
(防御してこの威力……さすがAランク上位。俺のHPがかなり削られた。だが!)
早速、星斗のHP再生が発動して、彼の失われたHPが徐々に回復していく。
「クオーーーーーン!」
さらに後方にいる仙狐がエクストラヒールを発動して、星斗のHPは完全回復した。
「ハイオーラブレード!」
一方、ゴールドナイトはギガントトロールの後方に移動して、その背中に強大な魔力の斬撃を放つ。
「ガアアアアアア!」
「氷結斬!」
さらに星斗も冷気の斬撃を放ち、その彼らの二方向からの攻撃にギガントトロールは対応できず、全身が切り傷だらけになる。だがその傷が徐々に回復していく。
「奴のHP再生か」
「この戦い。時間をかけるわけにはいきません。出し惜しみせずにいきます。ハイオーラブレード!」
(やっぱり前より話すようになった。これは頼もしい)
「氷結斬!」
ゴールドナイトと星斗は、高速の動きでギガントトロールの周囲を移動しながら攻撃している。その時、ダークハイエルフの魔法発動の準備が完了した。
「シャドウチェーン!」
ギガントトロールの影から闇の鎖が四本出現し、それがギガントトロールの体に巻き付いて動きを止め、さらに闇属性のダメージを与える。
「ギャアアアアアアア!」
「氷結斬!」
「ハイオーラブレード!」
さらに星斗とゴールドナイトが攻撃して、ギガントトロールの体の傷が増えていく。
「よし! 準備できた! 私もいくわよ!」
安藤のその声を聞いた星斗とゴールドナイトが、急いでギガントトロールから離れる。
「バーストフレア!」
安藤が放った巨大な火の鳥が、火の粉をまき散らしながら飛んでいき、ギガントトロールに命中してその全身を飲み込んで激しく燃え盛る。
「グガアアアアアアアアアアア!」
「いいぞ! ギガントトロールを押してる!」
「さすがドラゴンファングギルドとライジンギルドのメンバーだ!」
トロールの群れと戦っている覚醒者達は、人数が増えて優勢になり、星斗達の戦いを見る余裕ができていた。
(いや、駄目だ。スキルを連発してるのに、まだ倒れそうにない。このままじゃMPがなくなる。俺にはMP再生があるけど、そんなに早くは回復しない。どうすれば……)
星斗はギガントトロールと優勢に戦いながらも、この先どうすればいいか考える。すると安藤が、最後の巡回部隊の援軍が近づいてくることに気づく。
「来たわ! 榊原さんよ!」
次回 第二次フォルネウス討伐作戦 に続く




