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コン!なのでました  作者: リノキ ユキガヒ
Route:9「キツネとタヌキ」
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39/69

 屋敷に入るとサクラとヨシはゲストルームへと通された。

 洋館にふさわしくシックなデザインのシングルベットが二つと、それに合わせたテーブルやソファーなどの調度品が二人にしては持て余す広さの部屋に治められていた。雰囲気としては多少質素ではあるが非常に上品で落ち着いた感じだ。

「何かありましたら、廊下にメイドを立たせているのでお声がけ下さい」

 塚本はそう言うと部屋のドアを閉めた。

「へー、なかなかね」

 部屋に入りヨシが開口一番つぶやいた。

「あなた、ちょっとは自重しなさいよ」

 少し呆れた感じでサクラはそう言うとライディングジャケットを脱いで、部屋の中央付近にあるテーブルセットの椅子にかけた。

「さ…てと」

 ヨシはそれを見やると自分達のいる部屋のドアを開けた。そして首だけ廊下に突き出し。

「ねぇ。お風呂に入りたいんだけど」

 と、廊下で待機しているメイドに話しかけた。

「かしこまりました。こちらへどうぞ」

 彼女はそう言うとこれといった表情も浮かべず、バスルームがあると思われる方へと身体を向けた。

「ケッ。いけすかねぇ式神だな」

 ヨシは吐き捨てるように言うと廊下に突き出してた頭を今度は室内へと向けた。

「ほれ、サクラ。風呂いくよ」

 そう言いながらガバッとドアを全開にして廊下に出てサクラを誘った。

「え。お風呂って私、何ももってないわよ」

 サクラは着の身着のままで旅に出たのでアメニティグッツの類や着替えは持ち合わせていない。

「そんなのいらねーよ。この屋敷の使やーいーんだよ」

 視線も合わせずヨシはドアの前から立ち去った。そのあとをサクラは慌てて追う。

「こちらがゲスト用のバスルームになっております」

 メイドの彼女はドアを背にしながら案内をすると、ドアを開いた。

 中は脱衣所となっており離れの旅館に在りそうな広さを思い起こさせた。

「御召し物は籠に入れて頂ければこちらで洗濯いたします。その間はクローゼットにあるものでお過ごしください」

 彼女はそう言うとドアの横に立ちサクラたちをバスルームへと促した。

 二人が脱衣所に入るとメイドの彼女はドアを閉めながら

「何かありましたらお呼びください。表にいますので」

 と、言った。

 パタンと閉められたドアが閉まったかどうかを確認するとサクラは服を脱ぐ前にとりあえず浴場の方を覗いた。

 少し狭い銭湯と思えばいいのだろうか?一人で入るにしては大きく、大人数で入るには狭すぎる、そういった広さの浴場だった。

 なんというか、随分前にツーリングの時に乗った大型フェリーの共同浴場の雰囲気に似ている。

 だが、フェリーと違うのは蛇口などの金属部品がピカピカに磨き上げられている所だ。このあたりがやはりお屋敷な感じがする。そこはかとなく漂う高級感。

「おりゃー!!一番風呂とったりー!!」

「いぇ?!」

 サクラが声をあげると同時に湯船から人が飛び込むザブンという音が響く。

「ひゃー!やっぱ広い風呂は気持ちいいなー!!」

 ヨシはそう叫ぶと思い切り腕を伸ばした。そしてまだ脱衣所と浴場の境にいるサクラを見ると「何してんの早くこっち来なよ」

 と、手招きをした。

「あっ、そうだ。そこにいるメイドに熱燗持ってくるように言ってよ」

「あなた、本当に遠慮ってものを知らないわね」

 ブツブツと呟きながら服を脱ぐサクラ。

「まー、それ位いいかなー?って」

「神様ってもうちょっと質素倹約じゃないの?」

「ハハッ。今時そんなの流行んない流行んない」

「流行なの?」

「昔はそんな事がもてはやされたのよ。贅沢は敵だッ。とかね」

「まぁ、今と変わんないような気もするけど」

「本当に何もないのと、有るのに我慢しなきゃならないのじゃ違うわよ」

 その言葉を吐いた時のヨシの目が何か違うものを見据えてるような気がサクラはした。

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