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コン!なのでました  作者: リノキ ユキガヒ
Route:4「振り切れ!!」
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18/69

 トンネルの外でメッサーシュミットの爆音がしばらく聞こえていたが、それもやんだ。

 サクラはそっとトンネルの外を伺った。

「ふー。どうやら燃料がなくなったのかしら?もういないわ」

「はー…」

 彼女の言葉に安堵のため息を吐くヨシ。トンネルの壁に背中を預ける。

「ところでさ」

 サクラは少し様子の変ったヨシの顔を覗き込む。

「わかってる。あの飛行機に乗ってるヤツの事でしょ」

「そう」

「タヌキよ」

「は?」

「知らないの?」

「いや、知ってるけどさ」

「昔からそうなの、なにかとちょっかい出してくるの」

「それだけ?」

「うん」

 ヨシは勢いよく頭を縦に振った。

「えーーっ!!」

 サクラの絶叫がトンネル内に響く。

「あんな戦闘機とか何処から引っ張ってくるのよ!」

 矢継ぎ早に質問をとばす。

「ん~。多分そういう力を持ってるんじゃないの?よく知らないけど」

「は~?」

 サクラはヨシのハッキリしない答えに力の抜けた声を出す。

「それよりさ、おなか空かない?」

「ん~」

 釈然としない表情を浮かべるサクラ。

「とりあえず大通りにでも出ないとファミレスなんてないわよ」

「しゃない、移動移動」

「ったく」

 いつものペースに飲み込まれるサクラは再びフルフェイスのヘルメットを被りなおした。

 二人を乗せたバイクはゆったりと海岸線を流していく。

 そして白々と夜は開けていった

 

「はー♪食べた食べた」


 ヨシは満足気にお腹をさすりながらファミレスの自動ドアをくぐった。

「モーニングをお代わりするなんてアンタの胃袋はどうなってんのよ」

「ふへへ~」

 サクラのボヤキにヨシは笑って答えると、二人共バイクを止めてある所に行くためファミレスの駐車場を横切ろうとした。

 しかしその時だった。その二人の行き先を遮るようにイカツイ黒塗りの乗用車がタイアを軋ませながら急停車した。

「ちょ、危ないじゃない!」

 サクラはあわやな状態に声をあげた。

「おほー。イカチー車だねぇ」

 ヨシは相変わらずだ。

 サクラは改めてその車の全容をみた。威嚇するような特徴的なフロントグリル。その天辺にそびえ立つスリーポインテッドスター。猛獣が喉を鳴らすような排気音。低く構える車高。攻撃的なエアロフォルム。只の4ドアセダンでないのはその自動車から出てくるオーラで十分解る。

 彼女はリアビューに視線を飛ばした。そしてそこに答はあった。


 AMG

 

「アーマーゲー…」

 サクラがそう呟いた瞬間にその乗用車の後部座席のウインドウが静かに降りていった。サクラとヨシは思わずそこを覗き込む。

「あなたたちがさっきの」

 窓のなかから幼いながらもしっかりとした口調で二人に話しかけてくる女性がいた。

 運転手が彼女の乗る席のドアを開ける。その女性は両足をそろえながらゆっくりと降りてきた。ロングのフリルスカートが露になる。パッと見は中世の貴族のような格好。しかし背格好は下手をすれば小学生に見えかねくらい幼い。そんな彼女は凛とした目付きで

「ドイツの誇る名戦闘機。Me109を振り切るなんてなかなかね」

 と、話しかけてきた。その言葉にサクラはピンときた。

「ひょっとしてあなたがメッサーシュミットの…」

「そう」

 その彼女はゆっくりと頭を縦にふる。

「あー!!ちょっとぉ!」

 二人の間に割って入ってくるヨシ。

「あら、ご無沙汰」

 彼女はヨシの剣幕をもろともせず会釈をするだけだった。

 突如二人の前に現れた幼い女性の正体はなんと先程のメッサーシュミットのパイロットのようだ。

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