第8話:『黄金の咆哮!?舞の推しは魔界騎士!』
「……ねえ舞、それ本当にヒーローなの?」
旧校舎の部室。舞が興奮気味にタブレットで見せてきた動画に、輪(破天吹雪)とサキ(ポリマーレディ)は引きつった表情を浮かべていた。
画面の中で蠢くのは、おどろおどろしい異形の怪物——ボラー。そしてそれを、一刀のもとに切断する重厚な黄金の鎧を纏った騎士。
「何言ってるの輪! 『魔界騎士・牙』だよ!? 漆黒の闇を斬り裂く黄金の輝き! 邪気を祓う漆黒の魔導火! トクサツ界の最高峰じゃないッ!」
「いや、世界観の重さと対象年齢が違いすぎるでしょ! あたしたち昭和・平成レトロ風ヒーローだよ!?」
呆れる輪を横目に、サキは真剣な眼差しで画面の黄金騎士を見つめていた。
「……重装甲でありながら、研ぎ澄まされた剣術と圧倒的な威圧感。悪を断ち切る『一撃必殺』の理念……悪くないわ。舞、あなたのその『推し』への執着(愛)なら、プロトタイプリングの限界出力を引き出せるかもしれない」
「サキちゃんまで乗っかるの!? 舞が特撮オタクの妄想を暴走させたら大変なことになるって!」
だが、輪の懸念は悪夢となって現実化する。
その夜、Dr.ギミックが送り込んだ**『重装機械獣・ブルドーザーゴライアス』**が街のビル群を倒壊させていた。圧倒的な質量と装甲に対し、輪の打撃もサキの旋風脚も決定打にならない。
「フェフェフェ! この超重量装甲の前には、貴様らの拳など蚊の刺したほども効かんわ!」
「くっ……! 硬すぎる……!」
焦る二人の前へ、カツン、カツンと力強い足音が響く。
舞だ。その薬指のプロトタイプリングから、尋常ではないレベルの漆黒と黄金の粒子が吹き荒れている。
「二人とも、下がってて。……あたしの『推し』の強さ、見せてあげる!」
舞が天高く右腕を掲げ、頭上で円を描く!
「……『牙』はね、鎧の装着制限時間が99秒なの! だから……99秒でアンタを微塵切りにしてあげるわッ!!」
ゴーッ!!!!
舞の頭上に光の頭輪が出現し、そこから降り注いだ黄金の粒子が舞の全身を包み込む。
光が弾けた後に立っていたのは——プロトタイプリングの能力で実体化された、どこか華奢でありながら圧倒的な存在感を放つ**『黄金の光装甲モード』**の舞だった!
「なっ……なんだその不穏で神々しい姿は!?」
「牙剣(プロトタイプ光剣)……抜刀!」
舞は光の巨剣を軽々と構えると、一瞬で踏み込んだ。
ズバァァァァンッ!!
「バ、バカな……一撃で我が重装甲が……ッ!?」
99秒のカウントダウンが舞の視界に表示される中、舞の容赦ない重厚な剣戟が機械獣を切り刻む! 圧倒的な「推しへの情熱」がリングの変換効率を限界突破させ、敵の装甲を紙クズのように破り捨てていく。
「これが……あたしの『推し』の力だぁぁぁッ!!」
最後の一閃が機械獣を真っ二つに両断し、大爆発が巻き起こる。
ドゴォォォォンッ!!
「……ふぅ。98秒……ギリギリセーフ……」
変身が解け、その場に崩れ落ちる舞。想像力とエネルギーを使い果たして息も絶え絶えだが、その顔は満足感に満ちあふれていた。
「……舞、すごかったよ。すごかったけど……ちょっと怖かったよ!」
「フフ……最高の剣筋だったわ、舞。でも次からは、もう少し心臓に良い推しにして頂戴ね」
腰を抜かしている輪と、苦笑いしながら舞を抱き起こすサキ。
こうして、舞の「凄まじすぎる推し活」によって新たな力が覚醒した。




