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宿命の隣  作者: スプレー妖怪
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15話 世界の状況

ちょっと世界の説明に入ります。

15話 世界の状況


「魔族、だよな」


味方、なのか?


「そこの吸血鬼さん。私達の味方ってことでいいんだよね」

「一応そういうことになりますね。疑いの目をされているのは話が進まないのでせめて警戒を解いてほしいのですが」

「…クレス。たとえ抵抗したとしても勝てないからここは退こう」

「それしか無さそうだな」


レイとクレスは剣を鞘に戻す。


「それじゃあ話を始めましょう。まず世界の状況についてです」


世界の状況?


「魔大陸はご存知ですよね」

「そりゃな、魔族がうじゃうじゃいるってやつだから昔からみんな知ってる事だろうさ」

「その魔大陸は食糧が万年不足しているのです。魔物を狩ったとしても食べれない物もあります。その解決に乗り出したのが強硬派の連中です。連中は人間どもの話を聞かずに殺ろうとしています」


魔族は全員話を聞かない者だと教わっていたけどそれは違うのか。


話の途中で質問したのはアイラル。


「魔族も一枚岩じゃないって事?」

「そう言うことですね。流石姫、いや、魔族の神子」

「…どう言うこと?」


魔族の神子?


「魔族の神子に関してはまた後でご説明致します。それで強硬派の連中は既にこの大陸に侵入してきています。誰も気付かない間に」

「それがさっきの奴か」

「手合わせをしてないけど強いことはわかる。こっちが押されていたにも関わらず相手は本気のほの字すら出してなかった気がする」


確かに今思うとビーコンを使いこなしていたのにあの程度だとは思えない。


「確かにあれも一人ですね。あいつは七十二柱の一人、アンドロマリウスです。アンドロマリウスは本来蛇なのです。あの姿では三割程度しか出せないか手加減していたかどちらかでしょう」

「あれで三割」


つまり殺ろうと思ったら一瞬で死ぬ所だったって事?


「あの程度の強さの人間だったら結構いるんですよ?」


え?つまり僕たちってあんだけ頑張っても下層の人間?


「そもそも魔法をまともに使えていないのです。その状態で勝つのは不可能とは言いませんが無理でしょう」


それって不可能じゃない?


「あ、そうそう。タイムリープ中の記憶は消させてもらったよ?あれはあってはいけない記憶だからね」

「あのアイテムって何だったんだ?」

「あれは超高密度の魔力とタイムリープの術式が埋め込まれている特殊製のアイテム。まさか全部の魔力を使われると思ってなかったから砕けちゃったみたいだけどあれ、一つで千億チン位の価値があるんですよ?」


え、これってもしかして借金?しかも返せない金額。


「何も返せとはいいません。私達のやっていることの手助けをしてほしいんです」

「僕達をどうする気ですか?」

「疑り深い人ですね。要するにギルドに入って貰いたいんです」

「ギルドって、あの、ギルド?」

「そうです。ギルドは国的には排除したいけど排除出来ないギリギリの位置をキープしている団体。私が創ったんです」

「つまり魔族の溜まり場?」

「それは違います。あくまでトップも人間下もほぼ人間で構成されていますよ?あくまで資金面の援助だけです」


「…どう言うこと?」


もう何が何だかわからなくなってきたミカゲが一言だけ発した。


「そんな大規模な事、何でもっと早くいってくれなかったんだ?」

「それは今回の始星の神子はその場所にずっととどまっていると思ったからですよ。そうすれば充分な準備が出来た状態で迎えられたんですが」


…つまり、


「俺らが自分から首を突っ込んだってことか?」

「まあ、そう言うことですね」

「言葉もでない。全てクレスのせいってこと」

「お前らだって一緒についてっただろ?同罪だ同罪」


必死に俺だけのせいじゃないって言ってる。普段の性格的にそんな見れない光景だね。


「まあそういう想定外があり、今があるわけなんですよ」

「そうか、僕らは破ってしまったのかもしれない」


目の前の吸血鬼の王はその言葉を聞いて興味深そうな反応をする。


「ほう」

「まさか僕達、魔大陸に刃向かってる?まだ準備段階の内に刃向かう勢力が表に出ればそれはあまり良くない流れになる可能性があるから」

「そういう考え方で間違っていません。職業のお告げは世界の停滞が目的、魔族の仕業です。事実、最大の都市とその回りにはお告げはない」

「でも、魔族の神子ってアイラルだよね。なら何でヘンゼが狙われたの?」

「ヘンゼ様は始星の神子は魔族の天敵。いわばジョーカーなのです」

「とはいってもそんな見るだけの能力で何ができるのよ」

「見る?今回は随分と使いづらいものになりましたね」

「どう言うこと?」

「始星の神子の能力は人によって変質するのです。先代は癒す能力だったと」

「じゃあ魔族の神子は?」

「そうですね。先代は確か…、死神、だと呼ばれていたと思いますが下手に情報を集めることが出来ずよくわかりません」


まあそんな噂が出るほどの相手だもんね。殺そうと思ったら一瞬で死ぬかも知れない。


「最後に一つ質問。全く関係がない話だけどこの大陸と魔大陸はどれくらいの大きさなの?」

「それは簡単な話ですね。ここは大陸と言うより島なんですよ。他の大陸と比べると十分の一くらいかな?魔大陸はこの島の二分の一位です」


ここは島?しかも魔大陸だけじゃなくて他の大陸もある?


「あ、言葉は大体共通です。話に関しては気にしなくても平気です」

「そこは気にしてないけど」

「それで?何を頼むんだ?」

「それは魔族の排除です。魔大陸の人達は過激になりすぎてしまいました」

「僕達は魔族の調査とあわよくばその討伐をするんですか?」

「端的に言えばそうですね」

「でも魔族を殺したらその他の大陸から魔族が攻めてきたりしないの?」


その可能性があると下手に攻められない。


「それは大丈夫ですよ?そもそも国が違いますから」

「それはよかった」

「じゃあ吸血鬼さんは?」

「別の国だよ。魔大陸は食糧資源不足だからしょうがないけどもっと閉鎖的な所を無くしていたらこんなことにはならなかったんですけど」


でも確かに魔大陸出身じゃないなら裏切り者とも言われないし信用出来るのか?いや、でも…、そもそもそれが本当と断言することも出来ない。所詮は口で言ってることだから。

そんな事を考えていたらミカゲが肩を叩く。


「大丈夫。何かあったらカバーする」

「はぁ~、私はグータラしてたいんだけどな」


流石アイラル。少しの期間しか一緒にいなくてもわかる。ダメ人間一歩手前の人だ。


「でも吸血鬼さんが出ればそれで平気なんじゃないの?」

「ただ潰すだけなら平気なのですが私は顔が知られ過ぎている。だから旧知の人間としか接することが出来ないのです」

「つまり大規模な戦闘が起きてしまう恐れがあると」

「そうです」

「それじゃあ最低限、魔力による身体強化のレクチャーをしてから行ってもらいます」

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