↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヴェリタスの最終定理6:壊れた世界のやりなおしかた【2位】  作者: LIU
世迷いの嫁はサメの姫

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/74

美食1:【世紀末!破滅する星!燃える大地に君はいた!】

イメージソング:戦闘メカ ザブングル サウンドトラック

https://youtu.be/vHJg4V686HA?si=7GsiZ-njzPVvSVND

震災が、東方の島国を激震させた、まさにその直後のことだった!


199X年、某日!


壊滅的な痛手を受けた日本を発端として、突如として地球規模の同時多発テロが勃発した!


引き金を引いたのは、その東方の国で密かに勢力を伸ばしていた異常な結社であった!


彼らは長年にわたり、極秘裏に、人類を地上から根絶やしにするための最終兵器を開発していた!


その毒ガスの名は「キングダム・ウイルス」!


散布された死の霧は、風に乗り、瞬く間に世界を包み込んだ!


だが、真の絶望は毒ガスそのものだけでは終わらなかった……。


世界が狂乱に陥る中、暴徒化した人々は、理性とブレーキを完全に失った。


世紀末!


パニックの中で、あらゆる兵器が、まるで……玩具を散らかすかのように、面白半分に、そして、無計画に乱射されたのである!


理由など、もはや誰にも分からなかった!


ただ、地球というおかしな星が、自ら、自傷行為を繰り返したのだ!


かつて八十億を誇った世界人口は、劇的に激減した!


引き裂かれた大地!


爆発によって海底へと沈んだ沿岸部!


新たに隆起した新たな山脈!


国境線などという、お利口さんな概念はめちゃめちゃになり、大陸の形状は原型をとどめないほどに歪み切っていた!


そして!


散布された「キングダム・ウイルス」は、生存者たちの遺伝子構造を根本から破壊し、再構築した!


死に至らなかった者たちの体内で、細胞が、地獄の変異を起こし始めたのである!


ある者は頭部からけだものの耳が生え、全身を体毛と筋力で覆われた!


またある者は骨格が変形し、言葉を解しながらも目も当てられない怪物へと成り果てた!


そしてまたある者は、華奢な身体と長く尖った耳、そして異常なほどに発達した頭脳を持つに至った!


そこにあったのは、救いなどない、「地獄以下の地獄」であった!


形を失った大地の上で、異形となった生き残りは泥を啜り、互いの肉を食み、血みどろの、ぐちゃぐちゃの生き残り合戦を繰り広げた!


それから時は流れ、2025年、現在。

滅亡の淵から這い上がった地上には、不思議な「安定」が訪れていた。

かつての地獄の混乱は過去のものとなり、人々は自らの変異を受け入れ、新たな社会を形成していた。


強靭な肉体を持つ「獣人」と化した元・人間たち。

高い知能を手に入れた「エルフ」と化した元・人間たち。

彼らは互いに肩を並べ、共存していたのである。

各地では「適度」に戦争が起き、「適度」に人が死に、「適度」に新たな命が産声を上げる。

国家という枠組みが崩壊したあとも、やはり人々は都市を作り、やはり通貨を定め、やはり法律を打ち立てた。

結局のところ、姿形が変わろうとも、人は、やはり、「人」のままであったのだ。


この30年間において、社会の主導権を握っていたのは間違いなく「獣人」たちであった。

瓦礫の山を切り開き、巨大な建造物を打ち立て、凶暴化した野生動物から街を守るために必要だったのは、圧倒的な「腕力」に他ならない。

物理暴力の頂点に立つ獣人たちは社会の支配層となり、議員として法を整え、労働者として街を動かした。

一方で、腕力のないエルフたちは、無価値な存在として虐げられ、社会の最底辺で獣人たちの気まぐれな差別に怯える日々を送っていた。

獣人が威張り、エルフが泥を舐める。それが、不変の秩序であるかに見えた。


だが、ある日!


すべてを根底からひっくり返す、たったひとつの「技術」が発見された!


「魔法」である!


物理法則をねじ曲げるその技術が解明された瞬間、世界は激震した!


何より世界を驚愕させたのは、これまで役立たずと嘲笑されてきたエルフたちの身体構造であった。エルフの体内には、驚くべきことに、「無尽蔵の魔力生成器官」が存在していることが判明したのである。彼らは単に魔法を使えるだけではなく、自分自身が永久機関のごとき魔力発生源そのものであったのだ。

この発見は、一夜にして世界の権力構造を反転させた。

昨日までの弱者は、一夜にして世界を統べられる強者へと躍り出た。

そして、何が起きたか。

これまでの過酷な世の中を血と汗で支えてきた獣人たちは、文字通り、一夜にして犬猫と同等の存在へと叩き落とされたのである。


「知(まほう)は、力なり」


エルフたちの放った一言とともに、それまで社会を動かしていた獣人の議員、実業家、将校、そして一般労働者に至るまでが、次々に拘束された。彼らは文字通りの「ブタ箱(やしき)」へと放り込まれ、家畜同様の扱いを受けることとなった。


それまで数千、数万の単位で蓄積されてきた獣人からの差別と暴力。

それに対するエルフたちの恨みは、果てしなく、そして容赦がなかった。


事態をさらに混乱させたのは、元・動物たちの存在である。

キングダム・ウイルスによって異形化し、かつては熊や牛や蛇だった怪物たちもまた、空間に満ちあふれた魔力の影響を受け始めた。彼らは魔力を使いこなし、人里離れた荒野から街へと降りてきては、気まぐれに暴力を振るうようになったのである。


では、この世界で、変異を起こさずに中途半端な姿のままで残された「単なる人間」はどうなったのか。


単なる人間は、やはり、「単なる人間」であった。


体内に魔力を宿し、魔法使いとしてエルフに次ぐ地位を得る器用な者もいれば、まったく魔力を持たず、相変わらず泥臭い商売で日銭を稼ぐ者もいた。エルフのように特権を得ることもなければ、獣人のように迫害されることもない。

良くも悪くもどっちつかずの「人間」は、時代の荒波の狭間で、持ち前の強かさとしぶとさを発揮して平然と生きていた。


現在、街の風景は、ファンタジーと現実が混ざり合った、独特の色彩を放っている。

石畳の大通りを、旧時代の「馬車」と新時代の「魔導車」が並走し、空を見上げれば、エルフや魔法使い達が優雅に飛び交い、街角では「魔導ランプ」が青白い光を放ち、夜の闇を照らし出している。


当然、街で巻き起こる事件や犯罪の質も、劇的な変化を遂げた。

強盗が放つのは拳銃(はじき)ではなく衝撃波であり、詐欺師が使うのはペテンではなく精神魔法である。超常現象が日常茶飯事となり、警察機構は魔導犯罪に対処するための専門部署を立ち上げざるを得なくなった。


さらに、魔力という科学技術は、かつての「神秘」すらも叩き潰した。

かつて全世界で言い伝えられてきた「妖怪」「幽霊」「悪魔」「呪い」の類。

これらはすべて、魔力技術によって、そのカラクリが完全に解明されたのである。

幽霊とは単なる「定常波」に過ぎず、呪いとは「生体魔力回路の機能不全」に過ぎないことが判明したのだ。

怪異は、もはや恐怖の対象でも、神聖な奇跡でもなくなった。単なる、「事実(トラブル)」でしかなくなったのである。


さてさて。


ここまでを聞いて、「なかなか面白そうじゃないの」と思った者がいるかもしれない。

もしそう感じたのなら、それはあなたがこの世界を経験していないからそう思えるのだ。


想像してみるがいいさ。


魔法で空を飛ぶ姿を見上げても、そこに抱くのはもはや羨望ではなく「免許の更新手続きが面倒だよなあ……」という冷めた感想だけ。

目の前に幽霊が現れても、恐怖に慄くのではなく「また保健所に除霊申請を出さなきゃな……」という辟易とした溜息しか出ない。


面白いわけがないのだ。


夢が現実となった時、そこには、何の感動も起きなくなるのだ。


神秘は死んだ!


恐怖も、幻想も、すべてはただの日常という名の泥沼の中に飲み込まれていった!


そして、世界が魔力を事実として認め、社会構造の再編を完了した、まさにその日、歴史の針は大きく進められた。


新たに制定された暦の名は、「新暦」……。


光と闇、差別と栄華、科学と魔法、そして熱狂と諦念が混ざり合うこの地で……物語が始まる!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。