↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヴェリタスの最終定理6:壊れた世界のやりなおしかた【2位】  作者: LIU
悪魔でも悪にあらがう悪役令嬢

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/74

救済40:【キミの家族は食人族!おいしく食べられた悪女!】

イメージソング:食人族 サウンドトラック

https://youtu.be/D9nKgvenmCw?si=xLWJZ-uk8u2WVj30

絶望は、喜劇の前振りに過ぎない。


悪意が世界を覆い尽くし、ラプラス公爵夫妻が「生体サーバー」として永久の地獄に落ちたことは、決して、理不尽な悲劇でも、悪意の暴走でもなかった。


それは、宇宙の法則が導き出した、完全に正当な「因果応報」であったのだ。


事の始まりを紐解こう。

なぜ、ルミナリアとシャルロッテは、世界の均衡を保つための生贄にならねばならなかったのか。

その理由は、単純である。

それは、使命でも、試練でもなかった。

ただの「運(ガチャ)」である。

たまたま世界のバグを引き受ける座標に居合わせ、たまたまその特異点に吸い込まれてしまっただけの、単なる不運。


しかし、宇宙はバグを許さない。


運命によって理不尽に犠牲を強いられた少女の魂は、砂漠の果てで消滅など……していなかった!


すべての真実が解き明かされる時が、来た!


かつて、王都の誰もが恐れた「死神」ルミナリア・フォン・ラプラス。

彼女はなぜ、虚弱体質な上に魔力が皆無であったのか。

その理由は、両親の皮を被った悪魔たちの「罪」にあった。


両親は、幼いルミナリアを……生きたまま食っていたのである!


彼女の肉体は、極上の魔力を秘めた霊薬であった。

両親は、地下室の奥深くで、まだ幼いルミナリアの四肢をもぎもぎもぎ取り、その肉をきちんと焼いて小腹を満たし、こぼれた血は残さず啜った!

そして、低級の治癒魔法で彼女の四肢を一瞬で「再生」させ、そうしてまた切り刻む。

どれほど天賦の才を持つ大魔導士であろうと、肉体と魔力の源を無限に搾取され続ければ、魔力は枯渇し、細胞は疲弊しきって、ついには虚弱体質になるのは当然の理であった。


両親は、虐待の記憶が露見することを恐れ、ルミナリアの脳からその記憶を「完全削除」した。

彼女は自分が親から食われていたことなど何も覚えていない。両親を、愛すべき存在だと信じ込んでいた。


しかし!


魂に刻み込まれた「悪への怒り」そして「人間不信」は、決して消え去ることはなかった!


記憶を失ってもなお燃え盛る怒りの炎こそが、彼女を『死神』へと変貌させたのだ!


世にはびこる悪党どもに対し、決して自らは手を下さず、完全な論理と状況証拠だけで追い詰め、「さあ、あなたの罪に、選択を」と迫って自滅させる。

彼女が正義の執行者となったのは、魂の反逆であった。


ルミナリアがラプラス家を追放された直後、驚くべき変化が起きた。

彼女の体力は、みるみるうちに回復し、枯渇していたはずの魔力が湧き上がり始めたのだ。


当然である!


自らの肉体と魔力を永遠に搾取し続けていた「実家」から抜け出したのだから!


本来の彼女のスペックが、ついに制限を解除され、猛烈な勢いで覚醒を始めたのである!


そして、彼女の傍らに常に寄り添っていたメイド、シャルロッテ・フォン・ベッケンドルフ。

ルミナリアが半ば強引に買い取り、後に夫婦として契りを結んだ彼女には、世界を根底から覆す重大な秘密が隠されていた。


シャルロッテは……ルミナリアの「生き別れの実の妹」だったのである!


ラプラス家の狂った両親によって幼い頃に捨てられた妹。彼女が狂気的な愛をルミナリアに向けていたのは、血の繋がりによる魂の共鳴であった。

運命の糸に導かれるように、捨てられた妹は実の姉の元へと引き寄せられた。

シャルロッテは、ルミナリアと再会し、実の姉妹としての繋がりを取り戻した直後から、彼女の内に眠っていた大魔導士としての血が爆発的に覚醒を始めていたのだ。

追放された無能な令嬢と、ドジなメイド。


その実態は、虐待という枷を外されて本来の力を取り戻しつつある「神に匹敵する魔導姉妹」であった!


もし、ルミナリアが両親から虐待されていなければ。


もし、彼女の魔力が生きたまま食われていなければ。


彼女は間違いなく、この次元を統べる「神」そのものになっていた。あの絶え間ない拷問と捕食を生き抜き、才能を開花させる手前まで辿り着いたルミナリアを「弱い人間」だと侮る者がいるならば、直ちに自害して己の愚かさを恥じるべきである。


時を少し戻そう。

あの砂漠で、ルミナリアは「すべての世界の悪意」をその身に引き受けた。永遠にも等しい奔流の中で、彼女の魂はついにすべての真実に到達した。

自分が親から生きたまま食われていたからこそ、魔法の才能と体力が奪われていたこと。

そして、最愛の妻であるシャルロッテが、たった一人の実の妹であったこと。

怒り。悲しみ。そして、宇宙の真理。

ルミナリアは、自身に集まった悪意を、ただの呪いとしては終わらせなかった。

彼女は己の魂を「巨大なフィルター」とし、すべての悪意を飲み込み、そして砂となって消えた。

のちに、エラーラという稀代の大魔導士が、世界に残された魔力の残滓を解析した。そしてエラーラは、ルミナリアという最強のフィルターを通して「純化された思念」を、特に何も考えずに、ただ、世界に返還したのだ。


その結果が、あの『ラプラス便器』へと繋がるのである。


ルミナリアというフィルターを通った宇宙の法則は、絶対的な真理として世界に浸透した。

ルミナリアの、両親。

実の娘を生きたまま食べて、死んだら蘇らせて、そしてまた食べるという、全次元を見渡しても類を見ないほどの絶対悪。

ルミナリアの無意識の「恨みと復讐の実行」は、個人の怒りを超え、宇宙そのもののシステムとして組み込まれた。

誰しも、ラプラス公爵夫妻に個人的な恨みなどなかった。


だからこそだ!


だからこそ全ての生命体は、『選択』など特にせず、彼らに排泄物という名の『罰』をぶつけ続けたのだ。

憎しみすらない無関心の拷問。それこそが、ルミナリアが味わった「理由なき理不尽な虐待」に対する、最も完璧で、最もふさわしい復讐であった。

ラプラスの、永久不滅の地獄は悲劇ではない。

宇宙が正しく機能しているという、輝かしい証明であった。

すべてが清算された。

世界は救われ、敵は全次元のトイレの底で永遠に浄化され続けるという、大変すばらしい役割を得た。


ならば、残るはただ一つ。


すべての真実を乗り越えた姉妹の、栄光の帰還である。


その日。

王都の空は、透き通っていた。

広場を行き交う人々のざわめき。

馬車の車輪が立てる軽やかな音。

広場の噴水から跳ねる水飛沫のきらめき。

そのすべてが、永遠に続く平和を祝福しているかのように平穏に満ちていた。

だが、その「究極の平穏」すらも、これから訪れる圧倒的な奇跡の、ほんの些細な前振りに過ぎなかった。

不意に、風が止んだ。

真っ青に澄み渡っていた天空の中心に、一滴の「黄金」が零れ落ちた。

光の滴は、瞬く間に天空全体へと波紋のように広がっていった。青かった空が、端から端まで眩いばかりの黄金色に塗り替えられていく。

雲が、その光を恐れるように、割れていく。

空間から、ガラスが弾けるような高く澄んだ音が響き渡った。

空が、物理的に「割れた」のだ。

次元の壁そのものが無数の欠片となって崩れ落ちていく。

黄金に光り輝く宇宙の深淵から、果てしなく続く「光の階段」が、王都のメインストリートに向けて真っ直ぐに伸びてきた。

そして、その階段の頂上、すべてを圧倒する光の中心に、二つのシルエットが静かに浮かび上がった。


ルミナリアと、シャルロッテであった。


いや、もはやその姿を見た者は、彼女たちを「人間」という矮小な枠組みに当てはめることなど絶対にできなかった。

それは、この次元、いや全次元における『女神』そのものの、完全なる顕現であった。


一人は、かつて王都の誰もが恐れ、そして誰よりも気高く生きた「無能な天才令嬢」、ルミナリア・フォン・ラプラス。

そしてその隣には、ルミナリアの生き別れの実の妹であり、世界でただ一人、彼女と夫婦としての契りを結んだ最愛の妻、シャルロッテ。


「あ……ああ……っ」


地上でその光景を見上げていたエルフの少女、アリシア・ヴェリタスは、その場に崩れ落ちるように膝をついた。

両手で顔を覆い、指の隙間から、ボロボロと大粒の涙を止めどなく流し続ける。


帰ってきた!


彼女が愛し、彼女が誰よりもその生を願い、そして自らの手で胸を貫くという最悪の絶望を味わってでも守りたかった、あの親友が。

愛だけでは、どうしても救いきれなかったこの残酷な世界を。

あの気高く、恐ろしく、誰よりも優しい悪女・ルミナリアは、自らの『学』と『武』、その完全なる論理と力だけで完全に救い切り、そして、あらゆる因果をねじ伏せて、神として舞い戻ってきたのだ!


「ルミ……ルミ……っ!」


アリシアの口から、嗚咽とともに親友の名が漏れる。それは悲しみの涙ではない。魂の底から湧き上がる、究極の歓喜と安堵の涙だった。


一方、王都の警察署の屋上。

空を見上げていたカレル警部は、咥えていた火のついていないタバコを、ポロリとコンクリートの床に落とした。

いつも眉間に皺を寄せ、世界の不条理を憎むように睨みつけていた彼の顔から、一切の険しさが消え去っていた。

カレル警部の口元が、ゆっくりと緩む。

それは、彼がこれまでの苛烈な人生の中で一度も見せたことのない、心からの、まるで少年のような清々しい笑みだった。

彼もまた、直感で理解していたのだ。あの空から降りてくる存在が、すべての悪を終わらせ、完全な正義を執行し終えたのだと。


【王都の市民たち。いや、王都だけではない。この大陸に生きるすべての人間、エルフ、獣人、あらゆる種族が、その黄金の空を見上げ、その場に膝をついていた。彼らは誰一人として、事の真相を知らない。ルミナリアが過去にどれほどの地獄の虐待を受けていたか。彼女が砂漠の果てでどのようなメカニズムで世界を救い、因果律を書き換えたか。誰が、何を、どうしたという説明など、一切受けていなかった。だが、説明など不要だった。紛れもなく、そこにいるすべての者の心が、魂の次元で激しく打たれていたのだ。】


圧倒を超える圧倒。

究極を超える究極。

空から降り注ぐのは、存在そのものが放つ「完全なる愛と救済の波動」。

二人の女神は、光の階段を一段、また一段と、ゆっくりと降りてくる。

光の階段の最下段。

ルミナリアの純白の靴が、王都のメインストリートの石畳に、軽やかな音を立てて降り立った。

続いて、シャルロッテの足も地上へと降りる。

ルミナリアは、日傘の代わりのように優雅に手を掲げた。

そして、軽やかな足取りで、彼女は歩き始めた。

シャルロッテもまた、ルミナリアの隣にピタリと寄り添い、【もう二度と離れない】と誓うようにその歩幅を合わせた……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。