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魔法学校留学!  作者: ポムの狼


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4 青い桜みたい!

 十一時間の飛行機での長旅。

 座ってるだけじゃ飽きちゃうから、自分のゲーム機でゲームをしたり、前の椅子の背もたれについている小さなテレビで映画も見た。初めての飛行機ではないけど、さすがにぐったりだ。


 やっとのことで到着したニュージーランドのオークランド空港。


 着いたのは十二月二十二日なのに、飛行機を降りた途端に空気が暑くてびっくりしちゃった。パパの話によると、ニュージーランドは日本と季節が逆なんだって。日本が冬の時は、ニュージーランドは夏なの!


 空港の中では、巨大な回転ずしレーンのようなところを、スーツケースや大きなカバンが次々と流れてくる。

 私はそこから水色の自分のスーツケースを下ろして、エマは小さなピンク色のスーツケースを下ろした。


 パパがエマのスーツケースを押そうとすると、エマは「エマがやる!」と言って、パパからスーツケースを奪った。エマのリュックサックには、飛行機でもらった茶色い謎鳥のぬいぐるみが踊るように揺れていた。


 ガラガラとスーツケースを押して、家族でガラスの自動ドアをくぐるとニュージーランドのおばあちゃんが両手を広げて出迎えてくれた。


「ばあば!」


 エマはスーツケースを放り出して、おばあちゃんの胸に飛び込んだ。

 おばあちゃんは、毎年お正月は日本に帰ってきて、我が家で過ごす。その時、たくさん甘えさせてくれるので、私とエマはおばあちゃんが大好きなのだ。


「よく来たわね、エマちゃん、杏ちゃん。また大きくなったんじゃない?」


 エマは「おっきくなった!」とその場でぴょんぴょんしたけど、私はなんだか照れくさくて何も言えなかった。


「リリーと直樹さんもお帰りなさい」


 ママは、おばあちゃんとぎゅっと抱き合い、パパは「よろしくお願いします」と言って頭を下げた。




 空港からおばあちゃんの運転する車でおばあちゃんの家を目指す。

 大きな高速道路を走っていると、私が今まで住んでいたところでは見たこともない広い草地が広がっていた。白い生き物が何頭も見えるけど、羊かな……本物は初めて見た。


 一時間とかからずに、紫の花が咲く並木が続く住宅地へたどり着いた。

 私とエマは、車の窓からそのきれいな花に目が釘づけになった。まるで青い桜みたいだ!


「おばあちゃん、あの紫の花は何?」


 私が聞くとおばあちゃんがバックミラー越しに私に微笑む。


「あれは、ジャカランダっていうのよ。きれいよね。私も大好きな花なんだよ」


 ジャカランダ……変な名前。

 でもこの花は、いやじゃない。


「おばあちゃんの家にもジャカランダがあるんだよ。学校が始まるまでにママとジャカランダで杖を作ったらいい。ママもおじいちゃんもそうしてたからね」


「つえ?」


 私が聞くとママが答えてくれた。


「魔女や魔法使いになったばかりの子供は、親や先生と自分で使う魔法の杖を作るのよ。作り方を教えてあげるから一緒に作りましょう」 


「う、うん」


 杖は、作ってみたい。

 どんな杖を作るのか想像すると、お腹の中がむずがゆくなった。

 



「さぁ、着いたよ」


 おばあちゃんが車を停めたのは、坂道を登った先の丘の上。白い木製の壁の大きな家の前だった。

 おばあちゃんが言っていた通り、家の庭には二階の窓に届く高さの大きなジャカランダの木が生えている。


「わぁー!」

 

 私とエマは、車から降りると庭のジャカランダの下まで走った。

 見上げると空が見えないくらい花がいっぱいだ。


 私とエマはジャカランダの木の下を二人でぐるぐると回った。


「二人とも、早くいらっしゃい」


「はーい!」


 ママが呼ぶ声に、私とエマの声がぴったりとそろった。


 玄関を入ってすぐにリビング。

 壁には、私が生まれる前に亡くなってしまったおじいちゃんの写真やパパとママの結婚式の写真が飾られている。

 私とエマは、玄関で靴を脱ぐと家の中へ駆け込んだ。


 おばあちゃんが「二人の部屋は二階だよ」と教えてくれたので、二人で階段を走って登った。どっちが先に私たちの部屋を見つけられるか、競争だ。


「ねぇね!ここじゃない?!」


 先にそれらしき部屋を見つけたエマの声が廊下に響く。

 私は、パパとママの寝室なのであろう部屋の扉をばたんと閉めて、エマの声のした部屋へ急いだ。


 部屋に入った私は驚いた。

 その部屋には、白い天蓋付きの可愛らしいベッドが二台並んでいたからだ。


「すごい!お姫様みたい!」


 もうすでに、エマはベッドの上に転がっていたので、私も透ける布の天蓋をめくって、隣のベッドに転がる。


「ねぇねがお姉ちゃんのお姫様で、エマが妹のお姫様ね」


 エマの頭の中では、もうお姫様ごっこが始まってるみたい。私はおかしくて笑ってしまった。


「あ、エマ見て。ジャカランダ」


 部屋の窓からは、さっき庭で見たジャカランダがすぐ間近に咲いていた。

 遠くに高い建物が並ぶ街。そのもっと向こうには少しだけだけど海まで見える。


「ねぇね、きれいだね」


「うん……本当に」


 胸のもやもやは晴れないけど、この素敵な街でどんなことがあるのか、ちょっとだけ気になりはじめていた。

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