17 絶対コンプリートしたい!
「はい、皆さん広がって。話の聞こえる位置に移動してくださいね」
校庭の真ん中にブラウン先生。
それを半円状に囲むようにYear 5の皆が立った。
「それではマラソンのコースから説明します」
ブラウン先生が筒状に丸まった地図を手に持っている。それを杖で叩くと地図が宙に浮き、広がった。
地図には、校舎やグラウンド。周りの森が分かりやすく絵で描かれていた。
「コースは簡単。学校を出発して森に入ります。森を北に進んでいくと丘に出て、丘の上には大きなカウリが一本生えています。そこが折り返し地点です」
私がタマちゃんに「カウリってなに?」と聞くと、「白っぽい幹の巨大な木だ。見れば分かる」と教えてくれた。
「カウリの木には、人数分のハチマキを袋に入れて置いてありますので、それを一本取ってから学校まで帰ってきてください。片道でだいたい一キロ。往復で二キロの道のりですので頑張ってくださいね」
二キロ……日本の小学校でもグランドを走ってマラソンをしたことはあるけど、森とか丘とかは走ったことがない。絶対に大変なことだけは想像できた。
「以前授業でも伝えましたが、魔法を使ったり、自分で作った魔道具を使って走ってもオッケーです」
うん。覚えてる。だから、得意な魔法を探してたんだよね。
「ちなみにですが、使役している魔法動物を使うことも大丈夫ですよ」
え!? そうなの!?
私はタマちゃんを見たが、タマちゃんはぶんぶんと首を横に振った。
そっか、こないだアーク団からユニコーンを助ける時に、タマちゃんが私を抱えてリープをしてくれたけど、距離は五メートルくらいだった。自分で走った方が速い。
「制限時間は二十分。順位に関係なく、二十分以内に帰って来られた人は、皆合格です。競うことも大事ですが、ぜひ自分自身のベストを目指してください」
制限時間があるだなんて……
私の不安は大きくなった。
「テストに合格できた人には、この認定章をプレゼントします」
先生が金色の小さな板を出した。日差しを反射して光り、それだけでも魅力的なのだが、板には六つの小さな穴が空いていた。
「アオランギ魔法学校のテストは、年に六回。合格するごとに、この認定章の板に魔法石をはめます」
皆それを聞いて、嬉しそうにざわめいた。
魔法石がどんな物かは分からないけど、きっといいものなんだろう。
「ぜひ全てのテストをクリアして、魔法石をコンプリートしてください」
そんなの絶対にコンプリートしたいに決まってる!
私は、あのキラキラ光る宝物が欲しくて仕方なくなった。
「ルールの説明は以上です。先生は箒で飛んで、上空から皆さんのことを見ていますので、何か怪我をしたり助けてほしいことがあれば、大きな声で呼んでくださいね。では、スタートラインに並んでください」
先生がさっと杖を振ると、芝生の校庭に真っ白な線が引かれる。
皆スタートラインの前に立つ。
私の横には、何の因果かエイデンが立っていた。
エイデンは私の顔を見ると、ふんと鼻で笑ってから前を向いた。
むきー!って叫びたい!




