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赤き日  作者: 溶接作業
9/25

作戦会議

 ――話がひと段落ついたことで、テントの中は武器を手入れする音のみが響いている。

 

 すると突然、テントの入り口が開き、男が入って来た。

 

 外から入り込んできた光に男の顔が包まれ誰だかわからない。しかし、目が慣れてくると、無精ひげが有ることに気が付いた。


「なんだ。 ニッケランかよ」


 オキタルが面白くなさそうに言葉を吐いた。

 するとニッケランはニヤリと笑い、ここまで来た経緯を話し始めた。


「ここまで来るの結構大変だったんだぜ? 支給されたテントがどれもこれも一緒だから何回間違えたか・・・」


 ジョンが自分の後頭部をさすりながら、苦笑いを浮かべた。


「ニッケランにテントの場所を教えるのをすっかり忘れていたな。すまなかった」


 ニッケランは気にしてないと手を動かした。


「いやいや! そんな謝る必要はねぇよ。 別にきにしちゃいないしよ」


 ジョンは一つうなずいて見せ、「ありがとう」と一言いうと、座るように促した。

 それにニッケランは答えるように座り、それを見届けたジョンが話始めた。


「三か月後の戦に備えて各自やることを聞いておきたいと思ってな。 聞くにはちょうどいいタイミングだろ?」


 ザザンはオキタルやニッケランに先に話すことを目で伝えた。


「そうだなぁ、俺は武器を直すことが目標になるな」


 その言葉にニッケランは驚いた顔を見せる。


「え? お前のグラディウス壊れたのか?」

「いや、壊れかけって所だ」


 ニッケランは一瞬だけ剣に視線を落とした。


「でもどうやて直すんだよ? 武器を直すのってかなり金が必要になるだろ?」


 その言葉にザザンはニヤリと笑う。


「ジョンが紹介してくれるんだよ。 王国お抱えの鍛冶職人をな!」


 ニッケランは言葉を聞き、目が点になっていた。


「余計に金がかからないかそれ・・・?」


 それに対してザザンは大きくうなずいて見せると、より一層笑顔を深めて話始めた。


「ジョンの伝手でかなり安くなるらしいんだよ」

「ほぉ~?」


 ニッケランは前のめりになり、ジョンに顔を向けた。


「その鍛冶師ってのは武器も作れるのか?」


 ジョンは首を傾げながら上を向くとうなり声を上げながら考え込んだ。


「作る分には問題ないと思うが、料金をどれぐらい下げられるのか分からないんだよな」


 すると、ニッケランは難しそうな顔を見せた。


「たしか、王国軍って武器の支給してたよな? 余り物だけど」


 それにオキタルが答える。


「うん。 俺の短剣も王国軍の支給品だよ」


 その言葉にニッケランは強くうなずく。


「支給品のロングソードを改良してもらうってのは出来るのか?」

「たぶんできるだろう。というかそっちの方が本職のはずだ」


 その言葉を聞きザザンは少し不安を覚え、ジョンに質問をする。


「直す方の腕は大丈夫なのか?」


 その言葉にジョンは微かに笑いながら答える。


「それは心配しなくて大丈夫だ。 ヤツの腕は王国でもかなりのもんだと聞いている」


 その言葉を聞いてザザンは安心した。

 ニッケランの方も安心したのか表情が柔らかくなっている。

 

 すると、彼は自分の膝を一つ叩いた。

「有り金全部はたいてでも、自分の手になじむロングソードを製作するぜ俺は」


 それを聞きジョンは納得した様子で頷いている。

 ニッケランがニヤリと笑った。


「俺とザザンは話したんだ。 次はお前の番だぞ、ジョン。」


 ジョンは理解した様子で話し始めた。


「俺の目標は軍の司令部たちと出来るだけ生存率の高い戦略を練ることだな。」


 他の三人は理解したようにうなずいていた。

 すると話し終わったジョンが今度はオキタルに質問をする。


「今度はオキタルの番だぞ。 お前は何をする予定なんだ?」


 オキタルは頭を抱えながらうなっている。ニッケランに正直に話すわけにはいかないという葛藤からだろう。


「うーん。 隠密の練習か、短剣の戦い方の練習か、逃げ方の練習か・・・」


 そんなやりたいことが多くて困っている様子を見かねてか、ニッケランが口を開いた。


「せっかくなら隠密の練習で良いんじゃないか?」


 その言葉を聞いてオキタルは少し驚いた様子だ。


「え? 隠密? ニッケランなら俺に逃げ方の練習をしろって言うかと思ったよ」


 そんなオキタルの発言にジョンも共感している様子だ。もちろんザザン自身も。

 そんな質問に苦笑いをニッケランは見せた。


「いやな? 俺は逃げる練習に関してはもう十分だと感じてるんだ。なんせ、戦の度に敵に鉢合わせして、何回も逃げ切ってるだろ? お前」


 オキタルはそれにうなずいて見せたが、まだ納得していない様子だ。それをニッケランも感じ取ったのか付け加えるように話し始めた。


「しかしな、敵に見つかるってことは隠れる技術はまだまだ未熟だってことだろ? 敵を偵察する役割のお前にとって隠密能力を鍛えることはかなり強さに直結すると感じるんだ」


 オキタルは少し何か言いたそうだ。しかし素直にうなずいて見せた。

 その妙に素直な様子に、ニッケランはオキタルの顔をまじまじと見たが、すぐに視線を上げた。

 するとジョンが手を軽く上げて皆の視線を注目させた。


「今日はニッケランが目覚めたり、ザザンの剣の損傷がひどかったりとかなり色んな事が起きたが最終的にはいい感じにまとまってよかったと感じている。」


 その言葉にジョン以外の三人はうなずいてリアクションを取っている。


「三か月後の戦の結果によって王国は帝国に服従するかもしれないし、滅びるまで戦い続けるかもしれない。あるいはーー勝つかもしれない。つまり何が起こるか分からないってことだ。」


 皆は静かにうなずいていた。ジョンの言葉が次の戦の過酷さを物語っている。


「だからこそ、この三か月間は万全の状態を作るぞ。何があっても耐えられるようにするんだ。」

「おう!」


 三人が同時に気合の入った言葉を発し、それに興奮してザザンは内側から熱気があふれ出てくるように感じた。


「よっしゃ! やってやるそぉ!」


 人一倍大きな声を出しながらオキタルはテントの外へと駆け出して行った。それに続くように、ザザン、ジョン、ニッケランもテントの外へと向かっていった―――。


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