魔操志
幸か不幸か、ニッケランの命はまだ、尽いえないようだ。
彼は何とか剣を握り、地面に突き刺し、立ち上がろうとする。
「うおお!」
何と足に力を入れ、やっとの思いで立ち上がる。
彼の様子に鎧をガチャガチャと鳴らし笑う魔法使い。
「その様子では、まだ本気ではやれなさそうだな」
ニッケランは魔法使いを殺意に満ちた目で睨み「黙れ」
「おお、怖い怖い。そんな目で俺を見るなよ」
奴の様子に少し安堵する。本当に回復するまで待ってくれそうだ。
しかし、いきなり魔法を打ってくる可能性も捨てきれず、時間稼ぎも兼ねた質問をぶつける。
「おい! 帝国の人間は礼儀も知らないのか?」と余裕なふりをするニッケラン。
「これは失礼いたしました。 私の名前はロ=ヴェルト。 中将を務めさせております、魔操志でございます」
丁寧な言葉遣いだが、その裏には嘲笑が見え隠れしていた。
(不意打ちの予定だったんだがな…)
ニッケランは足の様子を確認する。地面に力を入れてみると、ほとんど元に戻っているもののまだ頼りない。
「魔操志ってのは魔法使いの事か?」
「ええ、ええ。そうですとも。王国では魔法技術は一切進んでいないそうで、そのような前時代的な言い方をするそうで?」
丁寧と嘲笑が混ざった異様な言葉遣いに異物感を覚える。しかし、質問をし続けたことにより、すっかり足は元気を取り戻した。
(一応戦えるところまでは回復した…しかし、魔法使い…いや、魔操志の魔術を回復させるための時間稼ぎだとも考えられる…)
このまま勝負を賭けるか、もっと情報を引き出すか迷う。
しかし、次の魔操志の発言に選択肢は一つに絞られてしまった。
「そろそろ回復したんじゃないか? だって、目つきが戦士のそれになっているもんな?」
ニッケランは舌打ちをした。
敵が魔操志というだけで不利だというのに、敵は心理眼まで持ち合わせているのだから。
(いや。これも魔法かもな…)
両足で力強く大地を踏みしめ、剣を構えた。魔法がいつ飛んでくるのか予測できないことも加味し、いつでも飛び退けるように体勢を低くする。
すると、魔操志は腰に掛けている剣を抜き去った。その剣は妙に波打っており、美しく感ぜられる。しかし、その裏には明確な殺意も感じられた。
「その剣、切られたらやばそうだな?」彼の額は汗ばみ、心臓は体から飛び出さんばかりに高鳴っている。
「これは、フランベルジュという剣でな。切られることで初めて恐ろしさが分かるんだ…」
魔操志はうっとりとした手つきで曲線をなぞる。しかし、その飢えた獣のような目はニッケランを直視していた。
「魔法を恐れて近寄れないか? 哀れだが、その気持ち、痛いほどわかるぞ」
奴は身震いさせ、話を続ける。
「この力は溺れてしまうほど強大で、自分でも恐ろしいと度々思うよ…しかし、一度使ってしまえばその圧倒的な力に魅了されてもしまう…しかし、君たちは感謝をするべきだ。この力をその身をもって体験できるのだからな!」
魔操志は剣を地面に向け、反対の手をこちらに向けてきた。
「死ね! 名も知らぬ哀れな男よ!」
魔法使い=魔操志 φ(゜ー゜)ホォホォφ(。_。)メモメモφ(゜-゜)フムフムφ(。_。)カキカキ
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