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赤き日  作者: 溶接作業
一章

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24/107

剣の腕

 奴がそう叫ぶと、目に熱が飛びこんでくる。まぶしく、熱く、目を開けられない。


 ニッケランは地面を力一杯にけり込み、右へ飛び込む。


 どんどんとその熱源が近づいてきているのか、顔が熱く、焼けているようだ。


 耳元で火の粉のような音が聞こえ、熱が背中に伝わる。

 次の瞬間、後ろで爆発音のようなものが聞こえ、悲鳴が上がった。


「くそ! なんなんだ!」と音の方を向く。


 爆ぜた死体が見え、その周囲を腰の抜けた兵士が取り囲んでいた。


「敵も味方もお構いなしかよ……っ痛!」


 左腕がヒリヒリと痛んだ。見てみると赤くなり、軽い火傷を起こしているようだった。


「冗談じゃねぇ…」


 横を通り過ぎただけでこの威力。しかも、今の魔法と最初の大穴の時と比べると、奴はまだ本気ではなさそうだった。


 すると、奴は叫んだ。


「なぜ避けた? お前は選ばれたんだぞ?」


 ここまでされて黙っている訳にはいかない。彼は剣を地面に突き立て立ち上がる。


「覚悟しろ」


 魔操志は空を見上げ、つまらなそうに剣を構えた。


 対して、彼は思いきり地を蹴り、目標に向かって駆け出した。


 奴は少し驚いた顔をした。速度が思いのほか早かったからだろうか。すると、構えを変え、首を守るようにして守りに入る。


「剣ごと頭蓋を沈めてやる!」


 魔操志は剣を上に構え、顔を守るようにして構えなおす。


 雄叫びを上げながら、ニッケランは剣を振り下ろした。空気を切り裂く重苦しい音が鳴り響き、次には甲高い金属音が鳴った。


 しかし、手には剣と剣がぶつかる重みが伝わらなかった。しかも、頭を狙ったはずの剣は横へ動き、軌道がずれていく。


(受け流された!)


 波打つ剣の流れに沿って滑り落ちていく。その様子が走馬灯のようにゆっくりと脳みそに伝わる。

 次の瞬間、剣を構えなおし、剣先を自分に向ける奴の姿が目に飛び込んできた。


 反射的にニッケランは剣を顔の前へ移動させる。甲高い金属音と共に、手には衝撃が伝わった。同時に体が後ろへと吹き飛ばされる。


 赤く湿った大地に着地した彼は一つ息を吐き、魔操志を睨む。


(魔法だけじゃなくて剣の腕もあるとは…)ニッケランは背中が冷えてゆくのを感じ取っていた。


 奴は獲物を仕留めそこなったからか面白くなさそうに、剣を適当に揺らして遊んでいる。


(魔法を打ってこないのはなぜだ? 余裕だからか? だが、相対していきなり打ってきたことを考えるとそういうわけでもなさそうだが…)


 ニッケランは再び構えなおす。今度は剣を下に向け、速度重視の構えだ。

 しかし、先に動いたのは魔操志だった。


最後までお付き合いいただき感謝いたします。

評価やコメントをいただけると、物語をより良くしていく大きなヒントになります。

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