魔操志
幸か不幸か、ニッケランの命はまだ、尽いえないようだ。
ニッケランは何とか剣を握り、地面に突き刺し、立ち上がろうとする。先ほどよりも足の力が入り、何とか立ち上がることが出来た。
その様子に魔法使いは大きく体を揺らし笑っている。
「その様子では、まだ本気ではやれなさそうだな」
ニッケランは魔法使いを殺意に満ちた目で睨んだ。
魔法使いは不適な笑みを浮かべながら続ける。
「おお、怖い怖い。そんな目で俺を見るなよ」
ニッケランはその様子に少し安堵した。本当に回復するまで待ってくれそうだ。しかし、いきなり魔法を打ってくる可能性も捨てきれず、時間稼ぎも兼ねた質問をぶつける。
「おい! 帝国兵の魔法使いは礼儀も知らないのか?」
余裕だぞと伝えるような軽い口調で話した。
すると、敵は手を大きく動かし、貴族階級の挨拶をしてくる。
「これは失礼いたしました。 私の名前はロ=ヴェルト。 今回、中将を務めさせております、魔操志でございます」
丁寧な言葉遣いだが、その裏には嘲笑が見え隠れしていた。
ニッケランは足の様子を確認する。地面に力を入れてみると、ほとんど元に戻っているもののまだ頼りない。
ニッケランは再度質問をぶつけた。
「魔操志ってのは魔法使いの事か?」
魔法使いが突然大笑いをした。
「ええ、ええ。そうですとも。王国では魔法技術は一切進んでいないそうで、そのような前時代的な言い方をするそうで?」
丁寧と嘲笑が混ざった異様な言葉遣いに異物感を覚える。しかし、質問をし続けたことにより、すっかり足は元気を取り戻した。
(一応戦えるところまでは回復した…しかし、魔法使い…いや、魔操志の魔術を回復させるための時間稼ぎだとも考えられる…)
このまま勝負を賭けるか、もっと情報を引き出すか迷う。
しかし、次の魔操志の発言に選択肢は一つに絞られてしまった。
「そろそろ回復したんじゃないか? だって、目つきが戦士のそれになっているもんな?」
ニッケランは舌打ちをした。
敵が魔操志というだけで不利だというのに、敵は心理眼まで持ち合わせているのだから。
(いや。これも魔法かもな…)
ニッケランは両足で力強く大地を踏みしめ、剣を構えた。魔法がいつ飛んでくるのか予測できないことも加味し、いつでも飛び退けるように体勢を低くする。
すると、魔操志は腰に掛けている剣を抜き去った。その剣は妙に波打っており、美しく感ぜられる。しかし、その裏には明確な殺意も感じられた。
「その剣、切られたらやばそうだな?」
軽口を叩いた。それは魔操志と出来れば戦いたくない内心の表れでもあった。
「これは、フランベルジュという剣でな。切られて初めて恐ろしさが分かるんだ…」
魔操志はうっとりした目で剣を眺め、手でなぞっている。その顔が彼には血に飢えた獣のように見えた。
すると剣をニッケランに向け、口を開いた。
「魔法を恐れて近寄れないか? 哀れだが、その気持ち、痛いほどわかるぞ」
奴は身震いさせ、話を続ける。
「この力は溺れてしまうほど強大で、自分でも恐ろしいと度々思うよ…しかし、一度使ってしまえばその圧倒的な力に魅了されてもしまう…しかし、君たちは感謝をするべきだ。この力をその身をもって体験できるのだからな!」
魔操志は剣を地面に向け、反対の手をこちらに向けてきた。
「死ね! 名も知らぬ哀れな男よ!」
魔法使い=魔操志 φ(゜ー゜)ホォホォφ(。_。)メモメモφ(゜-゜)フムフムφ(。_。)カキカキ




