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初詣で!?

「明けましたよ、おめでとう。アネやんッ!」


「明けましておめでとう、絲。……馬子にも衣装、いや七五三かしら」


「やっかましぃわ!! どっちも嬉しくにゃいッ!」


 ジィジと一緒に三谷家へと赴いて、開口一番、新年の嫌味を喰らった。今日はお祖母ちゃんとお母さんが着た振袖を着付けてもらっている。何故か年末の大掃除で、柏木家代々の着物を取り出してきたジィジが近所にある美容院に勝手に予約を入れて、元旦の朝から着付けさせられた。お祖母ちゃんとお母さんの思い出の着物らしく、裄も丈もギリギリだったけど、何とか着れた。


「明けましておめでとう、絲ちゃん」


「オリさん! 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」


「はい、よろしくね! あらぁ、絲ちゃん。素敵よ!! もしかして、それは琴子ちゃんと紬ちゃんが着てた振袖?」


「はい! ジィジがいきなり取り出してきて、今朝、〝サロンMACHI〟に行って、着付けてもらいましたぁー」


「そうなのぉ、良かったわね。眞知子ちゃんは元気にしてた!? 元旦から頑張るわねぇー」


「お、お元気だったんですけど……。会っていきなり泣かれてしまわれて……」


「えっ!? なんでよ!? ちょっとッ!! もしかしてユキくんが泣かせたの!?」


「ち、違いますよッ!! その……着物が……」


「あッ!! あぁー……若い頃を思い出しちゃったか……」


「若い頃?」


「その振袖を着てね、眞知子ちゃんは琴子ちゃんと一緒に成人式に行ったのよ。私にも挨拶をしに2人で来てくれてね。よく覚えているわ……」


「そうなんだ……」


「そして紬ちゃんもそれを着て、成人式に出ていたわよね。綺麗に保管してたのね、ユキくん……。大変だったでしょ」


「着物なんて保管の仕方が分からなくて、眞知子ちゃんに習ったんですよ。これだけはちゃんと保管して、いつか絲に着せたかったので……」


 それを聞いて私は、

 

「え? 二人とも成人式に着たんだよね?? なんで私はお正月なの、ジィジ?」


「いや、なんかの……この前の夢でな、琴子が元旦に着せろって言いよってから……」


「は? バァバが!? 夢で? なんでッ??」


「そんなん分からんがな。それを着せて、眞知子ちゃん所へ行ってこい言うて……」


「そんで夢で言われた通りにした訳? そんな事で私は元旦から忙しくッ!?」


「まぁまぁ、絲ちゃん! 琴子ちゃんは成人式前の着付けリハーサルをさせたかったのかもよ?」


 オリさんはジィジを責め立てていた私に向かって、やんわりと諭したのだった。


「だって! まだ何年も先なのに……」


「それに私にも『懐かしいでしょ〜』って、琴子ちゃんが見せたかったのかも! 久しぶりに見れて、私も懐かしくて嬉しいもの」


「そうですか? オリさんが喜んでくれたのならイイんですが……」


 少し不貞腐れそうになっていた私と微妙な空気が流れていたところにアネやんが、


「はい、はい、そこまでにして! 初詣に素敵じゃない! いつまでもブータレてないで、さぁ盾鉾神社に行きましょう? このままじゃ遅くなっちゃうわ! 行きましょ、行きましょ」


 強引な声掛けで出発となったのだった。


 盾鉾神社までは少し距離があるから、バスを利用して行った。臨時便が出ているから、すぐに来るし、神社までは直行だから速いこと、速いこと。

 着いて降りると、


「アレ!? 絲ちゃん??」


 聞き覚えのある声がした。振り向くと、みーちゃんさんとおタケ先生がいたのだった。私は慌てて2人の近くまで行って、


「みーちゃんさんッ! それに先生も?? どうされたんですか!?」


「きゃー! 絲ちゃん、振袖だぁ!! 今日はね、一桜っちから誘われてさぁー。デートしてやってんだわー」


「はぁ!?」

 

 おタケ先生は少し不機嫌そうな顔をして声を出した。すかさず私は、

 

「あー!! ♪ いーけないんだ、いけないんだ! ヴィーさんに言ってやろー♫」


「はぁ、柏木……。新年の挨拶の前にそれか……。また罰デッサンをやりたいみたいだな」


「ギャッ! 嘘です! すいませんッッ!! 調子のり子ちゃんが、なんか、なんか口から出たんですッ!」


「ブハッ!」


 そう吹き出す声がした方を見ると、帽子とマスクをした男の人が2人の背後にいた。なんか……見覚えがある……。


「ハッッ!? なッ!? はッ!? どう……しッ……」


 口元を押さえて驚く私を見つけたアネやんが走って来て、


「もう、絲ッ!! 人が多いんだから、離れないでよ! あれ? おタケ先生とみーちゃんさん! 明けまして……」


 と、言いかけたところで、アネやんも2人の背後にいる人に気がついて、フリーズした。


「だっはっは! 気付いたかー。アネやんまで固まってしまったよ。声を出さないであげてね。真來兄(まくるにい)ね、お忍びなんだわ」


 アネやんと2人で口に手を当てて、コクコクと頷いた。ジッとこちらを見ていた紫藤監督が、


「この子たちって……確か映画の後に会った子たちだよな。紗穂の知り合いか? 確かおタケの……」


 監督が話し掛けて下さり、そして、覚えててくれた事に私は舞い上がってしまい、


「はい、そうでございます! おタケ先生の生徒で、みーちゃんさんの後輩でもあり()すッッ!!」


 ぬふぅーッ!! 大事なところで噛んじゃったよ。トホホ。


「プッ……アッハッハ! 面白い子だなー」


 監督が笑ってくれたから、ヨシッ!! とニンマリしていると、

 

「柏木……。俺の時と真來の時と随分、態度があからさまに違うじゃないか。そうか、そうか。そういう態度をするんだな?」


「いや、ちが……。あッ、先生ッッ! 明けましてッ、おめでとうございます。今年もよろしくお願い致します」


「今更かッッ!? ……プッ……ククッ。柏木、新年早々に笑わせてくれるな! 清耀が駄犬って言ってた意味が分かるわ、こりゃ」


「駄犬ッ!? な、なんで先生が知って……。 あッ、監督! 違うんです! あの、これはッ……」


 そう釈明しようとしたが、先生の〝駄犬〟のひと言で、我慢していたみんなが一斉に吹き出して笑い始め、私にとっては居た堪れない空気となったのだった。

 そこに私たちを探していたジィジとオリさんが来て、初めて先生と対面したのだった。監督に情けない姿を見られてしまってチーンとなった私をよそに、アネやんがサクッとジィジとオリさんに紹介してくれたのだった。


「いつもお世話になっています。学校も部活も楽しいようで、家でも時々、話をしてくれまして……」


 オリさんが言うと、おタケ先生は、


「そうですか! 三谷くんは合宿の時も誰よりも率先して動いてくれましたし、クラスでも頼れてまして、一生懸命に頑張ってますよ。柏木くんも三谷くんと同じく一生懸命ですし、ムードメーカーとして和ませてくれています」


 ありがとうッ、おタケ!! テンション上がったわ! うまく言ってくれて感謝、感謝。いやー、ジィジも嬉しそうな顔してる。駄犬って言われなくて良かったわ。

 

 そうして暫くオリさんとジィジは先生と話をし出して、私たちは監督とみーちゃんさんと話をしたのだった。雑談だったけど、過去の多田高のサンデ課題の事や新たな作品作りの構想を練る為に帰省している事などの話を聞けたのだった。新作が出たら、絶対、必ず観に行くッッ!! という旨を熱く監督に誓ったら、また爆笑された。なんでだ??


 するとオリさんが泣いている事に気がついた。アネやんもどうしたのかと、慌てて近くに行って、


「ど、どうしちゃったのよ、オリさん!?」


「あー……歳だねぇ……。話をお聞きしていたらね、なんか嬉しくて、涙が出たのよ。……先生、これからも、どうかよろしくお願いいたします……」


 そうおタケ先生に向き直して、深々と頭を下げたオリさんだった。なんの話でどうして泣いていたのか分からなかったけど、おタケ先生も礼を受けるように頭を下げたのだった。


 それから先生たちとは別れて、参拝に行ったけれど、オリさんは晴れやかな顔をしていて、アネやんも私もそれ以上の話を聞くことが出来なかった。帰ってから、ジィジにも聞いたけれど、教えてくれなかった。ただ、おタケ先生からしっかり習い、学びなさいとだけ言われたのだった。

 

――意味が分からない。デビルおタケから? 何を学ぶんだ??――

 

 その時はそう悪態を心の中で吐いた私だったけれど、この後、その意味を理解する出来事が起こるのだった。

お読み下さり、ありがとうございます┏○))ペコリ

明けましておめでとうございます<(_ _)>

皆さまにとって素敵な一年となりますように⭐︎


また不定期更新となりますが、申し訳ありません。

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