86、スペアと言えてしまうもの
「あの方、どうされるおつもりなんでしょうね、」
ヨネアとカップを片付けながら、リディアが頬に手を当てて悩ましそうに言った。壁に控えていた彼女たちは、聞くとはなしに話を聞いてしまっていた。リルルの話を聞いて、リルル様はやっぱり自分の大切な王女様だと尊敬し忠誠心を再認識していた。
「海軍総司令でしたわよね? …お手討ちでしょうか、」
「そんなことをしたら、子供のおじさんを殺しちゃうのよ? 恨みを買うのではないかしら。」
リルルはそれだけはやめてほしいなと思った。でも、それをしようとしたのは将校たちも同じだった。
「リルル様、犯罪は犯罪ですよ?」
「そうよね…。ちょっとどころか…、かなり後味悪いわね。」
リルルが呟くと、クグロワが悲しそうに言った。
「犯罪を犯した時点で、自分の将来なんて考えていないと思います。その後に何が待っているのかなんて考えていないでしょうから…。」
思案顔なケイティは、溜め息混じりに呟いた。
「その子供にとって最良なのは、自分の母と自分が、父親に認めてもらうことなのでしょう? 彼らもそれを願ったわけですし。その願いを叶えてあげて欲しいですね。」
「願いを叶えたら…、ヴァルターはこの先、結婚は出来ないのではないの?」
「この国では、ですね。遠く東方の国では違うと思いますよ?」
クグロワは遠く東方の国の宮殿で見た沢山の妃たちを思い出しながら言った。
リルルの国では不倫が認められていないので、多くの愛人や子供と一緒に生活をするには、結婚をしないで同居するしかなかった。子供は婚前子扱いとなり、どちらかの戸籍に含まれるだけだった。
「リルル様と、婚約されていなくて私はほっとしました。」
頷いたリディアと顔を見合わせた後、ケイティは心底嬉しそうな顔をする。子供がいる女性が今回は5人見つかったというだけで、ヴァルター殿下にはまだまだ愛人やひそかに生まれたお子様がいらっしゃるだろうと彼女たちは考えていた。そうでなければ、『女遊びをする王族』などと一夫多妻制の国の王族が囁かれるはずはない。
リルル様がもし正妃様になられたとすれば、結婚した時点でいったい何人の愛人と子供の中で生活することになるのかと考えただけでも、侍女の立場として考えても悩ましい。自分なら絶対に避けたい相手だと思えた。
「ああいう面倒な男は、舞台やお芝居で十分です。自分が巻き込まれるとなると話は別ですもの。」
意外に潔癖なケイティらしいなとリルルは思った。
「あ、そうそう、ケイティ。『真夏の夜の夢』や『春姫の始まり』はイヤラシイ意味らしいわよ。教えてもらってびっくりしちゃった。」
「リルル様、誰にどんな風に教えてもらったのです?」
クグロワの目が光った。
「マックスがね、あの香りを嗅ぐとそわそわして触りたくなるって言っていたの。媚薬でも入っているのではないかって。名前の、『真夏の夜の夢』は、夏の恋の一夜限りの情事だったかな、『姫』は秘め事だろうって。」
「んんまああ!」
クグロワが反応し、ヨネアは顔を赤く染めて俯いた。リディアとケイティは絶句して、ぽかんと口を開けている。
「いけません、リルル様。まだ早いです。そんな危険なものを…!」
「私たちはとんでもないものをお勧めしていたのですね!」
「んー、ちょっとびっくりだよね。お城に帰ったら、リディアやクグロワやカロヨンにあげるから使ってね。」
「どうして私たちなんですの? ケイティやヨネアは?」
「独身にあげたって危険でしょう? 結婚している人にあげた方がいいと思うわ?」
「んんまあああ!!」
「…クグロワ、落ち着こうか。体に障るわ。…リルル様、妊婦を刺激してはいけません。…ケイティ、今度からもう少し慎重にお香遊びをしましょうか、」
リディアがてきぱきと話を捌いていくと、ヨネアはくすくすと笑って、「サミラにもいかがですか、」と提案した。
「そうね、サミラはハンスといい感じだものね、それは妙案だわ。あの子、きっかけがないと結婚しなさそうだもの。」
ケイティはくすりと笑った。
「ケイティ、サミラが先にお嫁に行ってもいいの?」
「ええ、私は結婚する気はありませんもの。今の環境が心地よくって…、リルル様にお仕えして、職場に友達が沢山いて、観劇仲間に恵まれて、自由気ままに生きる方が楽しいですもの。」
「そういうものなのね?」
「ええ、生涯独身になっても、サミラの子供や兄の子供がいれば、我が家の血は守られますからね。」
リルルは姉のラウラに子供が出来る将来はあっても、自分がその時生きている保証はないのだと思い、気が重くなる。短命や夭折という、時見の巫女の宿命を思い出す。いくら生きたいと願っても、その時は来てしまうかもしれない。
「サミラの子供はしっかりしてそうよね、」と、うんうんとリディアが頷く。
「ハンスとの子ならなおさらでしょうね、」と、クグロワは納得する。
「リルル様のお子様をお守りさせていただいているでしょうね、」とヨネアはその時は自分も、と思う。
「私、子供なんて…、」
無理かもしれないわ、それまで生きていないかもしれない。そう言いかけたリルルにしーっと指を立てて、ケイティは微笑んだ。
「リルル様。御自分で仰ったでしょう? 未来を見失ってはいけませんよ? 私はリルル様のお子様を胸に抱くことを生きがいに生きてるのですから。私の未来の希望を叶えていただきませんと!」
「私も、私の子供を奉公に出すと決めているのですから。リルル様とお子様とを、親子二代でお仕えするのですから。私の未来も叶えてください。」
クグロワも微笑み、リディアとヨネアも頷いて微笑んだ。
「来年も、グロケット公爵領で、新年の祝祭を見たいですよね。実は私たち、皆で見に行っていたのですよ。リルル様が心配で。あれは…、楽しかったですね!」
「重苦しい厳粛な祝祭とはまた違って、活気があって、楽しかったですもの。また、来年も、そうですね。その先も、見に来たいですね、」
あの広場にいたのかと思うと、リルルは少し恥ずかしくて、少し嬉しくなった。
「一緒に、歌ってくれたの?」
王族が新年の祝祭に参加すること自体稀な上、登場したのはリルルだった。ケイティたちは一生の記念になると思いこっそり見に行った。歌を歌えたのも奇跡のような時間で、ためらうことなく一緒に歌っていた。
「ええ、あんなに大声を出して歌うなんて、初めての経験でしたわ。」
リディアの言葉に小さく頷いて、ヨネアは照れて頰を染めた。
「リルル様と、マクシミリアン様が手をつながれたのは、とても素敵で。うっとりしましたわ。」
ケイティは思い出したのか、うっとりとした表情を浮かべた。
「え。そ、そんなところまで見てたの?」
「当り前です、あの場にいた全員が、胸をときめかせたと思いますよ? 子供から大人まで、皆が。」
いやー恥ずかしー! とリルルが身悶えていると、部屋のノックの音がした。
「ほら、リルル様?」
きっとマックスだわ、と思いながら、リルルは気持ち冷静に「どうぞ、」と声をかけた。
※ ※ ※
「リルル、そろそろ眠らないか?」
ナイトウェア姿で入ってきたマックスを見て、にやにや笑いながら侍女たちは、「リルル様、では明日までお暇を頂きます、」と自主的に部屋を出て行った。
「リルル、どうかしたか?」
「ん? 気のせいよ、何でもないわ?」
顔を赤らめたままリルルが照れながら答えると、「そうか。添い寝という警護で申し訳ないが、一緒に寝ようか、リルル、」と、リルルを抱き上げた。
「警護でも添い寝でも、何もしない方向でお願いします。私、ややこしい関係は苦手なの、」とリルルは照れて頬を染めたまま言った。
「ああ、私もそう思う。」
にやりと笑ったマックスは、オルスの選んだ相手の奔放さを思うと、婚約者が多くいるばかりに清い関係しか持てない自分の状況はましなんだと思えてきて、比較するものがあまりにもひどいと小さな美点も大きく感じるのだなとしみじみと思った。
「マックス、暖かいね、」とリルルが首に腕を回した。
私の父の代わりに射たれていたら、今頃こんな事はできない。無事でいてくれて良かった…!
目尻に浮かんだ涙を隠すように「ああ、生きているからな、」とマックスは笑って、リルルの首筋に顔を埋めた。
※ ※ ※
マックスが隣にいても普通に眠れるようになってしまったわと思いながら、リルルは夢の鍵を使って姉のラウラの部屋を訪れた。
ラウラの部屋の温室は、いろんな花やいろんな鳥や音や空気感が再現されているけれど、どこかとても、清々しい。
現実の温室を最近見て回る機会があったから、つい比較しちゃうんだろうな、とリルルは思った。
「ラウラお姉さま、」
木陰で根元に咲く黄色い花を愛でるラウラを見つけ、リルルは声をかけた。白い裾の長いワンピースを着て髪を結わえたラウラは、流し目でリルルを見て、微笑んだ。
「お姉さま、今日は遊びに来ました。」
「あら、リルルは大丈夫だったの? 夢の場所、グロケット領だったのでしょう?」
「もう、お聞きになられたんですね?」
「夕方、早馬で詳細を知らせる手紙がもたらされたもの。犯人たちは拘束されていると報告があったわ。誰もケガはなかった、ともね。」
「私も、グロケット公爵とマックスと話をして、それなりには聞きました。」
ラウラはリルルの手を取って、心配そうにリルルを見つめた。
「あなたが射られていたら、この国は戦争となったでしょう。もっと自重してほしいわ、リルル。」
「はい…。お母さまは、もうご存知なのですか?」
「リルルが無事と聞いて安心されていたけれど、今度、グロケット公爵とする晩餐会で、きっちり話をした方がよいだろうなと仰っていたわ。」
「きっちり、ですか…。」
今さらりと晩餐会があると言われた気がするわ、今回のお泊りで晩餐会の話はなくなったと思っていたけれど、違ったのかな。
「リルルの行く末を任せるとか、そういう話ではないと思う。グロケット領のラテストは交易港として有名だけれど、軍港として使えるような港ではないの。領内に常駐出来る軍港を整備させよ、という話だと思うわ。」
「何かあったときの要にするために、ですか?」
「ああいった場であなたを守るには、人が少なすぎるとお思いになったそうよ?」
「え? 結構沢山いましたよ、広場に騎士や将校や領官も…、人、いましたよ?」
「そこよ、リルル。警備に領官が出ていることが間違いなの。」
「そういうものなのですね?」
「そうよ。あなたが無事でよかった。こっちは、きちんと調印も済んで、予定通り南方の大陸へ帰っていったわ。今頃皇国を過ぎて、海洋上を航行中ではないかしら?」
「順調に進んでいるのですね?」
「おかげさまで。明日王城から出向かせる者たちにも、ぎりぎりまで時間を稼ぐように言ってあるから、ヴァルター様たちは早くても明後日の出港になると思うわ。当初の予定通りで素晴らしい結果と言えるけれど、ごたごたがあるからいい結果とも言えないわ。不本意だけど、あなたが無事だからいいとしましょう。」
小さく微笑んだリルルを抱きしめて、ラウラは耳元で囁いた。
「土産として連れ去られることのないように、気を付けるのよ、リルル、」
「はい、わかってます、」と、冗談だと思ってリルルはくすりと笑った。
「またね、ラウラお姉さま、」
機嫌よく手を振って部屋を出て行ったリルルを見送って、ラウラは「本当に分かっているのかしら、」と首を傾げた。
※ ※ ※
朝、目が覚めたリルルは、マックスとヴァルターとに挟まれて眠っている自分に驚いた。がばっと起きると、二人の間に正座して向かい合う。
「おはよ? ヴァルター、どうしてここに、寝ているの?」
薄目を開けてリルルを見つめ、ヴァルターは微笑んだ。
「ああ、リルル、起きたのか。私はさっき寝たばかりだ。もう少し寝かせてくれ。」
「マックス、あなたは知っているの?」
起きていたのか、リルルを余裕の笑みを浮かべながら眺めているマックスは、静かに話し始めた。
「明け方、私がいったん部屋に戻った時にお会いしたのだ。今から眠るのだと仰られて、ついてこられてしまった。予定外の事態だ。許可なくこんなことになって、すまなかった。」
「そう。…明け方に、起きたの?」
「早馬の到着した気配がしたからな、習慣で起きてしまった。」
ちーっとも気が付かずぐっすり眠っていたリルルは、「そ、そう」と言うしかなかった。
マックスは起き上がり、胡坐を組んで座った。横になったままのヴァルターはまた寝なおすつもりなのか、起きようともしなかった。また瞳を瞑ってしまった。話だけは聞いているのだろうな、とリルルは思う。
「早馬って何だったの?」
「今日、王都から来る予定だった外交官に不具合が出たから、中つ国の大使と外務次官のピフルール公爵が来ることになった。外務の宰相が出向く程のことではないとの話ではあるけれど、私には十分な大物に感じる。」
「そうね。私もそう思うわ。」
リルルはゼノンの顔を思い浮かべた後、ピフルール公爵の顔を思い出そうとして、あら、ゼノン様とセオドア様の中間みたいな顔の人だわ、と気が付いた。
「ここで眠っていることはあなたの国の人は知っているのかしら?」
リルルが遠く東方の国の言葉で話しかけると、ヴァルターは薄目を開けてリルルを見つめた。
「朝食までのつかの間の睡眠だ。本国に連絡する業務に手間取った。」
「もしかして、牢獄にも行って、…話もしたの?」
「ああ、見知った顔ばかりでうんざりだった。」
暗い瞳で笑ったヴァルターに、リルルは何かしたんじゃないわよね? と思わず尋ねそうになった。
「ヴァルターも一緒に行くの? 朝市。」
「朝市? 」
「ええ、この領地の港町は朝市をやってて、マックスと行こうねって話をして昨日眠ったの。あなたも行く?」
少し考える表情になって、真顔のヴァルターはリルルを見つめた。
「ああいうことがあったばかりなのに、リルルは怖いとは思わないのか?」
「怖いの? どうして?」
「自分が襲われるとは思わないのか?」
「マックスが一緒だもの。それに、」
「それに?」
「私はこの春から中つ国に一人で留学するのよ? 学校に警護の者も連れて行くわけじゃないもの。そんなことを気にしていたら生きていけない気がするわ。」
「ああ、確かにな、」ヴァルターはくすりと笑って、「リルルはだから、あんな時にグロケット公爵を庇って隣に立てたのだな、」と笑った。
「いけなかった? 」
「私なら、息子という替えがいるグロケット公爵が選んだ道だと、一人で立たせただろうな。王女のリルルには替えがいない。」
「あなたも、公爵もだけれど、どうして代わりとか替えなんて言うのかしら。公爵はマックスのお父さんで、この世で一人しかいない人なのよ? マックスだってあなただって、替えなんていないわ。私だけが替えがないなんて言うけれど、みんな同じじゃないのかしら。」
それは違う、と辛うじて意味を聞き取れて理解したマックスは思った。時見の巫女は替えがいない。リルルは時見の巫女だ。いなくなれば、また何十年と巫女がいない時代がやってくる。
「出かけるなら、護衛の騎士を連れて行け、リルル。残党がいるかもしれない。私の国の将校も兵士も、今の段階では誰もが信頼できるものとは言い難い。」
忌々しそうにヴァルターは呟いた。
「あなたはどうするの?」
「リルルたちが帰ってくるまで、自分の部屋で寝なおそう。今日は忙しくなりそうだ。」
ゆっくり起き上がったヴァルターは、リルルの頬に手を当ててチュッとキスをすると、「昼くらいは一緒に取りたいものだな、リルル、」と微笑んだ。
※ ※ ※
グロケット公爵が私服の護衛の騎士を4人も付き添わせてくれた上、心配そうなリディアやヨネアの様子を見て、ケイティが手をあげ、「私もお供します、」と言って同行することになった。
ちゃっかり私服のこげ茶色のニットワンピースに着替えて紺色のコートを着ているケイティは、「これならリルル様のお姉さんぐらいには見えるはずです、」と笑った。
街までの道を、漆黒の髪を結い込み紺色のコートで合わせたリルルとマックスが、しっかり腕を絡ませて手をつないで歩いていると、ケイティは「これが噂の朝市への道…、」と目を輝かせてついて歩いた。
ラテストの港町は、新年初の朝市ということもあってか、どの店も呼び込みの掛け声に「初売りだよ〜!」という声が含まれていてた。
リルルはもしかして私、この朝市って、いつも海鮮やで過ごして終わりなのではないかしら、と気が付いた。今日は少し違うものも食べてみたいな、と思う。
「リルル、海鮮やに行くか?」
「今日は、いけたら、でいいわ。違うものも食べてみたいし。」
「そうか、ならこれはどうだ?」と人混みの中マックスが指さしたのは、市場の入り口付近の屋台で売られている串にささった小さなタコだった。
「ユデダコ?」
「ああ、旨いぞ。この辺は港が大きいから、周辺の港や街から何でも集まるからな。」
リルルは姉のラウラが言っていた軍港の件を思い出した。軍艦が常駐する港をこの近くに作るとなると、大規模な事業だろうなあ…。
ケイティがお会計を済ませると、リルルたちはそれぞれ串を受け取ってタコを食べた。一口で食べられるタコは、王城にいては食べられない珍味だった。
「旨いな、リルル、」とマックスはぺろりと食べてしまった。
もぐもぐと噛みしめながらリルルが頷いていると、「お客さん…、その黒髪…、」と店主がみるみる顔色を変えていく。
「内緒にしてね、今日は買い食いを楽しんでいる最中なの。」
リルルから串のごみを貰いながら、店主と傍にいた奥さんらしき女性は顔を真っ赤にして黙ってしまった。
「そういう訳だ。主人、旨かった。」
マックスの身分にも気が付いたのか、黙ってうんうんと頷いて、「噂通り、若様と王女様が朝市にいらっしゃるのですね、」と店主が言った。
「私たちは隣町の港から、新年の朝市に店を出しに来たのです。昨日は祝祭も見られたし、今年は良いことがあるだろうって、話していたところで…!」
「隣町にも朝市はあるのかしら?」
「小さな港町なので、そんなことはできません。船から荷揚げされる魚介類を捌くので手いっぱいです。」
主人は照れて俯きながら答えた。今年は良い始まりだとしみじみ思う。
「私たちの港は深いので大きな船が入れますが、こっちの、もともとの港の方が人が集まります。」
ふうん、それって軍港にもできるよね、とリルルは勝手なことを思った。
「とても美味しかったわ、ご主人も奥さんも、いい年になるといいわね、」とにっこりと笑うとリルルは手を振って、マックスと次の店へと向かってしまった。
真っ赤な顔で手を振って、屋台の主人と妻はリルルたちを見送った。
「とっても可愛らしいお姫様だったわね、あんた。あの広場の舞台で見た時は大きく見えたのに、ちっちゃいお顔…。」
「王女様ってああいう場でも堂々としていられるから、王女様なんだろうな、」と主人は笑った。今年は良いことがありそうな予感がするな、と期待に胸を膨らませた。
ありがとうございました




