第二話 最強の教授ファボ
コメントとか応援してくれたら盆踊り踊ります。
ルヒカ・マージョの姿になった俺はある街にある酒屋を訪ねる。
多くの旅人や地元民で賑わっている人気の店だ。
俺は扉を開け、奥のカウンターに座る。
「ご注文は?」
「三色チーズ牛丼の特盛りに温玉付き。」
俺が注文を言い終わるとマスターはため息をつき、カウンターに手を置く。
「そちら側の人間かいな。あっちの扉の1番奥だ。1人でいけるよな?」
俺は一度だけ頷き、席から立ち上がる。
いつもこの雰囲気好きなんだよな。みんなが知らないことやってますよ感。なんで秘密の暗号が牛丼なのかはしらねぇけども。
俺が扉を開けると奥に長い廊下が現れる。俺はゆっくりと奥の扉に近づき、扉に手をかける。
「おい、誰だ。」
扉の向こう側から老人の弱々しい声が聞こえてくる。
「神野ヒカルです。開けてください。」
俺が答えると扉の鍵が開く。そうしてようやくご対面だ。
「こんばんは、ゴルノさん。お久しぶり…ですね。また痩せました?」
「あぁ、近頃骨も見えるほどに肉がなくなってきた。断食してから四年目だからな」
情報屋ゴルノ。あらゆる世界の情報を知り尽くしている優れた人。ただ、意地悪なところがあり、いつもヒントしか教えてくれない。
「随分見た目も変えたようだな。」
「神野ヒカルではなく、今ではルヒカで通してますから。
」
「さて、最強を本気で目指すバカがほしい情報とはなんだ?」
ゴルノは背もたれに身を委ね、こちらに訪ねる。
「俺の通っている大学の教授。ファボについてだ。」
「ルヒカくん〜!講義始まっちゃいますよ!」
マルが俺のことを呼ぶ。
大学教授ファボのことについて知ってから五日。俺はあるタイミングを見計らっていた。
教授ファボはとても有名なエリート教授。学生からも慕われるいい教授であるが、あの人に最強が隠されているとみた。
「まさかジンくんが熱で休んじゃうなんて」
「そうだマル。今日の帰りにお見舞いにいく?」
なんてことを話していると、大学の中庭に人だかりが出来ている。
俺たちは人だかりを掻き分け、話題の中心へと入る。そこにはファボと学生が模擬練習をしていた。
「うぉー!すごいですねルヒカくん!」
それは木刀を用いた練習方法であり、学生側は魔法を込めることをオッケー。教授側は魔力操作だけでやり合う必要がある。
模擬とはいえ、魔法を使われたら相当厳しいはずの攻撃をファボは難なくかわす。それどころか、魔力操作だけで相手の《光の加護》を突き破ってしまった。
「「「うぉーーーー!!!すげーーー!!!」」」
試合が終わり、あたり一面で拍手が起きる。教授は倒れ込んだ学生の手を取り、立ち上がらせるところまで完璧だ。
こいつがファボか…よし、一回交えてみるか。
「ファボ教授、私ともやりませんか?模擬試合。」
あの有様を見た後に申し込む人など到底おらず、俺の申し出に周囲がわく。
「ル、ルヒカくん!大丈夫ですか!?」
「大丈夫も何も、相手は教授なんだし負けても当たり前。勝ってしまって魔法があるから当たり前だろ?」
俺は減るものなんてないと言い残し、ファボ教授の前に木刀を持ち立つ。
まず、互いに構えて、間合いを詰め合う。流石に観衆の前なので魔王の力を出すことは出来ないが、抑えながら戦うことぐらいできる。
俺は木刀に闇魔法を含み、相手の胴体を狙う。木刀でガードされるが、そこは闇属性。防御した木刀に闇が侵食し、木刀に魔力が込めれなくなる。これだけで俺のガン有利だ。
「なかなかに…やり手のようですね。」
俺はファボ教授に猛攻撃を仕掛け、一気に畳み掛ける。
カン、カン、カンっと音が鳴り響く。俺はトドメの一撃を叩き込むため、木刀を大きく振り上げる。その瞬間、ファボの木刀が俺の胴体に直撃。俺は体勢を崩し、木刀を落とす。
「闇魔法で魔力操作を封じたところは良かったですね。ただ、あなたの適性は闇ではないはずだ。かっこいいとかの憧れは捨てて、適正属性を使うべきだ。」
ファボ教授が俺に手を差し出しながら喋る。
俺はその言葉が頭に来た。
俺は最強を目指す以前に魔王だ。闇魔法を使わない魔王などどこにいる?
俺は手を払い、木刀を持つ。
「信念を捻じ曲げるのはダメだ。ただ、自分の理論のために負けるのは論外だ。」
俺は木刀に全力で光魔法を込める。防御や加護向きの光魔法。あまりにも魔王に合っていない。
俺の光魔法の出力に周りの学生が歓声を上げる。
エクスカリバーだけで上り詰めた訳じゃねぇんだわ!!!
俺は光魔法の技を使う。
【閃光】
俺は観衆の前から姿を消す。俺のスピードに追って来れているのは教授ただ1人であった。
やはりだ!ファボ教授、あなたは最強を目指す上で必要な人!
俺は笑いながら木刀を叩きつける。が、これもまた防がれていた。
「まだまだ!!!」
俺が地面を踏み込んだその時。時計台からチャイムが鳴る。
「さぁ、講義が始まりますよ!皆さん急ぎなさい!!!!!!!」
ファボ教授が手を叩きながら観衆を解散させる。その後ファボは俺の方を向き、口を開いた。
「名はなんというんですか。」
「ルヒカ・マージョ。あんたを超えて最強になる男だぜ。」
ファボは笑いながら「そうですか」とだけ言い残しその場を立ち去る。
なんだったんだあいつ。
俺もマルは急いで講義へと向かった。
「ルヒカ・マージョと接触に達成。次の段階へと進みます。」
誰もいない中庭で1人ファボは呟いた。
神野ヒカルは暇していた。夜になると魔王城に戻るが、勇者の訪問なんて滅多にない。こちらから出向きたいぐらいだが、魔王直々は流石にリスクがあるし、ダサい。
「はぁ〜、暇だな〜。」
ローズとカルラは外出中。ナフスは勝手になんか王国の調査?みたいなのに向かった。よく分かってないが。
「よし、鍛錬するか!」
俺は魔王城を飛び出し、ある洞穴に向かう。
そこで息を一杯に吸い込み、大声で叫ぶ。
「アアアアアァァァァア!!!!!!!」
俺が叫んで数秒経つと奥から機械音が聞こえてくる。
「きたきたきた!古代兵器!」
全身に入り組まれたネジや歯車が剥き出しになっている。煙を出しながら動いており、その高さは5メートルを超えている。
俺はエクスカリバーを使わずにこの怪物を倒すことを決めた。
【闇檻】
俺が唱えると周りから大きな鎖が現れ、古代兵器の体を縛り付ける。
「もう動けないぜ?」
俺は次に手を前にし、魔法を唱える。
【闇星】
俺は古代兵器に全力の魔法をぶつける。古代兵器の胴体に大きな穴が開くが、まだ動き続ける。
鎖を破った古代兵器はこちらに腕を振り上げ殴りかかる。
「ダメダメ、遅すぎる。」
俺は超高速で真上に飛び上がり、両手をだす。
【超高火力破壊抹殺光線!!!】
俺が叫ぶと同時に山ごと消し炭になる。
「一つダメなところを挙げるなら…ダサいところかな。」
俺はそのまま魔王城へと帰った。




