鉱山の粋
鉱山の粋
「久しぶりに盗みか・・・なんだか、武者震いだ」
「崩れ盗賊に、成功してる本物のような事が、体に起きてるの・・・?なんだか、無視したくなってくるよ」
「ところで、この屋敷は、何の店?立派だなあ。武家じゃないよな。武家だったらもう・・・生け捕りにされているね。おっかあとも、ここで会うのが最後・・・」
「せいせいするよ。あんた、面倒だからねえ。とわの別れ・・・憧れちゃうね」
「おまえは、乙女か?」
「三十路半ば超えた。女が乙女ぶっちゃいけないのかい?五十をとうに過ぎても、あたしは、おひめさまだからねえ・・・覚えてておくれよ・・・」
「おっかあ、しらふ?」
「昨日、寝る前に一升半呑んだかな・・・」
「それで・・・」
「あんた。あたしが飲めないの知ってるでしょ」
「夜盗に入った良いが金倉らしいとこに・・・小さい子供ばかりだ・・・」
「いいから、早く始めるよ」
「始めようにも・・・ここはなんもねえ?」
「あんたたち、ここの店の主人の部屋はどこ?」
「奥」
「教えもらっていいのかね?」
「あたしたちは大丈夫」
「大丈夫なわりに、顔が青いよ」
「ここの主人は人さらいか・・・」
「やっかいな所に、入っちまったね」
「どこから来たの?みんなは友達?」
「そんなこと、いう訳ないの・・・こうゆうのやる、やからはねえ・・・そういうのは言わないようしてあるの・・・わたしもそうだった・・・」
「おまえは・・・」
「ずいぶん前の話さ。わたしがひとにさらわれて過ごしているのに。町で勘づいた。例のおかみさんは、変なオヤジの隙をついて、無理やり手をひいて・・・富くじ興業で有名なお寺境内の人がうじゃうじゃしてる中で・・・うちに来るって聞いて・・・私は、はいと答えて。おかみさんのとこに・・・。一応の安住するところに行けた訳さ・・・。
このことは、あんたには言うなと言われててね。
あんたとこは、家柄がわりとしっかりしてるからね・・・さあ、おかみさんのところに帰れと言いな。
こんなところで、うち開けてごめんね
・・・どうとでもしな・・・言うことときくよ」
「帰れ・・・。なんて俺がいう訳ないだろう」
「そういうと思ったよ」
「あああは」鉱山は泣いている
「しかっり。あんた、この子たちどうすんの?」
「とりあえず。おかみさんに頼む」
「頼む前にどうやって逃がすの」
「まあ、ボヤだな」
「捕り物になるよ」
「そこまでのことはしないで、十分だろ・・・こんな、後ろ暗いことをやってんだ。ぼやでも大騒ぎにはできまい・・・」
「それで、いいのね?」
「おかみさんに、また、借りを作るなあ」
「嫌なのかい?」
「うーん。そんな事はない。さあボヤだ。おまえたち逃げなさい。それ、地図だ。ばってんのところに、着いたら、店のおかみさん呼んで。鉱山が私たちのこと、ひと時たのんだと言っていたと。伝えるんだ。わかったな、一番大きなおねえちゃん。おちびさんも・・・だなっ」
「あんた」あんたは学者なんかならなくていいよ
「なに?」
おっかあと
走りながら、じわり、時代の厳しさを、内にも外にも感じる鉱山であった




