鉱山 縄をなう
鉱山 縄をなう
「夜が更けてきたな」
「今日はごはん食べられて、よかっよ」
「明日はどうかな?」
「一応、畑あるんだから。なんとかなるさ」
「や助はどうだ?」
「どうって、どうってこともないよ・・・」
「なんか・・・変なことは無いか?」
「なんだか怪しい聞き方だね。あんた、隠し事してるね?」
「いや・・・。や助が無事ならそれでいいってこと」
「そんなことより、次の仕事はどこ?」
「何にも決めてないよ?」
「あたしが考えるよ?」
「おれは基本的に考えはしないがな?」
「いつも考え無しで、占いみたいに決めてるの?」
「そうさ」
「そうさって・・・あんた。学者学者言うくせに、綿密な計画はない・・・てこと」
「それが俺の仕事の流儀さ?」
「嫁を計画なしに、盗人やらしたの?」
「うん・・・いいかと思って・・・」
「あんた。それは、真っ当な商人がやることだよ。うちは一応犯罪行為してるんだ次からは。もっと、気合を入れた。襲い方にするよ・・・」
「ああ・・・眠いな」
「夜盗が眠くちゃ仕方ない・・・」おっかあ。赤ら顔で、大きく笑う。
「や助が起きるぞ」
「当分。起きやしない」
「そうか・・・夜は縄でもなうか・・・」
「貧乏くさいよ・・・それ売るの?」
「そんな事したらいけねえ」
「何でだい?」
「俺は精神の修養だと思ってる」
「面倒な内職にしか思えない」
「孟子だって言ってるぞ」
「本当に?」
「・・・たぶん」
「ところで、モウシさんって・・・だれ?」
「口にした俺が悪かった」
「今後も気を付けるんだよ。わかったかい」
「おれが・・・」「・・・すまん」
「煙たいよ。そういう態度って。あたしはもう寝るよ」
「ああ。なあ、おっかあ、俺に女がいたらどうする・・・?」
「それは、なんか私のためになる事なの?」
「うーん。そんなことは無い」
「あんた学者のくせに、近視眼的なモノの見方だね。もう家には帰って来なくていいよ」
「そうだよな。ときどき考えるんだ。変な服を着た若者が言った言葉を・・・あんたらが、修しようとする。学問には女と男に対する考察が抜け落ちてる。性差がある男と女、を本当の平等に持っていく気はないのかい。あんたらが言う平和って、男の価値観の平和だよな、結局は遊郭があって、見世物小屋があって、夜鷹がいて・・・人権ふきらしだよな。それらを是認していくのは、何の学問なんだ何の哲学なんだ?と。・・・なあ、おっかあ。モウシ無視したのはそういう事でないのかい?学者認められる、学者って・・・違うのかな・・・」
「もう。ねろ」
鉱山 簡単には寝つけぬ夜だった




