困惑の現在
想定外の邪魔が入ったかと思えば…まさか仲間同士で潰し合ってくれるとは…
女の持つ水晶から放たれる光は壁にとある場所の戦闘を投影する
杖を持った男と魔女服の女の激戦だった
勇者は倒壊に巻き込まれ、魔法使いっぽいのは敗北。気に入らない現影使いに似た魔法を使う女もどこかに落ちて、あのよく分からない奴は何故か仲間割れ
結果的に勇者は行方不明、魔法使いと影は死亡。意味不明な奴もアイツを相手にしたんでは再起不能だろう
これで勇者パーティは全滅だ
落ちこぼれやふざけた力を持った奴しか居なかったけれども、だからこそ厄介極まりなかった
なんてったってどんな攻撃をしてくるのか分からないのだから。先程だって唐突に爆破魔法を使用しだしたり…
とにかく戦術が一切読めないのならば多少強引に行くのが最も安全な策だろう
水晶の景色が代わり、特注のゴーレムによって破壊される町が映る
流石にアイツ一人では抑え込むことは不可能だろうしね
「オマエも観てますか?アジナ」
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光が目を塞ぐと同時に声が響いた
『ねえ貴方、本当にそれでいいの?』
すぐに振り返る。そして気がついた
いつの間にか、出口直前だった洞窟ではなく見知らぬ部屋に立っていることに
そこは見覚えのある豪華な部屋。しかし、そこは焼けたり崩れたり…至るところがボロボロになっていた
そこに立っているのは緑髪の幼い少女。見たこともない不思議な白い服を着ている
「貴方は一体…」
同じく巻き込まれたのだろうか?と近寄ろうとした私。しかし、そんな私の足に何かがぶつかる
「…?………は?」
目線を下げるとそこに落ちていたのは赤い髪を更に赤い液体で浸した少女の生首
それを見た瞬間、何故今まで気がつけなかったのかまるで私を守るように朽ちる三体の死体が転がっているのに気がついた
『さあ、どうする?この状況♪』
その愉快そうな声色。そしてそこから感じる得体の知れない覇気から感じ取れた
皆を殺したのはコイツだと
真っ白になった思考に満ちていた吐き気は一瞬で吹き飛び、目の前が真っ赤になる
いつの間にか握っていた剣に力が籠るのと、目の前の少女を無数の木々が覆うのは同時だった
『それっ』
少女の掛け声と共に先端を尖らせた3本の木々が私に襲い掛かる
「ッ!」
1本は身を避けて回避。2本目は剣の面で防ぐ。しかし、3本目があっさりと私の心臓を貫いた
「あっ…」
『あっ…じゃないよ。痛くないでしょ?』
少女の言う通り、枝は心臓を貫いているにも関わらず痛みはなかった
『人の話は最後まで聴くもんだよ?お姫様』
『あっ!それとも怖がらせちゃったかな?』
スッと枝が引き抜かれると、浮いていた体がボトリと落ちる
「…敵じゃないんですか?」
『味方よ味方』
少女は笑うが、その得体の知れない覇気は消えていなかった
状況を理解しきれない私に少女はそのまま続ける
『ここは、今最も起こり得る未来の世界…つまり貴方達の末路よ』
「…は?」
『怖いて。そんなに凄まないでよ…いたいけな少女に』
「冗談でも言って良いことと悪いことがあります…!第一、そんなこと出来るわけ無いでしょう!!」
『出来るよ?だって実際さっきまで過去にいってたじゃん』
「過去…?」
『このダンジョンは未来も過去も、あらゆる時間を見ることの出来るダンジョン。まあ作り手が性格わっるいから過去のトラウマほじくり返すようなクソダンジョンになってるけど』
「……いや、そんな筈は無いです!だとしたらナナの居ない世界は何ですか!?私にあんな過去はありません!」
『言ったでしょ?ありとあらゆる時間ってIF、パラレルワールド、並行世界。つまり、あり得たかも知れない世界』
『貴方がはじめから暴力を持たなかった世界線の話よ』
「はぁ?」
拉致が明かない…。さっきから何が言いたいんだこの人は…
…いや?
「…何でアンタがそんなこと知ってるんですか…?」
『?…あー!暴力のことね』
「全部…見ていたんですか?」
『まっさかぁ!そんな覗きみたいなはしたない真似しませんよぉ』
『正々堂々。アナタが幼い頃から全てを把握しているのよ、神は』
瞬間彼女の纏う覇気が一瞬壮大にそしてより濃くなる。まるで押し潰されるかのように私は膝をついた
『ボクから一つ試練をあげましょう』
少女は最早覇気を隠そうともせず、ニヤリと笑うと木の枝を1本手繰り寄せる
そして、木の枝から雫が垂れるとたった一滴であった筈なのにそれは水溜まりとなり黒く染まる
その水はやがて一人の男を形作る
『さあ、どうする?この状況』
そこに立っていたのは紛れもなく、現影使いだった




