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始まった災厄

戦闘です!

私はリノア…。前に立つ人影に言葉を失う。


だってそれは…つい先日飛行船を墜落させたばかりのアジナだったのだから


「リノア………チッ!!本当に使えねえなアイツら」


あちらも私に気づいたのか大きな舌打ちをした後、ここには居ない誰かに悪態を付く


「アイツらって魔王軍のこと…?」


「だからどうした?」


ニヤリと笑って私に一言そう返す


どうやら本当に人間を裏切り、魔王軍に着いたようだ


「飛行船に乗ってた皆は…?」


「全員捕まえたさ。てめえら以外はな」


「…そんなの絶対に許されないよ?」


「いや?許されるさ!!!なんてったって俺は偉大なる幹部様なんだからな!!」


「幹部…?」


「そうさ魔王軍幹部!魔人者アジナ様だ!!」


そういってアジナは戦いに必要のない豪華な装飾がこれでもかと言うほど付けられた綺麗な剣を構える


幼い頃からずっと同じ…人を馬鹿にする為の剣だ



杖を構える。武器…持ってきといて良かったな


聞きたいことはぶちのめしてから聞けば良い


ミリノちゃんの前で言ったら怒るだろうけど




―――――――――――――――――――――――――――


「あら、アジナ様…早速勇者の仲間と鉢合わせた見たいね…」


「黄色か黒色の方ならちょっと危ないけど……あー赤色ねこれなら大丈夫!」


戦いから目を離し前をむく。


どうやら私の作ったオーバーフィールド阻害装置はうまく機能してるようで…。


これなら魔物をねじ込むことくらいはできるだろう。


「当然出し惜しみはしないわ」


狙いは勇者達がまとまっている宿泊施設。選択した魔物は『ジャイアントゴーレム』。


ダンジョン主の中でも飛びっきりの奴だ。


「さようなら、勇者様」


目映い光が満ちる



―――――――――――――――――――――――――――


「ぐっ!?」


あり得ない。アジナの剣があり得ないほど重い


現影使いとの戦いを経て、特別な魔法も覚えて強くなった筈なのに…昔と同じ、それ以上にアジナとの実力差を感じる


少なくとも船の時よりも遥かに強い…!


「このっ!!」


仕方なく、ミリノちゃんと戦った時みたく力を強化してアジナを振り払う


「これで全力かぁ!?」


しかし、思い切り振り払ったにも関わらず、次の瞬間にはまた近づき私に剣を振りかざす


「くっ!?」


何か…何か種がある筈。短期間でここまで強くなるなんて普通に考えて不可能だ


しかし、思考に気を配る暇などない程に攻撃の威力もスピードも強くなっていく


攻撃を受け止める度に鳴り響く金属音の中私は自分なりに策を考える。


…だったら!!


次は足を強化する。そしてアジナを振り払った瞬間、私は大きく後ろに下がる


我ながら凄い速さで後ろに移動するとアジナはそのまま私が居た位置に剣を空振り、体制を崩す


「おわっ!?」


そこを見逃さず、アジナの後ろに回った私は、背中に向けて杖を思い切り横にふる。


「なっ―――――!?」


やはりだ。凄い速度に力だけど、アジナの力量がその力を使いこなせていない


力任せにただ攻撃を振るっているだけで体を操作できていないのだ


これも急激に能力を向上させた証拠だ




「――――――てめえ」


「嘘」


凄い力で殴った筈なのに、倒れたアジナは顔に青筋を浮かべてすぐに立ち上がる


いやな予感がしてすぐに後ろに走る


その瞬間、一秒前まで私が立っていた地面が抉れ消し飛んでいた。



真ん中に突き刺さっていたのはアジナの剣。強く振りすぎて着いていた装飾がボロボロと落ちていく。


明らかに人間を越えた力に戦慄する



あんなの直撃したら一発で死んじゃう…!



攻撃を受け止めることを止め、回避に専念する。


「ちょこまかと逃げんじゃねえ!!!!!」


「ッ!?」


力、スピード両方がさっきよりも上がっている。


足の速さを強化した筈なのに、それに追い付かれかねない程度には速度が上がっていた。


攻撃が見えない。そう判断した私はすぐに目を強化して視力を底上げする


「っ!」


って何も変わらない!?



視覚というのは目だけでなく脳も使用する。故に目のみを強化したところで、格段な視力の上昇には繋がらなかったのだ。


最もそれを知る予知もないリノアは視力は上げられないもの。と考えてより素早さを上げる


「オラァッ!」


振るわれた剣をするりと避ける。その剣の起こした衝撃波のみでリノアの背後の木を破壊するほどの火力があったが、それを気にせず、そのスピードのままアジナにドロップキックを放つ


単純な力ではなく圧倒的加速によって作られた威力は相当なものであるにも関わらず、アジナはまるで子供に蹴られただけの巨木のようにびくともしない


「ッ!」


効かないと分かるとすぐに距離を取り、再び攻撃を回避する


すると再びアジナは剣を投げつけ、地面に小規模のクレーターを作り出すも、クレーターができた頃にはリノアはそこにおらず、自身の後頭部に衝撃が走る


互いに自分自身ですらついていけないような速度にそれぞれ怨みと感のみで使いこなしていく


攻撃の効かないアジナと攻撃の当たらないリノア。勝負は互いの体力に依存する泥沼となっていたが…



先に限界が来たのはリノアの方だった


もっと速く…!


そう考え何度目かもわからない強化を足に施した瞬間だった


「ッ!?!?」


リノアの足に激痛が走る


能力の限界だ。短期間で度重なる強化に体が耐えきれなかったのだ


激痛にその場に崩れ落ちるリノア


「ハハハ!もう終わりかよ…」


「っ!」


首を捕まれるとそのまま持ち上げられる。


「あじ…な…どうやって…こんな…強」


「だから言ってるだろ?幹部になったからさ」


その言葉にリノアは違和感を覚える。確かにアジナは強いがそれが現影使いほどであったかを考えるとイマイチ分からないのだ


そんな言葉が透けて見えたのかアジナは不機嫌そうに


「テメエ…まだ俺を舐めてんのか…」


そう言いながら、リノアをオーバーフィールドの方角に向ける


「がっ…!?」


この地形はオーバーフィールドを上から見下ろすようになっている…ようはかなりの高所だ。


焦りで顔を歪めるリノアにアジナはニヤリと笑って、放り捨てる。



身を包む浮遊感とダメージで薄れる意識の中リノアは思う。


せめて皆にこの事を伝えたい…




そんなリノアの目に最後に飛び込んできたのは、巨大なゴーレムに襲われて崩れる宿泊施設だった。

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