飛翔!海の上!!
やあ!私はナナ!唐突に飛行船は墜落!!脱出するも陸地が見つからず絶体絶命!しかし、ここでやたら便利なカゲリの影魔法が真価を見せる!!!
「よし!!」
下から響く衝撃からカゲリが影魔法を成功させたのだと察する。
「成功したみたいですね…」
「なんとかね」
「何出したの?」
「普通のドラゴンよ」
「いやドラゴンは普通じゃないと思いますけど…」
先程のような機械的な安定感の無さではなく、生物的な緩やかな安定感の無さに少し心が落ち着いてくる。
「幸い今は夜みたいだけど…日に照らされたら一発で消えるから夜明け前には陸地を探したいわね」
「そういえばそんな弱点あったな」
「でもわりと光の前で出してない?」
「鞭とかの小物ならね。こんな大きいドラゴンってなると流石に維持が出来ないのよ」
「不思議な魔法ですね…」
「まあ、とりあえず外出てみるか。もしかしたら案外近くに陸地があるかもしれない」
「そうですね」
脱出ポッドを開き外に出ると、目に飛び込んできたのは全面の海と美しい夜空だった。
「驚くほど何もありませんね」
「しかも暗くて見えないよ…」
「光るバナナもコイツの影消えるから使えないな…」
「もしかして依然ピンチなの変わってないのでは…?」
「………仕方ないわね。こうなったら全速力でカトイまで飛ぶしかないわね…位置とか分かる?」
「いや、分かりますけどここから結構距離ありますよ?」
「安心しなさい。ドラゴンは飛行船なんかよりずっと早いわ!」
「いや振り落とされるだろそれ!?」
「影が消えて水に落ちるよりはマシでしょ?」
「同じだよ!」
「あ!」
どのみちアウトか…というところでリノアが声をあげる
「どうした?」
「ポッドに入ってドラゴンに掴んでもらう形にすれば安全なんじゃないかな?」
「なるほど…それなら振り落とされる心配もありませんね」
「それは…確かに」
リノアの思い付いたという策に賛成する
「決まりね、どれだけ時間があるかも分からないし急ぐわよ」
「分かりました!」
作戦が決まると全員でポッドに入る
「カゲリは!?」
「私はドラゴンの操作があるから…影魔法でなんとか耐えるわ」
「気をつけてくださいね!」
「分かってる」
そう聞いてポッドの扉を閉める。そしてすぐに浮遊感の後、ガッシリと掴まれたように動きが止まる。
「アイツ一回落としただろ!?」
「まあ一度背中から落とさないと掴めませんしね…」
「びっくりしたぁ…」
そうして数回の振動の後ポッドはとてつもない速度で前へ進んでいくのだった。
――――――――――――
「居ない…居ない…居ない!居ない!」
脱出ポッドを全て開いても出てくるのは民間人、民間人、民間人。
憎き奴等の顔は出てこなかった。
「お母さん…!」
「静かに…!」
何処かで聞いた煩わしい子供の泣き声が響く。
「あー!!うるせえ!!コイツら牢屋にでも入れとけ!!」
「分かりました!!」
命令すると魔物達はすぐに人々を連れていく。去り際更に大きくなる泣き声に盛大に顔をしかめながら…
「…待て、お前は残れ」
「はい!」
呼び止めたのは先程、飛行船の前で怒鳴り付けた魔物だ。
男は魔物に近づくと力一杯殴り付ける。
「ぐぅ!?」
「てめえがおせえからミリノに逃げられたじゃねえかよ…!」
「申し訳…ございませ…」
「謝ってすむか?てめえも牢屋だ」
「まっ!?それだけは勘弁を!」
「おい!コイツも連れてけ!」
男が声をあげると人々を連れていった魔物の1人が戻ってくる
「了解しました」
「まって!待ってください!!アジナ様!!」
「くどい」
扉が閉まり、悲鳴が聞こえなくなると沈黙していた女が口を開く
「流石ですアジナ様。もう既に魔物達を統率する幹部としての片鱗を発揮しておりますね」
「当然だろ?俺は誰よりも…魔王よりも賢く強いからな」
「…流石ですね!アジナ様」
高らかに笑うと男は頭をおさえ始める
「っ…痛」
「どうなさいましたか?」
「…少し頭が痛い、俺は休む」
「それは大変です!」
「魔物達にはカトイに向かえと通告してくれ」
「カトイ…ですか?」
「そうだ…どうせ脱出ポッドじゃカトイには辿りつけねえ。ミリノが来る前に滅ぼしてやろうと思ってな」
「最重要な場所を守れなかった勇者なんておもしれえだろ?」
笑いながら男が話す
「なるほど…ですが私達は…」
「あぁ…安心しろ。着いたら俺がオーバーフィールドをぶっ壊してやるから」
「心強いお言葉…!了解です」
「じゃあな」
そういうと男も部屋から出ていくのだった。




