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侵入!魔王軍!!

やあ!私はナナ!想像以上にヤバイミリノの幼なじみ、アジナを牢屋にぶちこんだ私達は、気を取り直して飛行船探索を再開していた。


「にしても、なんなのアレ!!!信じられない!!!」


訂正、気を取り直せてない奴もいた


「まあまあ、リノアちゃん」


「忘れろあんなの」


「ぐぬぬぬ」


野犬か


まあ、気を取り直すも糞も確かにあんまり面白そうな物はないな…いや飛行船なんだから当たり前だが


「とりあえず部屋に戻るか」


「そうですね…」


「むぅー!!!」






「やあカゲリ!解析はじゅん………」


扉を開ければ赤と金の豪華な内装








……はぐちゃぐちゃになり家具は壊滅、床は割れ、壁に叩きつけられる形で顔面蒼白のカゲリ、私の足元に弓が転がっていた。


「えっと…その何て言うか…手袋魔術が一部失敗してたみたいで…途中で消えちゃって……多分ペナルティで風魔法が発動したものと……でも普段失敗することはないから…多分弓の方がなにかしら…」


ワタワタとカゲリが言い訳を始める。がそんなもん耳には入らない。


おい、これ…


「………これって高くつく?」


「すっっっごく」


青ざめたミリノの返答。


「勇者でも罰金ってあんの?」


「当たり前です」


「一応聞くけどここ爆発物あり?」


「んなわけないです。」


「これって不味い?」


「怒った時の父は魔王より怖いで有名です」


「………」


「ちょ!!!!どうむぐっ!?」


「オラァッ!」


大きな声で叫ぼうとしたリノアの口をミリノが塞ぎ、私は急いでドアを閉める。


「ずらかるぞ皆!!」


「出来るわけないじゃないですか!?ここ上空ですよ!?」


「じゃあこれ見せたら!?」


「大問題ですよ!!!勇者御一行飛行船を爆撃!!なんて報告が飛び回って私達は終わりです!!」


「そ、そうよ!直せばいいのよ!ナナ!家具にバナナ食べさせて!」


「出来るか!!!!」


「むごごご!むご!」


「くそ!どうする…この状…」


焦る私達に追い討ちをかける様に飛行船が大きく揺れる。


「うわっ!」


「きゃっ!!」


「何!?」


「この焦ってる時に!!」


耳を立てると外からは慌ただしい足音と悲鳴が聞こえてくる。


こりゃ何か洒落にならない事態が起きたんじゃないのか…?


「これは後にして、一度外を見に行きましょう!」


「ああ!!」




外に出ると予想通り人々が逃げまとっていた。やはり緊急事態と見ていいらしい。

状況に戸惑っていると、先程アジナを連れていった男が走ってくる。


「姫様!!」


「どうしたんですか、これは!?」


「魔王軍です!あの悪ガキが魔王軍を呼んだんです!」


「アジナが!?」


「奴は魔物に乗って逃走!!船内は魔物が徘徊し、外装もボロボロ!!墜落も時間の問題です!!!」


「何だと!?」


あの男…まさか魔王軍と繋がっていたとは…!!


「荷物の支度がすんでいるのでしたらあちらの緊急脱出用の乗り物に!!」


「貴方達は!?」


「姫様達でお客様は最後ですので今から離脱します!!」


「ご案内しますので此方へ!!」






連れてこられた部屋には無数の四角い箱が置いてあった。


何でも風魔法を応用してどーちゃらこーちゃらーで飛べるらしい。


「4人乗りですので皆様で!では私も離脱しますので地上で会いましょう!!」


そういうと男はそそくさと箱に乗り、飛行船から離脱していった。


恐らく怖かったのだろう。本当は真っ先に逃げたかっただろうに、死の恐怖に怯えながらも私達を置いていかずに迎えに来てくれたのは本当に有難い。


それはそれとして姫より先に逃げるのはどうなんだとは思うが……


「私達も行きましょう!」


「それなりに広いな…」


「四人じゃ流石にぎゅうぎゅうだけどね…」


「ここの魔方陣を触れば…きゃあ!?」


「うわあっ!!」


ミリノが魔方陣に触れた瞬間箱の内部は輝きだし、下へ高速で落下し始める。


ちなみに安全ベルトがないので、私達は天井に叩きつけられた。


「頭をおさえて!!」


「もうおそい!!!!」


「大丈夫!壁とか床にクッションつけられてるよ!!」


「でも痛いですね!!」


「だぁぁぁ!安全ベルトないのかこれ!?」


「なにそれ!!!」


「あぁぁぁぁ!!!文化すらなかった!!!!」


今度絶対国王に話して国中のコレに整備して貰おう!!いやそもそもこんなんもう使いたくねえけど!!


「そろそろ飛びますよ!」


ミリノがそう言うと、魔法が発動したのかぐっと!箱が浮き始める。


「うぉぉぉぉ!!Gが!Gが凄い!!」


「吐きそう」


「やったらこっから捨てます」


「ミリノちゃん!?」


――――――


「はぁ…やっと安定したな…」


安定したとはいえ、流石に先程の飛行船程の安定力はなく時折ぐらんぐらん揺れる。


「これに乗ってカトイまで行くのか?」


「いえ、流石に無理ですね…。まずはそこら辺の離島にでも着地して救助を待ちましょう。」


「ちょっとワクワクするね!!」


しねえよ。ガチサバイバルじゃねえか


「ってか、そこら辺の離島も糞もここ全面真っ白で外の状況わかんねえじゃねえか」


「それは箱が自動的に行ってくれますよ。着地できる場所を探して、そこに連れていく。そこまでが機能ですから」


「おー!すげえ高性能!」


「けど内蔵魔力が切れるまでに離島が見つかんなければその場に落ちます」


「運ゲーじゃねえか」


「大丈夫!ここにこの箱水に浮くって書いてあるよ!!」


「大丈夫じゃねえだろ。落下の衝撃で死ぬだろ」


「それは普通の船とかで使った時用の機能ですね…依然私達大ピンチです…」


「あっ……。どうしよう皆…!!」


どうやら依然状況は変わっていないらしい。


どうするか…この状況…。



――――――――――――――――


崩れ落ちる飛行船を眺める二人の男女


未だ信じられない…という様子の男に女が微笑む


「素晴らしいです、アジナ様。」


「これ…俺が…?」


「はい。全てアジナ様の力ですよ」


「ははは…そうか…俺が…」


男が感じているのはある種の爽快感か…それとも罪悪感か。


未だ声を震わせる男に女は言葉を紡ぎ続ける。


「人間達はとても見る目が無い…。こんなにもお強いアジナ様を邪険に扱うなんて…」


「アジナ様こそ世界に名を轟かす英雄と言うべき存在であるというのに…」


「そう…そうだ!アイツらは見る目がない!!」


「その通りです!これもアジナ様を邪険に扱った罰なのです!」


「そうだ…そうだそうだ!!」


「さあ、アジナ様!!次の罰を下しに行きましょう」


「あぁ…!俺をあんな目に遭わせたこと後悔させてやる………!」


いつの間にか男の声に震えはなくなり、口調に強さが戻る。


丁度その辺りで1人の魔物が扉を開く


「失礼します!」


「何のようです?」


「飛行船からの脱出ポッド、全て回収完了しました」


「早いな…」


男の口から出たのは素直な驚き。しかし女はそれを良しとしなかった。


「いけませんよアジナ様。貴方に仕えるのであればこれでは遅いくらいです」


その一言だけで男の顔が変わる。


「……確かに。俺の命令をこなしたにしちゃおせえ…おせえんだよ!!」


「っ!申し訳ございません!!」


「…次はねえぞ。でてけ」


「はい!失礼しました!」


怯えた様子の魔物は、男に睨み付けられながらそそくさと部屋を出てしまう。


「罰則を与えないなんて…なんとお優しい!!やはり素晴らしい御方ですね」


「そうだ!俺は素晴らしい!!俺は偉いんだ!!!」


「フフフ…ポッドの中には勇者の連中もいるんでじゃないですか?」


「………そうだったな!たっぷり痛め付けてやろう」


「そうしましょう!!」


「俺を貶めた罰だ…ははは!!!」


たった数分の会話で男の態度はみるみる内に変わってしまったのだ。



崩れる途中の飛行船から目を反らし、男と女は扉の向こうへと歩いていく。



その直後、最後の脱出ポッドが遅れて飛び立ったのだった。



―――――――――――――――



依然として島が見つからず既に数時間経過した脱出船。少しずつ私達は焦り始める………。


「ミリノちゃん!?全然着陸しないよ!?」


「おかしいですね…!他の方々は既に着陸済みみたいなのに…」


手元の板…コックピットのようなものか?を見ながらミリノが言う。


「燃料ももうアウトに近いですね…」


「あーもう!どうにかしないと!!」


「慌てるなリノア…まだなんとか…」


「そうよ…多分何かしら策は残ってるはず。四人も冒険者がいるんだから力を合わせれば…」


「力…?」


「そう。幸い皆ヘンテコもといオリジナリティのある能力があるんだから誰か1人くらい」


「そうじゃん!?」


再びリノアの声量が上がる。


「どうした?」


「能力!影魔法だよカゲリ!!」


「私?」


「操られてた時みたいに影魔法で空が飛べる魔物を作ればいいんだよ!!」


「なるほど!!」


「その手がありましたね…!!」


「あんまり魔物は使わないからすっかり忘れてたわ………」


「そうと決まれば早くドラゴンとか出してくれ!!」


「了解!そうと決まれば……!!」


カゲリが目を閉じる。そうしてしばらくするとガン!という衝撃が地面から走った。

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