遭遇!幼なじみ!!その3
フレアです
「ッ!」
振り下ろされた棍棒をギリギリ杖で受け止めるリノア。
「キャー!」
背に庇われていた子供の母親が悲鳴をあげる。
「やめろ!!」
次に響くのは警備員の怒声。周りの野次馬も戦いが始まったと知ると慌てて離れていく。
「俺に命令できる立場じゃねえって言っただろうが!!」
「ぐっ!」
男…アジナっと言っただろうか?がそう叫ぶと警備員が一斉に押し黙ってしまう。
「アジナ!君まだ父親の権力で人脅してんの!?」
なるほど、先程連れていかれたはずなのに自由にしているのもそういうことだろう。
ここにきて先程の部屋でのミリノの意味深な態度の意味を理解した。
「うるせえ!!」
「っ!」
そこで、リノアが杖を離してしまう。衝撃に耐えきれなかったのだろう。
そういえば、アイツ、ミリノやリノアよりも実力は上だと言っていたな…。
まあ正確にはだった…だが
話し通り、戦闘だけならば優秀な人間なのだろう。
アジナはそんなリノアを見て更に舌打ちする。
「なんでお前が俺の攻撃を防げるんだよ!!」
っと理不尽に声を荒げる。
レベルの差だろう。
しかし、倒れるリノアの頭めがけて棍棒振り下ろそうとする。
そろそろ止めないと不味いな…!!
正直、警備員に任せるべきだと踏んでいたのだが、その肝心な警備員が弱みを握られてるとなっちゃあ役に立たない。
周りの人間も悲痛そうな顔をしながらも誰一人として止めに入ったり、声をあげたり等しない。
そんなことをしたら潰される…っということだろう。誰もが分かっているって辺りやはり相当有名な血筋のようだな。
っとそんなこんなでリノアの頭に棍棒を振り下ろそうとするが、その際、振り上げた足と床の隙間に黄色い物質が割り込む。
見事にその物質を踏みつけたアジナはその場で180度回転し、床に頭から落ちてしまう。
「ガッ!!」
「………」
どうしよっか…コレ
ヤバイ、とりあえず転ばせたけども警備員は役に立たない。かといって痛め付けるのは流石に不味いし、殺すのは論外だ。
モンスターだったら凍らせれば住む話なんだが…
そうこう考えている内にアジナは頭を抑えて立ち上がる。
その目は怒りっていうか最早殺意の目だ…。
幸い私にはこの世界での身分がそもそも存在しないので、権力的な心配は何もない。
恐れるものはないので好き勝手言ってやってもいいんだが…それで逆上されてあの家族が潰される可能性も無くはない。
「捕らえなさい」
その時だった。聞き覚えのある声が響いたのは
「ミリノちゃん!」
「ミリノ!」
ミリノの声は酷く冷たく、表情も無だった。ただ一言、アジナを指差しそう呟いた。
「畏まりました!姫様!!」
勇者 ミリノとしてではなく、国王の娘…つまり姫としてのミリノの命だ。
奴の権力に逆らえないのなら、奴よりも権力のあるものが命令すれば良い…
先程まで沈黙していた警備員が一斉に動きだす。
「ふざけんな!!やめろ!!!」
アジナの怒声が響き渡る
「俺はあの有名な…!!」
「静かにしなさい!!!」
何かを叫ぼうとしたアジナの声が途切れる。
「船がカトイに着くまで、牢に拘束しておきなさい!!」
「はい!」
「ふざけんな!!ミリノ!!!どうなるか覚えとけよ!!!!」
ありがちな捨て台詞を吐きながらアジナが連れていかれる。
「皆さん、お騒がせしました」
最後にミリノがそう言って、騒動は鎮圧された。
「すみません、遅れてしまって…」
「いや、助かった」
「ありがとう、ミリノちゃん!」
アジナが連れていかれ、回りの野次馬も徐々に減っていく。
っといってもまだ姫であるミリノを見てみたいと、残ってる人間もいるが…。
「本当はこういう姫の特権みたいなのって使いたくないんですが…」
「あー…昔からそうだもんね」
昔のことを話されても残念ながら私には分からないのだが、まあミリノがこういう命令とかしたくないタイプっというのは分かった。一回も使ってるとこ見たことないしな
「アレって昔からあんな感じなのか?」
二人に問いかける。
「うん…さっきも言った通り、昔は勇者最有力ってことで捕まえるわけにも行かなくて本当にやりたい放題だったんだよね…」
「まさかまだ、こんなこと続けているとは思いませんでしたが…」
ヤバイ奴だなぁ…っといっても、今度こそ大丈夫だろうが…
「ちなみにアレはカトイに着いたらどうなるんだ?」
「本当は送り返したいところですけど、仮にも貴族ですし、多分その時点で解放するしかないですね…」
「うわぁ…あっちでは会わないことを願うか…」
「そこで大人しくしていろ!!」
「ッ!てめえら覚えてろよ!!!」
牢屋の中男の怒声だけがこだまする。そんな時だった…。
「あーー!!イライラする!!」
「ふふふ。」
突然響いた女の声にアジナは思わず飛び退く。
「ッ!な、なんだテメエ!!オイあの野郎まさか!俺を犯罪者と同じ牢にいれやがったのか!?」
「御安心を…私は犯罪者等ではない…。貴方にお願いがあって来たのです。」
「お願い……だと?」
会話が終わった後、牢屋に残されたのはただ暗い闇だけだった




