さらばだ!第一の村!!
フレアです。
「あぁ!」
体のダルけが消えた!!
呪いが解けたのだ。それはつまり、現影使いの死を意味する。
「ふぅ…。」
すると、槍の影からカゲリが歩いてきた。
「終わったわよ。」
澄ました顔でそう言う奴に向けて私は…
「最初から本気出せ!!!!!!!!」
ずっと言いたかったツッコミを解き放った。
私達はすぐに怪我人の確認へ向かった。まず最初に目に入ったのは仲良く倒れているミリノ&リノアコンビだった。
リノアの方は魔法、ミリノは打撃を食らったようで、そこそこのダメージを負っていた。
「カゲリ、ミリノの呪いとか判別できるか?」
「ええ、今からするわ。」
そう言ったカゲリは、ミリノに手を当て目をつむる。
その合間に私はリノアの治療だ。っといってもバナナを食べさせるだけなのだが。
「呪いも解けてるわ、問題ない。」
カゲリのお墨付きも得れたところで、ミリノの口にもバナナをいれる。
傷は瞬く間に直ったが、眠ってしまっているのか二人は目を覚まさなかった。
叩き起こす…のも可哀想だしそもそも起きないだろう。
「やっぱり凄いわね、このバナナ…」
ちなみにカゲリにも食べさせておいた。
次に出会ったのは騎士長だ。
「ナナ殿!カゲリ殿!」
「やあ!騎士長」
「終わったのですね…」
「あぁ、分け前を残せなくて申し訳ない。」
「いえいえ。」
騎士長は見た限り無傷だった。やはり本物ならまだしも偽物では相手にもならなかったか…。
「お二人は?」
ミリノとリノアの事だろう。
「二人とも無事よ。今は影のなかに入れてる。」
カゲリがそう返す。
仕方なく、二人を担いで持っていこうとしたらカゲリが入れてくれたのだ。
現影使いが使えば最低な魔法だったのに、コイツが使うと最高の魔法だな。
「それはよかった。」
騎士長はそう返すと、すぐに外からうぉぉぉぉ!!!っと言う叫びが聞こえてくる。
自警団の方も終わったようだ。
「全く敵地で叫ぶとは…」
騎士長も呆れ顔だ。
そしてどうやら、長かった数週間の戦いは間違いなく終わりを遂げたようだ。
騒々しい自警団達の笑い声を聴きながら、馬車に揺られる私達
ミリノとリノアはまだ影の中だ。
「70年の戦いが終わった気分はどうだ?カゲリ」
「別にどうもしないわ」
村へ戻る馬車の中、カゲリ問いかけた。
私にとっては精々数週間の戦いだったが、カゲリにとっては70年…途方もなく長い戦いだったのだ。
「これからは貴女達と魔王を倒しにいくんだから、むしろ始まりの一歩よ」
「そうか」
答えを聞いて私は満足する。
「あっ、チョコバナナ出せた。」
「え?」
ついでに新能力も開花だ…。
「ふぁぁぁ…」
ふぁぁ…やあ!私はナナ!!昨日、ついに呪衰者改め、現影使いとの数週間に渡る戦闘が決着した!!!
犠牲者は0名、奇跡的な数値だ。最初に転生してきた時はとんでもないゴミ能力だと思っていたが…どれもこれもバナナを生み出す能力あってこその結果だ。
これがなきゃそもそもゴブリンキングに殺されていただろうしな…。
私達は村に着き、最低限、風呂と飯を食った後すぐに部屋で寝てしまった。
三人用とはいえ、かなりの広さだったのでカゲリも同じだ。
部屋を見渡す。
未だに眠っているカゲリ…?リノアとミリノがいないな…?
よく考えれば現影使い攻略から寝っぱなしだったし、そろそろ起きたのだろうか?
まあ、話したいこともあるだろう。そう思い私は部屋で二人を待つことにした。
目が覚めれば村の宿だった。でも村の景色は大きく変わっていて、色んな木で出来た家はほとんど黒い、鉄のような家に変わっていた。
何故か覚えていない…。そんな都合の良いことは無かった。全て覚えている。
あの日、呪衰者とダンジョンで交戦して、負けてしまった私は呪衰者の人形と化して、奴に力を与えて村がこんなになる遠因を作ったり、私自らがリノアさん達を襲ったりしたのだ。
私が…弱いから…。
「ミリノちゃん…?」
隣から声が聞こえる。リノアさんだ。
「リノアさん…私…。」
自身のやってしまったことで泣きそうになる。
「ちょっと外行こっか?」
そう言われて、私達は外の風にあたりにいった。
「やっぱり私達と戦ったことも覚えてるんだね」
「うん…。」
「まあ、カゲリもそうだったみたいだしね」
聞き覚えの無い名前にふと首をかしげる。
「あー、現影使いだよ。まあほんとは呪衰者の方が現影使いだったんだけどね」
ハハハハハハと笑う。いまいち分からないので後でナナに説明してもらおう…。
「私…ほんと駄目ですね…。操られてばっかりで皆に迷惑かけて…」
「そんなこと無い!!!」
落ち込む私に、リノアさんは叫ぶ。
「!!」
「あっ、ごめんね…。でもそんなことは無いよ。」
「だってミリノちゃん、必死で自分を止めようとしてた」
「え…?」
ミリノちゃんは覚えがないっといった様子だ。
「…だってさあの時」
スタスタとミリノちゃんが歩いてくる音が聞こえる。
ふと目の前には剣を振り上げるミリノの姿。
「ミリノちゃんゆっくり歩いてきてたじゃん。」
「…っ」
「それに、私が早くなってたとはいえ、いつものミリノちゃんの攻撃じゃ、魔法を使う前に私切られてたよ?」
「そもそも、剣じゃなくて雷の魔法を使った方が確実に倒せたはずだもん。」
ミリノちゃんは戸惑っている。
「そんなの…たまたまで…」
「だったらミリノちゃんも分からない、心の奥の方で耐えてたんだよ!」
「ミリノちゃんだって必死で戦って、凄いと思うよ!!」
子供みたいな言葉になっちゃったけど、全て本心だ。
「それをいうならリノアさんだって、見たこともない魔法を使って…」
笑いながらミリノちゃんはそう返してくる。
よかった、少しは楽になったみたいだね。
朝の光を浴びながら、私達はしばらく話続けていた。
「二人とも帰ってこねえしカゲリは起きねえ…。」
布団にカゲリを巻き込んだままたたんで、そのまま紐で縛り上げた私はガラガラと戸が開く音を聞き、ミリノとリノアが帰ってきたことに気がつく。
「どうも…ナナさん。」
「やあ!ミリノ!!久しぶり…か?」
「いえ、記憶はあるので昨日ぶりです。」
「そうか…」
久しぶりに正気のミリノと話す。
「本当に迷惑をかけました…。」
「別に良いよ、私も村の奴も気にしてない。」
「ほらね、言ったでしょ?」
リノアもそう言う
「お前の方は大丈夫か?」
「リノアさんのお陰で」
「それはよかった」
そう言いながら畳んだ布団に腰かける。
「うぐっ」
「…」
「…」
「…え?今布団からなんか聞こえませんでした?」
「気のせいだ。」
そう私が返すとすぐに…
バタンバタンと布団がはね始める。
「キャアアアアアア!?」
ドッキリ成功だな。
ハンマーで人の頭を叩くのは流石に駄目だと思う…。そうカゲリに目線を当てながら、二人の会話を聞いている。
「カゲリさん…って現影使いのことだったんですか!?」
「カゲリでいいわ。あと現影使いだけど違うわ。」
「何か新しい人が居たのは知っていたんですが…まさか貴女だったとは…」
「やっぱり怖いかしら?」
「いえいえ、むしろ頼もしいくらいですよ!!これからもよろしくお願いします!!」
「凄いスピードで仲間にしてもらえたわ」
「よかったなお人…お友達増えたぞ」
ギャグみたいなスピードで仲間になったカゲリだが、正直予想はできていた。
ミリノなら絶対こうするだろうってな!
ヒリヒリする背中をおさえながら私は考える。
「でも、新しいメンバーも増えたし幹部も倒せたし、次の新天地に行く前に一度王国ですね」
そんなミリノの言葉で気づく。そう言えばこの村ともお別れか…。
正直、実際に村にいた時間は数日しか無かったのだが、やはり何か寂しさのようなものを感じる。
「この辺りのダンジョンも全部終わったしね!」
リノアもそう言う。
「村の修復もあるでしょうし、余所者である私達もすぐに出発するべきだろうな」
「賛成、まだまだ先は長そうだしね。」
っと私達も賛成するが…
「カゲリはいいのか?折角生まれ育った村に帰れたのに…」
「言ったでしょ?もう知り合いはいないし、現影使いも元はと言えば魔王の差し金だし、私の戦いは終わってないって」
「ならよかった」
私はカゲリの返答を聞いて安心する。
「とりあえず、明日か明後日にでも王国へ出発しますね。」
そう、今後の方針が決まった。
そこからは早かった。私達の村からの退去をした村人達に引き留められたり、ミリノが現影使いの件を謝罪したり、お別れ会と称してパーティーしたりな。
騎士長や自警団とも話したり、最後にテンカとも話したりな。
あっという間に夜が明けて、私達の退去の時間になった。
「多分しばらくは持つと思うから使ってくれ」
「どうも」
念のため、村にバナナを残しておく。
普通のバナナなら腐るだろうが、私のは仮にも能力、転生特典だ。恐らく大丈夫だろう。
「どうかお元気で」
「本当にありがとうございました。」
「いえいえ、こちらこそ。」
「またきてくださいね!」
最後に騎士長と村長、そしてテンカに見送られながら村を旅立つ
他の人たちは朝早くということもあって就寝中だ。なるべく起こさないように静かに村を出発する。
「ナナ殿。」
「?どうした、騎士長」
最後に騎士長、サルベルに呼び止められる。
「此度の魔王軍、幹部達は確実に力を増しておられます。能力だけでなく、身体も磨くことをおすすめします。」
「忠告ありがとう、騎士長。分かったよ。身体訓練も取り入れよう。」
「ええ、ではご武運を」
そう最後に忠告を聞いてから今度こそ村を旅立ったのだった。
一章終わりです!反省点は?と聞かれれば反省点しかないですがとりあえず終わりです。
また少し投稿空きます。




